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3章
ニーバンに竜の目の涙を飲ませる
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通路の入り口に現れた騎士。続いて乗馬着の男性。
「ニーバン! そうか、オーカウエ地方だから」
ここはイケスカナイ王朝の元居城。アッチスグ公爵の領土だ。ニーバンがいてもおかしくない。
「アカリーヌ、なぜここへ」
話すと、つる草で身体を支えながら、するする降りてきた。騎士も同じようについてくる。
「立ち入り禁止と伝えたはずだ」
魔女が不満そうにいう。
「アカリーヌは友達だ。それで、どこから」
「裏庭みたいな場所だよ。古い城に用事なの」
梯子を上ってとはいえない。魔女は何かに気付いたように様子を見守るふう。騎士とマームも一緒に成り行きをみていた。
「城を整備しようと思ってな。それより、あれか。隠れ家みたいなところか、ここは」
「そんな感じ。魔女様に美容術の奥義を教えてもらったの」
「この、森の妖精にか。立ち入り禁止だといってたが、アカリーヌは許可されてるのだな」
「昔から、フーモト男爵家とは関係あるらしいから」
「なるほど」
ニーバンが考えるように顎へ手をあてる。
もしかして気づいたのか。あまり嘘はつけない。
「魔女様の許可があるなら、教えるけどさ」
魔女へ目を向ける。竜の目の涙を白状して良いのか。
「ここまで来たらしかたあるまい。ニーバンとやら、国を亡ぼすかもしれないぞ」
「それを防ぎたいのだが。気づいてるかもしれないな。竜の目の涙が欲しい。王子様に飲ませて、真意を確かめたいのだ」
ニーバンも正直だ。ついでに聞きたいこともできた。
「好きな人もいるんでしょうね」
「好きだよ。なにか」
まっすぐに見つめられてとまどう。睨むような視線とはちがうが、最初のときと同じで、やはり女性の考えに鈍感な男性ではある。
「いや。ま、別に」
そういうことじゃないが、まずは詳しく、王子の何がわるいのか知りたい。
「竜の目の涙は、すぐそこ。確かめてみる?」
「すぐ、そこ。あれか、あの小さな泉。燭台の下は暗いものらしい」
魔女には説明したいことが有るらしい。
「この泉は誓いの泉と呼ばれていた。夫婦になる二人が嘘偽りのないことを宣言する場所だった」
それで、アカリーヌが男性を試すのには、使うのを許可したらしい。
「イケスカナイ王国で最後のフンヌウ王は疑い深くてな、臣下の忠誠心を確かめようとして、宴会を開いて竜の目の涙を飲ませたのだ」
そのあたりは歴史書でニーバンも知っているらしい。
「地域の豪族は、もっと領土と権力を欲しがっていた。それで、本音で言い争い、武力衝突になったと書かれている」
アカリーヌはフーモト男爵家の伝え話で知っていた。
「まだ侯爵だったアトゥカラ大将が優位になり、城を攻めたと。フーモト男爵は、協力した地元の豪族だったらしいよね」
魔女はうなずく。
「ときの令嬢トモーエヌが、手薄だったこの場所へ岩をよじ登り、門を蹴飛ばして壊した。そこからアトゥカラの騎士たちは、直接に王城を攻めて落としたのだ」
「お転婆な方だ。血は争えんな」
ニーバンがアカリーヌへ目を向けて言う。
「いや。梯子を使いましたよ、私は」
「はしご。道はないのか。てっきり」
細い道があると思っていたらしい。教えなくていいことを言ってしまった。
「男爵家が当時から続く家柄だからね。王子様がなんとか、教えてちょうだい」
話を戻したい。魔女も、そうだったな、と袋からなにか取り出す。
「また恋の話だと、携帯浄水器を準備していた。飲みなされ」
銅製の筒で先がラッパ状になっている。泉から柄杓で、竜の目の涙を掬って入れると、やがて下から水が漏れる。
「変わるのか。俺は嘘をつかないし見分けがつくのか」
漏れるのを手で受けて飲むニーバン。
「冷たいか。やはり竜の涙とはちがうな。オボーチャマが飲んでくれるか」
「王子様を呼び捨てですか」
「兄弟みたいなものだ。あれはなー、欲しいのは、何をしても手に入れるやつだ」
「王女様も」
「女というより、むしろハーマベ王国と縁を作りフンヌウ商会へ近づきたかったんだ」
魔女は、その会社をしっているようだ。
「社長がフンヌウ王の末裔だ。なにか企んでいる。戦争より貨幣で支配しようとしているかもしれない」
そうだな、とニーバンは納得したようにうなずく。
「流刑地へオボーチャマは視察しに行ってるが、待遇を良くしようと平屋を作っている。貨幣が絡むとなれば広大な商店街とも考えられるな」
「商店街なら、わるくはないでしょ」
アカリーヌとして貨幣の流通には歓迎している。しかし、魔女が不機嫌にいう。
