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第二十一部・フェルナンド 編
その色じゃないといや
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プライベートジェットに乗った二人は、手を繋いだまま最後部のベッドルームに向かう。
その前に、佑は客室乗務員に温かいココアを頼んだ。
「この格好は嫌だろうから着替えるよ。香澄も別の服に着替えたほうがいい」
佑はクローゼットを開き、着替えを取りだす。
いつもこのジェットに乗った時に着る、プリンパルフェのモコモコ部屋着を見た香澄は、気持ちが緩んだのを感じた。
「……シャワー……、浴びたい。……いい?」
「いいよ。嫌でなかったら、一緒に浴びよう」
佑は着ていた物をすべてを脱ぎ、ゴミ袋に丸めて放り込んだ。
服を大切にしている彼が、一式をためらいなく捨てた姿を見て、香澄も気持ちを決めた。
ケープを脱ぎ、身に纏っている物をすべて脱いでポイポイとゴミ袋に入れる。
佑はそのゴミ袋を、隣の部屋に移した。
「おいで」
佑は両手で胸元と秘部を隠している香澄に手を差し伸べ、バスルームに向かう。
彼は洗面所でカラーコンタクトを外し、シャワーのコックを捻るとフックにシャワーヘッドを引っかける。
お湯を素肌に浴びると、心の中で凝っていたものが少しずつ柔らかくなっていく気がした。
佑は「はぁ……」と息を吐いた香澄を優しく抱いて、背中を撫でてきた。
「本当にすまない。一生をかけて償う」
彼は後悔にまみれた声で呟き、それを聞いた香澄はギュッと腕に力を込める。
「……じゃあ、一生側にいて」
「勿論だよ」
「私を……、捨てないで……」
助けられたのがいまだ信じられず、心の奥底にはまだ絶望がべったりとこびりついている。
自分を抱いたのは佑だと分かっていても、犯されると思った時の恐怖はなかなか拭えない。
今と〝あの時〟は違うのに、どうしてかマティアスに偽装された時の事を思いだした。
〝あの時〟だってマティアスはうまくエミリアをごまかし、香澄を抱いてなんかいなかった。
結果的に自分は無事なのに、なぜか心には『汚れてしまった』という感覚があり、いつ佑に嫌われ、捨てられるか分からない恐怖に包まれていた。
「捨てたりするもんか。俺のほうこそ、いつ香澄に捨てられるか心配でビクビクしてる」
「私は佑さんを捨てたりしない」
小さな声で言った香澄は佑を抱く腕に力を込め、彼の胸元に顔をぐりぐりと押しつける。
そのあと、涙でグシャグシャになった顔で懇願した。
「……っ、キス、……して」
今になって恐怖が蘇ってきたのか、彼女の体は酷く震えていた。
佑は両手で彼女の頬を包み、ヘーゼルの目で見つめてくる。
「……佑さんの目は、その色じゃないといや」
「うん」
香澄の言葉を聞き、佑は泣きそうな表情で微笑んで優しいキスをくれた。
「もっと」
「ん」
ザアザアとシャワーが降り注ぐなか、佑はしっかりと香澄を抱き締め、舌を絡めてくる。
「ン……、……ん、……んぅ……」
香澄も佑を抱き返し、これ以上なく密着しているのに、もっと一つになりたいと体を押しつけた。
香澄は口腔を探る佑の舌を吸い、自身の舌も擦りつける。
息を吸うと、まだあの香水の匂いがしたので首を左右に振り、強張った顔で佑に言った。
「この香水、二度とつけないで」
「分かった」
佑は香澄の要求を聞き、彼女を安心させようとする。
「……私の、もの……」
香澄は佑を抱き締めて頬ずりし、さらにギュウギュウと体を押しつける。
「俺のすべては香澄のものだよ」
「ん……」
目の前にいるのは佑だ。
エイデン・アーチボルドは佑だったのに、香澄の心はまだ硬く冷えたままだ。
