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第18話、戦闘準備
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だったら明日、俺がいかに戦えない男なのかということを、こいつらに教えてやるとするか!
「じゃあまた明日、ギルドの前に集合ね。逃げるんじゃないわよ。」
あっ。そういえば気になっていた事を聞き忘れていた。あの時何で俺の居場所が分かったのかって事を。また忘れそうなので今の内に聞いておこう。
「そういえば聞き忘れていたんだが、あの時何で俺の居場所が分かったんだ? サファイアが大怪我していた時。」
「あー、アレね。私とサファイアはちょっと特殊な特技を持ってるの。それは相手の魔力反応から、ある程度の距離までなら位置を割り出せるってものよ。あの時は、あんたの精液がまだ私の左手に付着してたから、それで位置を割り出せたってわけ。」
ほお、そんな能力もあるのか。魔力反応から相手の位置を割り出す能力。便利な物だな。ん? ということは俺の精液は魔法みたいなもんなのか? そうなってくると、外ではあまり射精しない方がいいのかもしれないな。
「ちなみに、私はせいぜいがこの町内程度しか分からないわ。町の外に出られてたらお終いだったわね。サファイアは私より才能があるから、近くの村くらいまではいけるんじゃないかしら。」
「そうですね。魔力が使われてから半日以内くらいでしたら、そのくらいの距離までなら探知可能です。」
「なるほどな。それで俺の居場所が特定できたのか。」
「そうよ。だからあんたが逃げたとしても魔力反応が残っていたら、半日以内くらいなら追跡可能ってわけ。」
「……肝に免じておく。」
どうやら俺は、おっかない能力を持った姉妹と知り合ってしまったようだな。どっちみち一人で町の外へは行けないだろうから、逃げたりはできないんだが。
「じゃあ今度こそ、また明日ね。」
「今日はお疲れ様でした。」
俺とルビサファ姉妹は、それぞれの宿へと戻った。それにしても明日から冒険者か。あの口ぶりから言って、おそらく明日はゴブリンと一戦交える事になるはずだ。正直こわいんだが、奴らも俺の弱さを知れば早々に諦めてくれるだろう。そう信じたい。
◆◇◆
夜が明けた。今日はルビサファ姉妹と初めての冒険に繰り出す日。初めてって響き、少しエロいよな。
俺は今日やる事にビクビク怯えながらも、冒険者ギルドへと歩みを進めた。ルビサファ姉妹はどうやら先に着いているようだ。俺を見つけると手を振ってアピールしてきた。
「おはよう。どうやら逃げずに来たようね。」
「おはようございます、ザーメンさん。今日は頑張りましょうね。」
「おはよう。」
「じゃあ早速ですけど、行きましょうか。まずは簡単な武器と防具を見繕いましょう。」
「……あぁ。」
俺とルビサファ姉妹は俺の武器と防具を見るべく、そういった店へと歩みを進めた。そして歩くこと十数分、目的地へと到着した。
「あんたはどんな武器がいいとかあるの? 剣とか槍とか弓とか。」
「自慢じゃないが、俺は今まで武器を握ったことすらない。だからどれがいいかなんて分からない。」
「そ。じゃあこれとかどうかしら。普通のロングソード。値段も手頃だし、冒険者の多くはこの武器を最初に選んでるわ。」
「……重いな。」
ルビーが選んだのは、漫画とかでよく見る感じのロングソードだった。多くの冒険者はこの武器からスタートするようだが、正直俺には重く感じる。これをブンブン振り回して戦うなんて多分無理じゃないか。数回程思い切り振っただけでも疲れそうだ。
「あんたどんだけ力がないのよ……じゃあこれは? ショートソード。ロングソードよりリーチはないけど、こっちの方がだいぶ軽いはずよ。」
「……まぁこれくらいなら、何とかなるかもしれん。」
お次はショートソード。こっちも漫画とかでよく見るな。これくらいの重さなら、何とか片手でも扱えそうな気がする。それでも何回か振ってたら疲れそうだが。
「じゃあそれにする? リーチがちょっと短めだから結構相手に接近しないといけないけど、まぁ悪くはないと思うわよ。」
「そうだな。とりあえずこれでやってみよう。」
「武器は決まったから、後は防具ね。まぁ皮装備が無難じゃないかしら。軽いし。強度はそこまでないけど、ゴブリンの攻撃なら一撃くらいは何とか耐えられるはずよ。」
防具なんて言われても正直よく分からん。生まれてこの方服より重い物なんて装着した事がないからな。鎧なんてのは、重さ的に無理だろうって分かるが。とりあえずここはその道のプロに任せよう。
「よく分からんからそれでいい。」
「決まりね。じゃあ買ってくるわ。あんたには結構な恩があるし、今回も私持ちでいいわ。」
「……すまないな。」
今は金に余裕がない俺にとってこれはありがたい。武器や防具なんても結構高そうだしな。女性に払ってもらってばかりなのは若干気が引けるが、ここは素直に好意に甘えさせてもらおう。