「怖れなさい。あの原野は魔女の館があった場所。水も食料もない、庶民には縁もない。最近は森の木を伐り、なにか作っている。聖女様には止めるようにお願いしているところだ」
「たしかにねー。不便だし、わざわざ遠くまで行かなくても、各地に市場があるし」
王都だから商店街も成り立っていると気づいた。ニーバンはなにか思いついたようだ。竜の目の涙のせいか、思うことを喋る。
「砦か。フンヌウ商会は王国の復興を狙っている。金に釣られてオボーチャマは加担してると。いや想像だが、そういう考えもある」
なにか大きな話になりそうだが、美容術対決と恋の物語だ。
「ねえ、ニーバン。竜の目の涙は効果があるかしら」
「うん、これは話さなくていいことを喋ったか。なるほど、隠そうとするのは、一番気にしてることだ。それが言葉になってしまう」
「そうだね。王子様にも気を付けなきゃ」
そこでしゃしゃり出たのがマーム。
「ニーバン様。まだゆっくりする時間はありますか、お嬢様と」
それは気がかりだが言い出せないし、リン波念力の奥義も練習したい。それなのに、ニーバンの垂れ流しは止まらない。
「アカリーヌ、ずっと一緒にいたい。結婚しよう」
「あの。あまりにも急だし、ムードもない」
「そうだな。いや、何か言ったか。いや。まだ早いか。ちゃんと、次に会う約束とかしていいかな」
「そうだね。今日は勝負もないし、3時からお茶でもしたいです」
ゆっくりした時間を早く作りたいのは確かだ。
「それでは後からだな。竜の目の涙の効果は続くのか」
「飲んだ量にもよるけど。ニーバンは正直だから。いっぱい飲ませた人は半日も続いたみたいね」
「これでは、おべっか使いは大変だ。お城の役任に飲ませたいな」
魔女が慌てて言う。
「国が混乱する。嘘も方便というだろう」
「大丈夫だ。ちょっと、どのようにして王子ちゃまに飲ませるかだな」
効果は薄れてきたらしい。それでも、アカリーヌへの思いは、結婚を口走るぐらいの強さだ。なぜ、と理由を問うのは野暮でもあろう。
(私も一目ぼれみたいなものだし。縁かしら)
いまは信じられてないモノを信じてみたい気にもなった。
それでも聞きなれない音が響く。緊急用のラッパ音だ。聖女たちがモールス信号で知らせるのは世界で共通だ。
「パーパッ パッパー パーパーパッパッ パッパッパー」
台風の警報だと分かる。短い音は理解できた。ニーバンは続くラッパ音も解読できるらしい。
「明日か、今夜かな。近づいたら、急に天気が変わる」
「雲の流れに気をつけなきゃね」
デートの時間までは、良い天気であって欲しい。
5話・終
「ニーバン! そうか、オーカウエ地方だから」
ここはイケスカナイ王朝の元居城。アッチスグ公爵の領土だ。ニーバンがいてもおかしくない。
「アカリーヌ、なぜここへ」
話すと、つる草で身体を支えながら、するする降りてきた。騎士も同じようについてくる。
「立ち入り禁止と伝えたはずだ」
魔女が不満そうにいう。
「アカリーヌは友達だ。それで、どこから」
「裏庭みたいな場所だよ。古い城に用事なの」
梯子を上ってとはいえない。魔女は何かに気付いたように様子を見守るふう。騎士とマームも一緒に成り行きをみていた。
「城を整備しようと思ってな。それより、あれか。隠れ家みたいなところか、ここは」
「そんな感じ。魔女様に美容術の奥義を教えてもらったの」
「この、森の妖精にか。立ち入り禁止だといってたが、アカリーヌは許可されてるのだな」
「昔から、フーモト男爵家とは関係あるらしいから」
「なるほど」
ニーバンが考えるように顎へ手をあてる。
もしかして気づいたのか。あまり嘘はつけない。
「魔女様の許可があるなら、教えるけどさ」
魔女へ目を向ける。竜の目の涙を白状して良いのか。
「ここまで来たらしかたあるまい。ニーバンとやら、国を亡ぼすかもしれないぞ」
「それを防ぎたいのだが。気づいてるかもしれないな。竜の目の涙が欲しい。王子様に飲ませて、真意を確かめたいのだ」
ニーバンも正直だ。ついでに聞きたいこともできた。
「好きな人もいるんでしょうね」
「好きだよ。なにか」
まっすぐに見つめられてとまどう。睨むような視線とはちがうが、最初のときと同じで、やはり女性の考えに鈍感な男性ではある。
「いや。ま、別に」
そういうことじゃないが、まずは詳しく、王子の何がわるいのか知りたい。
「竜の目の涙は、すぐそこ。確かめてみる?」
「すぐ、そこ。あれか、あの小さな泉。燭台の下は暗いものらしい」
魔女には説明したいことが有るらしい。
「この泉は誓いの泉と呼ばれていた。夫婦になる二人が嘘偽りのないことを宣言する場所だった」
それで、アカリーヌが男性を試すのには、使うのを許可したらしい。
「イケスカナイ王国で最後のフンヌウ王は疑い深くてな、臣下の忠誠心を確かめようとして、宴会を開いて竜の目の涙を飲ませたのだ」