両腕で思いきり佑を抱き締めて、いつものように存在を確かめても、まだまだ「足りない」と本能が彼を求める。
その前に、佑は客室乗務員に温かいココアを頼んだ。
「この格好は嫌だろうから着替えるよ。香澄も別の服に着替えたほうがいい」
佑はクローゼットを開き、着替えを取りだす。
いつもこのジェットに乗った時に着る、プリンパルフェのモコモコ部屋着を見た香澄は、気持ちが緩んだのを感じた。
「……シャワー……、浴びたい。……いい?」
「いいよ。嫌でなかったら、一緒に浴びよう」
佑は着ていた物をすべてを脱ぎ、ゴミ袋に丸めて放り込んだ。
服を大切にしている彼が、一式をためらいなく捨てた姿を見て、香澄も気持ちを決めた。
ケープを脱ぎ、身に纏っている物をすべて脱いでポイポイとゴミ袋に入れる。
佑はそのゴミ袋を、隣の部屋に移した。
「おいで」
佑は両手で胸元と秘部を隠している香澄に手を差し伸べ、バスルームに向かう。
彼は洗面所でカラーコンタクトを外し、シャワーのコックを捻るとフックにシャワーヘッドを引っかける。
お湯を素肌に浴びると、心の中で凝っていたものが少しずつ柔らかくなっていく気がした。
佑は「はぁ……」と息を吐いた香澄を優しく抱いて、背中を撫でてきた。
「本当にすまない。一生をかけて償う」
彼は後悔にまみれた声で呟き、それを聞いた香澄はギュッと腕に力を込める。
「……じゃあ、一生側にいて」
「勿論だよ」
「私を……、捨てないで……」
助けられたのがいまだ信じられず、心の奥底にはまだ絶望がべったりとこびりついている。
自分を抱いたのは佑だと分かっていても、犯されると思った時の恐怖はなかなか拭えない。
今と〝あの時〟は違うのに、どうしてかマティアスに偽装された時の事を思いだした。
〝あの時〟だってマティアスはうまくエミリアをごまかし、香澄を抱いてなんかいなかった。
結果的に自分は無事なのに、なぜか心には『汚れてしまった』という感覚があり、いつ佑に嫌われ、捨てられるか分からない恐怖に包まれていた。
「捨てたりするもんか。俺のほうこそ、いつ香澄に捨てられるか心配でビクビクしてる」
「私は佑さんを捨てたりしない」
小さな声で言った香澄は佑を抱く腕に力を込め、彼の胸元に顔をぐりぐりと押しつける。
そのあと、涙でグシャグシャになった顔で懇願した。
「……っ、キス、……して」
今になって恐怖が蘇ってきたのか、彼女の体は酷く震えていた。
佑は両手で彼女の頬を包み、ヘーゼルの目で見つめてくる。
「……佑さんの目は、その色じゃないといや」
「うん」
香澄の言葉を聞き、佑は泣きそうな表情で微笑んで優しいキスをくれた。
「もっと」
「ん」
ザアザアとシャワーが降り注ぐなか、佑はしっかりと香澄を抱き締め、舌を絡めてくる。
「ン……、……ん、……んぅ……」
香澄も佑を抱き返し、これ以上なく密着しているのに、もっと一つになりたいと体を押しつけた。
香澄は口腔を探る佑の舌を吸い、自身の舌も擦りつける。
息を吸うと、まだあの香水の匂いがしたので首を左右に振り、強張った顔で佑に言った。
「この香水、二度とつけないで」
「分かった」
佑は香澄の要求を聞き、彼女を安心させようとする。
「……私の、もの……」
香澄は佑を抱き締めて頬ずりし、さらにギュウギュウと体を押しつける。
「俺のすべては香澄のものだよ」
「ん……」
目の前にいるのは佑だ。
エイデン・アーチボルドは佑だったのに、香澄の心はまだ硬く冷えたままだ。
両腕で思いきり佑を抱き締めて、いつものように存在を確かめても、まだまだ「足りない」と本能が彼を求める。
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