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第二十部・同窓会 編
お仕置き、してほしい
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「安心して結婚しよう」
「……うん」
「本当は今すぐにでも籍を入れたい。でも香澄が仕切り直しを望むなら待つ」
「ん……。渋ってる訳じゃないんだけどね。どうせなら、去年のアレよりもっといい思い出を作りたいなって」
いつか訪れる大きな幸せを思い、香澄はにっこり笑った。
その笑顔を見て佑は泣きそうな顔で微笑み、額にキスをしてくる。
佑はそのまま香澄を抱き締めて首筋に顔を埋め、「絶対幸せになってみせる」と呟いた。
香澄はただ佑を抱き締め返し、自分たちの幸せを祈るしかできない。
――幸せになれますように。
誰もが抱く願いを、こんなにも強く、祈るように願う。
御劔佑を選んで共に幸せになるのは、一般人と幸せになるよりずっと難しい。
(それでも、自分で選んだ人だから)
自分に言い聞かせた香澄は、佑の濡れた髪に頬ずりした。
「……香澄。それで、……少し言いづらいんだけど」
「ん?」
話題が変わったのを察し、香澄は顔を上げて再び佑の顔を見る。
彼はしばらく香澄の目を見たあと、何かを考えるように視線を泳がせて息をつく。
「なぁに?」
言い淀むのは彼らしくないと思い、香澄はツンツンと佑の胸板をつついた。
すると佑は、いつものように香澄を見つめて考えを口にする。
「少し前のセックスのあとに『自分本位』って言ったの、……もしかしてだけど……、俺を遠ざけようとしていた? 言われて反省はしたけど、『いつもなら言わないよな』と思って、違和感を覚えていたんだ」
「う……」
すっかり忘れていた! ……とは言わない。
だがフェルナンドの事を佑に打ち明けて安堵し、失念していた。
「えっと……。……き、傷付けてごめんなさい」
「半分自業自得だから、傷付いたとかはまったくない。……ただ、あのとき一人でなんとかしようとしていなかったか? それで俺を遠ざけようとした?」
もう一度尋ねられ、香澄は観念してコクンと一つ頷いた。
「……ごめんなさい」
謝ると、佑は苦笑いして溜め息をつき、香澄の頭を撫でて額にキスをしてきた。
「一人で変な方向に行ってたんだなってあとから気付いて、少しヒヤッとした。でも、思い直してくれてありがとう」
ヘーゼルの目が優しく細められ、香澄の選択を「正解だよ」と教えてくれている。
「……うん」
香澄は「ごめんね」の意味を込めて、佑の唇に軽くキスをした。
顔を離して彼の目を見てから、もう一度チュッと柔らかな唇をついばむ。
キスをして佑の機嫌を測っているような香澄を見て、彼はクスッと笑ってから悪戯っぽい表情になった。
「反省してる?」
「……はい。してます」
反省を促されているのにお尻をサワサワと撫でられ、腰の辺りから妖しいざわめきが全身を包み始める。
知らずと腰を揺らすと、尻たぶをむぎゅ、と掴まれた。
「ん……、ん……ぅ」
香澄は唇を歪め、物言いたげに佑を見つめる。
彼女は反抗的な目をしながら一度膝立ちになり、佑の腰を跨いで座る。
「……お仕置きするの?」
自分から望むように彼の膝の上に座っておきながら、香澄は誘うように尋ねた。
彼を軽く睨んだその目は、すでに潤んで欲を孕んでいる。
「……その顔はお仕置きしてほしそうだな?」
頭を撫でられてチュッとキスをされると、香澄の心の奥にいる雌が尻尾を揺らした。
「……うん。……して? ……悪いコトしかけたから、……お仕置き、してほしい」
香澄は両腕を佑の首にまわし、彼の耳元で甘く囁いた。
その囁き声を聞いて、下腹部に押しつけられている佑の半身がグッと質量を増した。
「……このうさぎは発情期か?」
佑は冗談混じりに言い、欲情を落ち着かせるように小さく息を吐く。
彼は香澄の前髪を左右によけ、ツルンとした剥き卵のような顔を露わにし、ジッと見つめてきた。
そして香澄の大きな目を見つめ、その奥にある感情を読み取ろうとする。
香澄も佑を見つめ返し、視線だけで自分の想いを知ってもらえたら……と訴えた。
――だが佑は視線を外したかと思うと、香澄を抱き締めて大きな溜め息をついた。
「……駄目だ。可愛い。つらい」