そのあたりは歴史書でニーバンも知っているらしい。
「地域の豪族は、もっと領土と権力を欲しがっていた。それで、本音で言い争い、武力衝突になったと書かれている」
アカリーヌはフーモト男爵家の伝え話で知っていた。
「まだ侯爵だったアトゥカラ大将が優位になり、城を攻めたと。フーモト男爵は、協力した地元の豪族だったらしいよね」
魔女はうなずく。
「ときの令嬢トモーエヌが、手薄だったこの場所へ岩をよじ登り、門を蹴飛ばして壊した。そこからアトゥカラの騎士たちは、直接に王城を攻めて落としたのだ」
「お転婆な方だ。血は争えんな」
ニーバンがアカリーヌへ目を向けて言う。
「いや。梯子を使いましたよ、私は」
「はしご。道はないのか。てっきり」
細い道があると思っていたらしい。教えなくていいことを言ってしまった。
「男爵家が当時から続く家柄だからね。王子様がなんとか、教えてちょうだい」
話を戻したい。魔女も、そうだったな、と袋からなにか取り出す。
「また恋の話だと、携帯浄水器を準備していた。飲みなされ」
銅製の筒で先がラッパ状になっている。泉から柄杓で、竜の目の涙を掬って入れると、やがて下から水が漏れる。
「変わるのか。俺は嘘をつかないし見分けがつくのか」
漏れるのを手で受けて飲むニーバン。
「冷たいか。やはり竜の涙とはちがうな。オボーチャマが飲んでくれるか」
「王子様を呼び捨てですか」
「兄弟みたいなものだ。あれはなー、欲しいのは、何をしても手に入れるやつだ」
「王女様も」
「女というより、むしろハーマベ王国と縁を作りフンヌウ商会へ近づきたかったんだ」
魔女は、その会社をしっているようだ。
「社長がフンヌウ王の末裔だ。なにか企んでいる。戦争より貨幣で支配しようとしているかもしれない」
そうだな、とニーバンは納得したようにうなずく。
「流刑地へオボーチャマは視察しに行ってるが、待遇を良くしようと平屋を作っている。貨幣が絡むとなれば広大な商店街とも考えられるな」
「商店街なら、わるくはないでしょ」
アカリーヌとして貨幣の流通には歓迎している。しかし、魔女が不機嫌にいう。
「怖れなさい。あの原野は魔女の館があった場所。水も食料もない、庶民には縁もない。最近は森の木を伐り、なにか作っている。聖女様には止めるようにお願いしているところだ」
「たしかにねー。不便だし、わざわざ遠くまで行かなくても、各地に市場があるし」
王都だから商店街も成り立っていると気づいた。ニーバンはなにか思いついたようだ。竜の目の涙のせいか、思うことを喋る。
「砦か。フンヌウ商会は王国の復興を狙っている。金に釣られてオボーチャマは加担してると。いや想像だが、そういう考えもある」
なにか大きな話になりそうだが、美容術対決と恋の物語だ。
「ねえ、ニーバン。竜の目の涙は効果があるかしら」
「うん、これは話さなくていいことを喋ったか。なるほど、隠そうとするのは、一番気にしてることだ。それが言葉になってしまう」
「そうだね。王子様にも気を付けなきゃ」
そこでしゃしゃり出たのがマーム。
「ニーバン様。まだゆっくりする時間はありますか、お嬢様と」
それは気がかりだが言い出せないし、リン波念力の奥義も練習したい。それなのに、ニーバンの垂れ流しは止まらない。
「アカリーヌ、ずっと一緒にいたい。結婚しよう」
「あの。あまりにも急だし、ムードもない」
「そうだな。いや、何か言ったか。いや。まだ早いか。ちゃんと、次に会う約束とかしていいかな」
「そうだね。今日は勝負もないし、3時からお茶でもしたいです」
ゆっくりした時間を早く作りたいのは確かだ。
「それでは後からだな。竜の目の涙の効果は続くのか」
「飲んだ量にもよるけど。ニーバンは正直だから。いっぱい飲ませた人は半日も続いたみたいね」
「これでは、おべっか使いは大変だ。お城の役任に飲ませたいな」
魔女が慌てて言う。
「国が混乱する。嘘も方便というだろう」
「大丈夫だ。ちょっと、どのようにして王子ちゃまに飲ませるかだな」
効果は薄れてきたらしい。それでも、アカリーヌへの思いは、結婚を口走るぐらいの強さだ。なぜ、と理由を問うのは野暮でもあろう。
(私も一目ぼれみたいなものだし。縁かしら)
いまは信じられてないモノを信じてみたい気にもなった。
それでも聞きなれない音が響く。緊急用のラッパ音だ。聖女たちがモールス信号で知らせるのは世界で共通だ。
「パーパッ パッパー パーパーパッパッ パッパッパー」
台風の警報だと分かる。短い音は理解できた。ニーバンは続くラッパ音も解読できるらしい。
「明日か、今夜かな。近づいたら、急に天気が変わる」
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