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束の間の安らぎ2
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「い、いや。気持ちいいよ? 逆に気持ち良すぎて困ってるんだが……」
「何故」
ふとリリアンナの動きが止まり、彼女がじっとディアルトを見つめてきた。
顔は赤いものの、その目は真剣に自分の手技が至らないのかと心配している。
「なぜ……って」
その色は、宝石のエメラルドよりも美しいとディアルトは思っている。
金色が混じった、鮮やかなグリーンの目。
精霊に愛され、誇り高く清廉潔白な自分だけの女騎士。
「君が……」
先ほどから速まっていた鼓動は、バクバクと初心な少年のように高鳴っていた。
「私は殿下に気持ち良くなって頂きたいのです」
どこまでも真面目な彼女は、聞く者が聞けば勘違いしてしまいそうなことを、危うい服装のまま口にする。
男女のあれこれに対してほとんど知識がないのも、周囲がリリアンナを守り続けてきたからだ。
男が何をすれば性的に興奮するかというのすら、知識が及んでいないかもしれない。
たまに弾みで押し倒すこともあるが、その時リリアンナが恥ずかしがっているのは、ただ単に「距離が近い」ということだけだ。
「……リリィ」
ふぅっと息をつき、ディアルトは思い切りリリアンナの腕を引いた。
「わっ……! あ、あ、……あっ」
しゃがんでいたリリアンナはバランスを崩し、何とか堪えようと健闘したものの、ザバッと音をたててバスタブの中に顔から入ってしまった。
「……殿下」
遅れて尻が入り、膝から下だけがバスタブからはみ出ている。
二人分の質量を受け、バスタブからお湯が溢れて床を塗らした。
濡れた顔を上げると、前髪から雫が滴って水面に波紋を作る。まだどこか驚いているようで、半分呆れていて。
そんなリリアンナの表情を見て、ディアルトは久しぶりに声を上げて笑っていた。
「はははっ……。おっかし……。びっくりした猫みたいな顔をしてる」
「……殿下?」
ハーッと溜め息をつき、リリアンナは顔の雫ごと前髪を掻き上げる。
そしてブーツとレッグガードは守ろうと思ったのか、それらを外してポイッと放ってしまった。
「殿下。子供ではないのですから、困ります」
レースの下着はピッタリと体に張り付き、リリアンナのふくよかな胸を誇示している。白いペチコートも浮力のまま、湯の中で咲くようにたゆたっていた。
「君が扇情的だからだ」
腕を伸ばしてリリアンナを抱き締めると、開いた脚と腕の中に彼女がスッポリ収まる。
「……びしょ濡れじゃないですか」
「どうせ、今日は泊まるんだろ? 一緒に風呂に入ったと思えばいいよ」
「私はそのようなつもりではなかったのですが」
ハァ、とまた溜め息をつき、リリアンナは小首を傾げてディアルトを見つめる。
やがて小さな水音をたてて両手がディアルトの頬を挟み、鋭角さを増した輪郭を撫でてゆく。
「……殿下もやつれられましたね。頬もこけてしまっています。目の下も、クマが酷いです」
真剣に健康チェックをしながら、リリアンナの指は口に出した箇所を辿る。
「もう元気になったよ」
濡れて匂い立つほどの色気を醸し出すリリアンナが、目の前にいてくれる。ディアルトはそれだけで、嘘のように幸せだ。
前線では毎晩リリアンナが夢に出てきて、触りたくても触れない状況が続いた。
目を覚ませば命のやり取りがあり、精霊を使役できない自分が役立たずだと痛感させられる。
「……きっとゆっくりできるのは、今夜だけでしょうね。明日は必要なことをしなければならなくて、明後日は出立で」
「そうだね」
「何でもします。殿下のお気持ちとお体が休まるのなら、何でも」
真っ直ぐにこちらを見つめ己を差し出すリリアンナに、ディアルトは眩暈すら覚えた。
「君は、自分が口にしていることが分かっているのか?」
タオル一枚退ければ、全裸の男相手に。
「勿論、未婚の女性がすべきではないことは、お断り致します。ですがそれ以外なら、本当に何でも」
リリアンナがこう言えるのも、ディアルトが感情に任せて理性を失ったことを言わないという信頼がある。
(素っ裸の男と同じ風呂に入るというのも、未婚の女性がすることじゃないんだけどな……)
