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第二十一部・フェルナンド 編

大切に抱く

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「今日デートして、どうだった?」

 尋ねられ、彼がずっと心配してくれていたのを知った。

「ん、大丈夫。佑さんに幸せを一杯もらった」

 目を細めて笑いかけると、彼は一瞬泣きそうな顔をしてから、額にキスをしてきた。

「俺が香澄を守る。もう離れない」

「ん……」

 額と額をつけた二人は、祈るように抱き締め合う。

 そのぬくもりを感じ、お互いが側にいると実感できた頃、佑が再びキスをしてきた。

 ちゅ、ちゅ、と何回か軽く唇をついばまれたあと、温かな舌に唇を舐められる。

 キスを受け入れるために小さく口を開くと、柔らかな舌がトロリと入り込んできた。

 切ない吐息をつこうと口を開くけれど、佑の舌がグチュリと入り込み、香澄はくぐもった声を漏らす。

 口元からクチュクチュといやらしい水音を立てながら、佑は香澄のワンピースの裾に手を入れ、足首から脛、膝、太腿と、ゆっくりと手を滑らせながら布地をたくし上げてきた。

「ん……っ、う、……ン……」

 香澄はうっとりと目を閉じ、されるがままになる。

 飛行機の中で挿入はしたものの、きちんと愛し合えたといえない。

 今、普通にセックスできるかと言われると、正直まだ分からないが、頭でゴチャゴチャ考えるより、佑の愛を受け入れて素直に反応したいと思った。

 佑は香澄の唇を舐め、上唇、下唇と順番にチュッチュッと吸ったあと、吐息をついて彼女を見つめる。

 そして香澄の反応を確認してから、彼女の太腿をすべすべと撫で、首筋にも舌を這わせ、ちう……と吸った。

「ぁっ、……あぁ……っ」
 横を向いて首筋を晒した香澄は、頬に佑の前髪が当たるのを感じ、その些細な感触に幸せを得る。 横を向いた香澄は、頬に佑の前髪を感じ、その些細な感触に幸せを得た。

 彼女は自然と脚を開き、彼を受け入れる体勢をとっていた。

 佑は香澄の内腿を優しく撫でたあと、クロッチギリギリの場所に触れ、彼女の首筋を舐め、キスをして、耳たぶをしゃぶったあと、また窺うように見つめてきた。

(気を遣わせちゃってる……)

 フェルナンドの一件での被害者は自分だが、佑も深く傷付いている。

 彼は婚約者を愛したいとシンプルな願いを抱いているだけなのに、自分の行動一つで香澄を傷つけないか常に怯えていた。

 だから、香澄は優しく微笑み佑の頬を両手で包んだ。

「大丈夫だよ。不安になったらちゃんと言う。言わない時は大丈夫だから、……して」

 耳元で囁いた香澄の声を聞き、佑の目の奥に強い熱が宿った。

「大切に抱く」

 佑は真剣な表情で囁き、誓うように香澄に口づけた。

「脱がせてもいい?」

「うん」

 尋ねられた香澄は、自らワンピースの袖から腕を抜く。

 衣擦れの音がしたあと、テーブルの上に生成り色のスウェットワンピースが置かれ、香澄は下着姿になる。

 身につけているのは『サルーテ』のピンクの勝負下着で見てもらう分には最高ランクの物だが、改めて彼に下着姿を見られると思うと羞恥が襲ってくる。

「可愛いよ」

 世界で一番美しく格好いい人が、下着姿の自分を見て褒めてくれる。

(贅沢だなぁ……)

 香澄は佑を見つめて微笑み、彼の頬、首筋、胸板へと手を滑らせる。

(あったかい。……生きてる)

 この世で最も愛している人が、そこに存在し、生きてくれているだけでこの上ない喜びを感じる。

 幸せいっぱいに微笑んだ香澄は、つい涙ぐみながら思いのままに言った。

「私ね、ずっと、ずーっと、佑さんが好きだよ。佑さんが私を忘れてしまったとしても、ずっと。……ふぎゃっ」

 言い終わるや否や、佑がガブッと香澄の鼻先に噛みついてきて彼女は悲鳴を上げる。

「たとえ話でも、そんな事を言うんじゃない」

 彼は少し怒った顔で言ったあと、香澄の背中に手を回してプツンとブラジャーのホックを外し、白い乳房を晒した。

「……綺麗だ。……いい匂い」

 佑はうっとりと呟き、香澄の谷間に顔を埋めて思いきり息を吸ってきた。
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