一気に語彙力が低くなってしまった佑の言葉を聞き、香澄は思わず「ぶふっ」と噴きだしていた。
「……うん」
「本当は今すぐにでも籍を入れたい。でも香澄が仕切り直しを望むなら待つ」
「ん……。渋ってる訳じゃないんだけどね。どうせなら、去年のアレよりもっといい思い出を作りたいなって」
いつか訪れる大きな幸せを思い、香澄はにっこり笑った。
その笑顔を見て佑は泣きそうな顔で微笑み、額にキスをしてくる。
佑はそのまま香澄を抱き締めて首筋に顔を埋め、「絶対幸せになってみせる」と呟いた。
香澄はただ佑を抱き締め返し、自分たちの幸せを祈るしかできない。
――幸せになれますように。
誰もが抱く願いを、こんなにも強く、祈るように願う。
御劔佑を選んで共に幸せになるのは、一般人と幸せになるよりずっと難しい。
(それでも、自分で選んだ人だから)
自分に言い聞かせた香澄は、佑の濡れた髪に頬ずりした。
「……香澄。それで、……少し言いづらいんだけど」
「ん?」
話題が変わったのを察し、香澄は顔を上げて再び佑の顔を見る。
彼はしばらく香澄の目を見たあと、何かを考えるように視線を泳がせて息をつく。
「なぁに?」
言い淀むのは彼らしくないと思い、香澄はツンツンと佑の胸板をつついた。
すると佑は、いつものように香澄を見つめて考えを口にする。
「少し前のセックスのあとに『自分本位』って言ったの、……もしかしてだけど……、俺を遠ざけようとしていた? 言われて反省はしたけど、『いつもなら言わないよな』と思って、違和感を覚えていたんだ」
「う……」
すっかり忘れていた! ……とは言わない。
だがフェルナンドの事を佑に打ち明けて安堵し、失念していた。
「えっと……。……き、傷付けてごめんなさい」
「半分自業自得だから、傷付いたとかはまったくない。……ただ、あのとき一人でなんとかしようとしていなかったか? それで俺を遠ざけようとした?」
もう一度尋ねられ、香澄は観念してコクンと一つ頷いた。
「……ごめんなさい」
謝ると、佑は苦笑いして溜め息をつき、香澄の頭を撫でて額にキスをしてきた。
「一人で変な方向に行ってたんだなってあとから気付いて、少しヒヤッとした。でも、思い直してくれてありがとう」
ヘーゼルの目が優しく細められ、香澄の選択を「正解だよ」と教えてくれている。
「……うん」
香澄は「ごめんね」の意味を込めて、佑の唇に軽くキスをした。
顔を離して彼の目を見てから、もう一度チュッと柔らかな唇をついばむ。
キスをして佑の機嫌を測っているような香澄を見て、彼はクスッと笑ってから悪戯っぽい表情になった。
「反省してる?」
「……はい。してます」
反省を促されているのにお尻をサワサワと撫でられ、腰の辺りから妖しいざわめきが全身を包み始める。
知らずと腰を揺らすと、尻たぶをむぎゅ、と掴まれた。
「ん……、ん……ぅ」
香澄は唇を歪め、物言いたげに佑を見つめる。
彼女は反抗的な目をしながら一度膝立ちになり、佑の腰を跨いで座る。
「……お仕置きするの?」
自分から望むように彼の膝の上に座っておきながら、香澄は誘うように尋ねた。
彼を軽く睨んだその目は、すでに潤んで欲を孕んでいる。
「……その顔はお仕置きしてほしそうだな?」
頭を撫でられてチュッとキスをされると、香澄の心の奥にいる雌が尻尾を揺らした。
「……うん。……して? ……悪いコトしかけたから、……お仕置き、してほしい」
香澄は両腕を佑の首にまわし、彼の耳元で甘く囁いた。
その囁き声を聞いて、下腹部に押しつけられている佑の半身がグッと質量を増した。
「……このうさぎは発情期か?」
佑は冗談混じりに言い、欲情を落ち着かせるように小さく息を吐く。
彼は香澄の前髪を左右によけ、ツルンとした剥き卵のような顔を露わにし、ジッと見つめてきた。
そして香澄の大きな目を見つめ、その奥にある感情を読み取ろうとする。
香澄も佑を見つめ返し、視線だけで自分の想いを知ってもらえたら……と訴えた。
――だが佑は視線を外したかと思うと、香澄を抱き締めて大きな溜め息をついた。
「……駄目だ。可愛い。つらい」
一気に語彙力が低くなってしまった佑の言葉を聞き、香澄は思わず「ぶふっ」と噴きだしていた。
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