その辺りは、リリアンナの考え方が少しズレているのだろう。
彼女は主の疲労を癒やすためにマッサージを始めた訳で、そんな彼女を引きずり込んだのはディアルトの方で。
チラッと視線を下にすると、体のラインがすべて浮き出てしまっている。
柔らかそうな胸もレースで覆われているのみで、しかもディアルトが触ろうと思えば触れる。
(けど、それは……。きっとまだだ)
今のリリアンナは真剣に「自分ができる何か」を求めているのに、安易に女性として体を……なんて言えば、彼女の信頼を失いかねない。
だからディアルトは、グッと自分の本能を押し込んだ。
「じゃあ、今晩添い寝してくれるか? 君を抱き締めて眠りたい」
「そのようなことで良いのなら」
あっさりと快諾するのも、そこから発展しかねない危機も感じていないのだろう。
(あーあ……。信頼されすぎているというのも、辛いものがあるな)
「じゃあ……。今は君を抱き締めさせて。君を十分に感じておきたい」
堪らずリリアンナの体を抱き締めると、どこまでも指が埋まっていきそうに柔らかい。
普段は剣を握り、トレーニングを欠かさない体なのに、基本的な所は女性だ。
チャプ……と水音がし、残された僅かな布越しに二人の体が密着した。
「……この残った布は、最後の理性なのか」
「私はバスタイムではないので、裸になる理由がありません」
相変わらず視線だけ外し、他は冷静を務めるリリアンナ。けれどその頬や耳までもが、真っ赤になっていた。
「ロキアに着替えを用意させようか。どうせ何でも言うことを聞いてくれるなら、今日ぐらいドレス姿でいてくれるだろ?」
「……あまり体を締め付ける服は、得手ではありません」
「舞踏会でもする訳じゃないし。ナイトドレスのような気楽に着られる物を用意させるよ」
「それなら……」
ディアルトの手が、湯をすくってリリアンナの肌を滑る。
温めようとしてくれているのは分かるのだが、どうにも彼に抱き締められているとなると落ち着かない。
けれど自分を抱くことで、ディアルトの気持ちが少しでも和らぐのなら――。
そっと彼を見つめると、「ん?」と金色の目が優しく応えてくれる。
「……いいえ」
明後日には、また離ればなれになってしまう。
そう思うと、今この瞬間がとても愛おしかった。
「何故」
ふとリリアンナの動きが止まり、彼女がじっとディアルトを見つめてきた。
顔は赤いものの、その目は真剣に自分の手技が至らないのかと心配している。
「なぜ……って」
その色は、宝石のエメラルドよりも美しいとディアルトは思っている。
金色が混じった、鮮やかなグリーンの目。
精霊に愛され、誇り高く清廉潔白な自分だけの女騎士。
「君が……」
先ほどから速まっていた鼓動は、バクバクと初心な少年のように高鳴っていた。
「私は殿下に気持ち良くなって頂きたいのです」
どこまでも真面目な彼女は、聞く者が聞けば勘違いしてしまいそうなことを、危うい服装のまま口にする。
男女のあれこれに対してほとんど知識がないのも、周囲がリリアンナを守り続けてきたからだ。
男が何をすれば性的に興奮するかというのすら、知識が及んでいないかもしれない。
たまに弾みで押し倒すこともあるが、その時リリアンナが恥ずかしがっているのは、ただ単に「距離が近い」ということだけだ。
「……リリィ」
ふぅっと息をつき、ディアルトは思い切りリリアンナの腕を引いた。
「わっ……! あ、あ、……あっ」
しゃがんでいたリリアンナはバランスを崩し、何とか堪えようと健闘したものの、ザバッと音をたててバスタブの中に顔から入ってしまった。
「……殿下」
遅れて尻が入り、膝から下だけがバスタブからはみ出ている。
二人分の質量を受け、バスタブからお湯が溢れて床を塗らした。
濡れた顔を上げると、前髪から雫が滴って水面に波紋を作る。まだどこか驚いているようで、半分呆れていて。
そんなリリアンナの表情を見て、ディアルトは久しぶりに声を上げて笑っていた。
「はははっ……。おっかし……。びっくりした猫みたいな顔をしてる」
「……殿下?」
ハーッと溜め息をつき、リリアンナは顔の雫ごと前髪を掻き上げる。
そしてブーツとレッグガードは守ろうと思ったのか、それらを外してポイッと放ってしまった。
「殿下。子供ではないのですから、困ります」
