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第二十一部・フェルナンド 編

純粋に愛し、愛し返す ☆

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 佑はスマホをナイトモードにしたあと、脇に置いた。

「多分、あいつらはまだロスにいると思う。そのうちヨーロッパに戻るんじゃないかな。一度ドイツに帰るかもしれないけど、ファッションウィークも控えているし、いずれパリに行くだろうし、そのうちホテルで会うかもしれない」

「うん、ぜひお会いしたい」

 双子たちも協力してくれたなら、きちんと会って無事を伝え、礼を言いたい。

「大丈夫か? 疲れてるのに、あいつらの相手はキツイだろう」

「ううん。お礼はちゃんと言わないと」

「じゃあ、短時間でな」

「……ふふ。過保護なんだから」

 佑といると、心の奥からじんわりと温かくなってくる。

 感謝しつつ、香澄はスマホを横に置くと膝立ちになって彼の腰を跨いだ。

「ん?」

 香澄は佑の太腿の上に座り、目を瞬かせる彼に微笑みかけ抱き締めた。

「……好き」

 ギュッと力を込めて抱き締めたあと、顔を上げて大好きな人の顔を見つめ、とろけるように微笑んだ。

「俺も香澄が大好きだよ」

 微笑んだ佑は、輝かんばかりに美しい。

 彼の顔が好きだ、なんていったら誤解を生むかもしれない。

 でも愛する人だからいつまでも見ていたいし、大好きな人の顔を見ると癒やされる。

 他のどんなイケメンであっても代わりにはならず、佑だから気持ちが落ち着く。

 いつもなら見つめ合うと、あまりの美形で照れてしまうのに、なった時は穴が空くほど見つめたくなる。

 香澄が愛しそうに見つめていたからか、佑も穏やかに微笑んで彼女の視線を受け止めた。

(贅沢な顔……)

 頬に影を落とす長くて密度の濃い睫毛や、その下で輝く不思議な色味の目、通った鼻筋に、完璧な形の唇。

 きめ細かい肌を見ているうちに、香澄は佑の頬を両手で包んでいた。

(……キス……したい……)

 佑の目の中にある、ペリドットにも似た色味を見つめたまま、香澄はゆっくりと目を閉じ、唇を近付けた。

 佑は自ら唇を寄せず、彼女のしたいようにさせている。

 香澄は唇を押しつけ、ちゅむ、ちゅ、と佑の唇をついばみ、彼の髪を撫でた。

 そのまま、彼の頭を抱き締めるように何度もキスをした。

(……ほしい……)

 今、香澄はとても純粋な気持ちで佑を欲していた。

 もう、助けられた直後のように、荒れ狂った気持ちで『どうでもいいから、滅茶苦茶に抱いてほしい』とは思っていない。

 ただ純粋に佑を愛し、愛し返してほしかった。

 香澄は拙く舌を絡ませ、本能のままに体をくねらせて、佑の胸板に乳房を押しつけていた。

 そうされてやっと、佑は彼女の背中やお尻を愛撫し始めた。

 濡れた唇を離した香澄は、佑を見つめ、安心したように微笑んでからまたキスをする

 これほど安心し、満たされた気持ちになったのは久しぶりだ。

 ――いい匂い。

 佑のウード&ベルガモッド、そして彼の匂いと混じった自分のネクタリンの香り――。

 この香りだけが香澄を狂わせる。

 香澄は色っぽい息をつき、自らTシャツを脱ぎ捨てる。

 飛行機のエンジン音に混じり、ベッドルームにパサリと小さな布音が立った。

 佑は香澄の背中や腰を撫で、谷間や柔らかな乳房に唇を押しつけてきた。

 ちゅっ、ちゅぷっと小さな音を立てて胸元を愛され、香澄は懐かしさすら感じる佑の唇の感触を存分に味わった。

 佑は上目遣いで香澄を見ながらわざと舌を出し、レロンと彼女の乳首を舐める。

 すると力強い舌に舐め上げられ、香澄の乳房がプルンと震えた。

 何度も同じように舐められるうちに、香澄の胸の奥で官能の火がゆっくり燃え広がってゆく。

「……吸っ……て」

 小さな声でお願いをすると、佑は硬くなった乳首を咥え、美味しそうにしゃぶり始めた。
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