「おまたせ。じゃあ早速だけど、これを装備しなさい。そしたら初めてのゴブリン退治に行くわよ。」
「じゃあまた明日、ギルドの前に集合ね。逃げるんじゃないわよ。」
あっ。そういえば気になっていた事を聞き忘れていた。あの時何で俺の居場所が分かったのかって事を。また忘れそうなので今の内に聞いておこう。
「そういえば聞き忘れていたんだが、あの時何で俺の居場所が分かったんだ? サファイアが大怪我していた時。」
「あー、アレね。私とサファイアはちょっと特殊な特技を持ってるの。それは相手の魔力反応から、ある程度の距離までなら位置を割り出せるってものよ。あの時は、あんたの精液がまだ私の左手に付着してたから、それで位置を割り出せたってわけ。」
ほお、そんな能力もあるのか。魔力反応から相手の位置を割り出す能力。便利な物だな。ん? ということは俺の精液は魔法みたいなもんなのか? そうなってくると、外ではあまり射精しない方がいいのかもしれないな。
「ちなみに、私はせいぜいがこの町内程度しか分からないわ。町の外に出られてたらお終いだったわね。サファイアは私より才能があるから、近くの村くらいまではいけるんじゃないかしら。」
「そうですね。魔力が使われてから半日以内くらいでしたら、そのくらいの距離までなら探知可能です。」
「なるほどな。それで俺の居場所が特定できたのか。」
「そうよ。だからあんたが逃げたとしても魔力反応が残っていたら、半日以内くらいなら追跡可能ってわけ。」
「……肝に免じておく。」
どうやら俺は、おっかない能力を持った姉妹と知り合ってしまったようだな。どっちみち一人で町の外へは行けないだろうから、逃げたりはできないんだが。
「じゃあ今度こそ、また明日ね。」
「今日はお疲れ様でした。」
俺とルビサファ姉妹は、それぞれの宿へと戻った。それにしても明日から冒険者か。あの口ぶりから言って、おそらく明日はゴブリンと一戦交える事になるはずだ。正直こわいんだが、奴らも俺の弱さを知れば早々に諦めてくれるだろう。そう信じたい。
◆◇◆
夜が明けた。今日はルビサファ姉妹と初めての冒険に繰り出す日。初めてって響き、少しエロいよな。
俺は今日やる事にビクビク怯えながらも、冒険者ギルドへと歩みを進めた。ルビサファ姉妹はどうやら先に着いているようだ。俺を見つけると手を振ってアピールしてきた。
「おはよう。どうやら逃げずに来たようね。」
「おはようございます、ザーメンさん。今日は頑張りましょうね。」
「おはよう。」
「じゃあ早速ですけど、行きましょうか。まずは簡単な武器と防具を見繕いましょう。」
「……あぁ。」
俺とルビサファ姉妹は俺の武器と防具を見るべく、そういった店へと歩みを進めた。そして歩くこと十数分、目的地へと到着した。
「あんたはどんな武器がいいとかあるの? 剣とか槍とか弓とか。」
「自慢じゃないが、俺は今まで武器を握ったことすらない。だからどれがいいかなんて分からない。」
「そ。じゃあこれとかどうかしら。普通のロングソード。値段も手頃だし、冒険者の多くはこの武器を最初に選んでるわ。」
「……重いな。」
ルビーが選んだのは、漫画とかでよく見る感じのロングソードだった。多くの冒険者はこの武器からスタートするようだが、正直俺には重く感じる。これをブンブン振り回して戦うなんて多分無理じゃないか。数回程思い切り振っただけでも疲れそうだ。
「あんたどんだけ力がないのよ……じゃあこれは? ショートソード。ロングソードよりリーチはないけど、こっちの方がだいぶ軽いはずよ。」
「……まぁこれくらいなら、何とかなるかもしれん。」
お次はショートソード。こっちも漫画とかでよく見るな。これくらいの重さなら、何とか片手でも扱えそうな気がする。それでも何回か振ってたら疲れそうだが。
「じゃあそれにする? リーチがちょっと短めだから結構相手に接近しないといけないけど、まぁ悪くはないと思うわよ。」
「そうだな。とりあえずこれでやってみよう。」
「武器は決まったから、後は防具ね。まぁ皮装備が無難じゃないかしら。軽いし。強度はそこまでないけど、ゴブリンの攻撃なら一撃くらいは何とか耐えられるはずよ。」
防具なんて言われても正直よく分からん。生まれてこの方服より重い物なんて装着した事がないからな。鎧なんてのは、重さ的に無理だろうって分かるが。とりあえずここはその道のプロに任せよう。
「よく分からんからそれでいい。」
「決まりね。じゃあ買ってくるわ。あんたには結構な恩があるし、今回も私持ちでいいわ。」
「……すまないな。」
今は金に余裕がない俺にとってこれはありがたい。武器や防具なんても結構高そうだしな。女性に払ってもらってばかりなのは若干気が引けるが、ここは素直に好意に甘えさせてもらおう。
「おまたせ。じゃあ早速だけど、これを装備しなさい。そしたら初めてのゴブリン退治に行くわよ。」
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