レースの下着はピッタリと体に張り付き、リリアンナのふくよかな胸を誇示している。白いペチコートも浮力のまま、湯の中で咲くようにたゆたっていた。
「君が扇情的だからだ」
腕を伸ばしてリリアンナを抱き締めると、開いた脚と腕の中に彼女がスッポリ収まる。
「……びしょ濡れじゃないですか」
「どうせ、今日は泊まるんだろ? 一緒に風呂に入ったと思えばいいよ」
「私はそのようなつもりではなかったのですが」
ハァ、とまた溜め息をつき、リリアンナは小首を傾げてディアルトを見つめる。
やがて小さな水音をたてて両手がディアルトの頬を挟み、鋭角さを増した輪郭を撫でてゆく。
「……殿下もやつれられましたね。頬もこけてしまっています。目の下も、クマが酷いです」
真剣に健康チェックをしながら、リリアンナの指は口に出した箇所を辿る。
「もう元気になったよ」
濡れて匂い立つほどの色気を醸し出すリリアンナが、目の前にいてくれる。ディアルトはそれだけで、嘘のように幸せだ。
前線では毎晩リリアンナが夢に出てきて、触りたくても触れない状況が続いた。
目を覚ませば命のやり取りがあり、精霊を使役できない自分が役立たずだと痛感させられる。
「……きっとゆっくりできるのは、今夜だけでしょうね。明日は必要なことをしなければならなくて、明後日は出立で」
「そうだね」
「何でもします。殿下のお気持ちとお体が休まるのなら、何でも」
真っ直ぐにこちらを見つめ己を差し出すリリアンナに、ディアルトは眩暈すら覚えた。
「君は、自分が口にしていることが分かっているのか?」
タオル一枚退ければ、全裸の男相手に。
「勿論、未婚の女性がすべきではないことは、お断り致します。ですがそれ以外なら、本当に何でも」
リリアンナがこう言えるのも、ディアルトが感情に任せて理性を失ったことを言わないという信頼がある。
(素っ裸の男と同じ風呂に入るというのも、未婚の女性がすることじゃないんだけどな……)
その辺りは、リリアンナの考え方が少しズレているのだろう。
彼女は主の疲労を癒やすためにマッサージを始めた訳で、そんな彼女を引きずり込んだのはディアルトの方で。
チラッと視線を下にすると、体のラインがすべて浮き出てしまっている。
柔らかそうな胸もレースで覆われているのみで、しかもディアルトが触ろうと思えば触れる。
(けど、それは……。きっとまだだ)
今のリリアンナは真剣に「自分ができる何か」を求めているのに、安易に女性として体を……なんて言えば、彼女の信頼を失いかねない。
だからディアルトは、グッと自分の本能を押し込んだ。
「じゃあ、今晩添い寝してくれるか? 君を抱き締めて眠りたい」
「そのようなことで良いのなら」
あっさりと快諾するのも、そこから発展しかねない危機も感じていないのだろう。
(あーあ……。信頼されすぎているというのも、辛いものがあるな)
「じゃあ……。今は君を抱き締めさせて。君を十分に感じておきたい」
堪らずリリアンナの体を抱き締めると、どこまでも指が埋まっていきそうに柔らかい。
普段は剣を握り、トレーニングを欠かさない体なのに、基本的な所は女性だ。
チャプ……と水音がし、残された僅かな布越しに二人の体が密着した。
「……この残った布は、最後の理性なのか」
「私はバスタイムではないので、裸になる理由がありません」
相変わらず視線だけ外し、他は冷静を務めるリリアンナ。けれどその頬や耳までもが、真っ赤になっていた。
「ロキアに着替えを用意させようか。どうせ何でも言うことを聞いてくれるなら、今日ぐらいドレス姿でいてくれるだろ?」
「……あまり体を締め付ける服は、得手ではありません」
「舞踏会でもする訳じゃないし。ナイトドレスのような気楽に着られる物を用意させるよ」
「それなら……」
ディアルトの手が、湯をすくってリリアンナの肌を滑る。
温めようとしてくれているのは分かるのだが、どうにも彼に抱き締められているとなると落ち着かない。
けれど自分を抱くことで、ディアルトの気持ちが少しでも和らぐのなら――。
そっと彼を見つめると、「ん?」と金色の目が優しく応えてくれる。
「……いいえ」
明後日には、また離ればなれになってしまう。
そう思うと、今この瞬間がとても愛おしかった。
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