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第二十一部・フェルナンド 編

〝俺〟はここにいる ☆

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「俺はこうやって、触れ合って温もりを分け合っているだけでも十分気持ちいい」

 その優しさに報いたいからこそ、香澄は「するの……」と彼を抱き締めた。

「私が、……したいの。……佑さんと、もっと奥まで触れ合って、トロトロになりたい」

 香澄は赤面しながらも、佑の耳元でポショポショと訴える。

 すると彼は顔を引いて何とも言えない表情で香澄を見つめ、絞り出すようにうめいた。

「……ほんっと……、困るんだけど。……そうやって煽られると……」

「……だめ?」

「困る」と言われ、香澄は思わず眉を寄せた。

 その困り顔すら、佑を煽る一因になると彼女は分かっていない。

「~~~~っ……、――――抱く。あとで泣き言いっても聞かないからな」

 一瞬激しく懊悩したあと、佑は決断した。

 佑はバッと起き上がると、ベッドサイドの引き出しから避妊具の箱を取りだし、パッケージを破って屹立に装着する。

「……用意、……してたんだ」

 香澄がポソッと突っ込むと、彼は乱暴に髪を掻き上げ少し照れくさそうに言う。

「いつ何が起こるか分からないから、飛行機にも常備してるよ」

 開き直った態度がおかしくて、香澄は思わずクスクス笑う。

「ん……」

 再び唇が重なったあと、太腿を割り開かれる。

 太腿をサワサワと撫でられると、その優しい触れ方に彼の愛情を感じて、胸の奥が甘く疼く。

 佑の温かな手からジワリと優しい想いや愛情が溢れているような気がして、体に触れられているだけでうっとりしてしまう。

 トロリとした目で佑を見上げると、いい子、と頭も撫でられた。

「大丈夫だよ。今度は〝俺〟が……、が香澄を抱くから」

「うん……」

 いつもなら「佑さんに抱かれるのは当たり前」と思っていた。

 なのに一連の事があり、佑の側にいて彼に愛される事が、どれだけ嬉しい事なのか思い知った。

 ――大切にしないと。

 潤んだ目で佑を見上げて瞬きをすると、涙の雫が耳の方へ垂れていく。

 香澄が微笑むと、佑も微笑み返してくれる。

 佑は大事そうに彼女の頭を撫で、「好きだよ」と呟いてまたキスをくれた。

(幸せ……だなぁ……)

 ロサンゼルスにいた時はあんなに固く凝っていた心が、柔らかく解きほぐされている。

 やがて優しい愛撫で濡れた秘唇に、佑の切っ先がヌチッヌチッと擦りつけられた。

 早く入れて欲しくて腰を揺らした香澄は、幸せ一杯に微笑み、佑の頬をむに、と摘まんだ。

「ん」

 佑も愛しげに笑い、もう一度優しいキスをしてから、肉竿を片手で支えてゆっくり腰を進めてきた。

「ん……っ、ぁ、…………は、――――ぁ」

 濡れそぼった場所に愛しい形が潜り込み、香澄は艶冶な息を吐く。

 目を閉じるとエイデン・アーチボルドの顔とホテルの天井が浮かびそうで、香澄は必死に目を開いて佑を見つめる。

 その縋るような表情を見て、佑は切なげに目を細めた。

「大丈夫だよ。絶対に大丈夫だ。〝俺〟はここにいる」

 佑は香澄の手を握って自分の頬に触れさせると、その指先にキスをする。

「うん……っ。〝大丈夫〟」

 香澄はおまじないのように唱え、深く息を吸い自分に言い聞かせる。

(私を抱いてくれているのは、この世で一番大好きな人)

 その間も佑は何度か腰を前後させ、硬く漲ったモノがずっぷりと香澄の蜜壷に入り込む。

(大きい……っ)

 香澄は懸命に呼吸を繰り返し、唇を喘がせてはふっはふっと息を漏らす。

「大丈夫」

 佑は香澄を抱き締めてゴロンと横臥し、彼女を見つめて微笑むとキスをしてくる。

「何も怖くないよ。悪夢はもう終わったんだ」

「うん……」

 香澄は自分を満たすたくましい肉棒を体内に感じ、優しく笑いかけてくれる愛しい人を見つめる。

 それから確かめるように、佑の頬に触れ、耳の形を辿っていく。

 高い鼻筋を辿って形のいい唇をふにゅりと押すと、指先を咥えられた。

「んふ……っ」

 小さく笑うと、佑も愛しげに笑ってくれる。

「好きだよ、香澄」

 そう言って佑は、頭をいい子、いい子と撫でてきた。

 佑に甘えられるのが嬉しい香澄は、彼の胸板にぐりぐりと顔を押しつけ、ぎゅーっと抱き締めると小さく息を吐く。
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