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第二十部・同窓会 編
知りたがる佑
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「えーとですね、香澄はー……。仲良くしてた私が言うなって話だけど、クラスではそんなに目立たないほうだったよね?」
奈央が言い、麻衣と彩美が「うんうん」と頷く。
自分についての話が始まってしまったので、諦めた香澄はお代わりのカクテルを飲む。
「成績は割といいほうで、たまに得意科目でクラス一位を取る事もあったよね。秀才キャラの子が、その時だけ悔しそうな顔をしてたり」
「あー、あったあった。香澄、世界史と現国は得意だったよね」
「もう頭から消えてるけどね……」
香澄がぼやくと、三人が「それな!」と笑う。
「理系とか苦手だったっけ。麻衣と一緒に数学の補習受けてたよね」
彩美に言われ、香澄は真っ赤になって「言わないで~!」と頭を抱える。
「へぇ、香澄は理系が苦手だったのか」
佑が興味津々に言ったので、もっと恥ずかしくなる。
「マイ、数学と物理なら任せておけ」
「あ~、マティアスさんって理系強そうだよね。でも勉強はもう終わったので結構です」
マティアスの少しズレたアプローチに、麻衣は塩対応する。
「総合的な成績は中の上か上の下くらいで、素行も良かったし先生からは手の掛からない生徒って思われてたんじゃない?」
「うちら全員、そんな感じだったけどね。進学校だったから物凄い不良はいなかったし、学校生活も平穏だったっていうか……」
「みんな頭黒かったよね」
女子四人で頷き合ったあと、佑がさらに質問してくる。
「モテてましたか?」
その質問に、三人は顔を見合わせ「うーん……」と考える。
「覚えてる限り、付き合ってたの二人ぐらい? 一年生の時はすぐ別れて、そのあと二年生後半からの男の子が、卒業して自然消滅?」
麻衣が指を折りながら言い、香澄は佑の視線を感じながら「う……うん……」と頷く。
「でも安心してくださいよ。この子まじめだから、ファーストキスもなかったと思いますよ? 大学時代に付き合った原西っていうのが、全部初めてだって言ってたから」
フォローしようとした奈央に言われ、佑は絶対零度の笑みを浮かべた。
「あぁ……原西さんね……」
(ひぃ……!)
内心で悲鳴を上げた香澄は、気づいていないふりをしてカシスオレンジを飲む。
「高校時代は図書館で勉強デートとか、行っても映画とか動物園、水族館とかそんなもんだよね。札幌ってテーマパークもないし」
奈央が笑い、彩美がうんうんと頷く。
だが佑は学生時代の香澄というだけで、何もかも良く見えるらしい。
「俺としては、香澄と図書館デートも羨ましいんですけどね」
「御劔さんって意外と嫉妬深いですね?」
彩美の言葉を聞いて、麻衣がしたり顔で笑う。
「あの〝世界の御劔〟が香澄にベタ惚れなんだもん、凄いでしょ~」
奈央と彩美は「へぇぇ~」と感心し、香澄はいたたまれない気持ちで一杯になり、誤魔化すように肉寿司を口に放り込んだ。
だがそう言われても佑は満足せず、さらに質問した。
「高校時代は清い付き合いをしていたとして、その後、〝関係〟があったのは原西さん一人だけ?」
それに、奈央がコクンと頷く。
「そうだと思いますよ。香澄って二股できるほど器用じゃないですし。合コンに誘っちゃった時もあったんですけど、『彼氏いるから』ってちゃんと断ってましたね」
「ふぅん……。でも相手は原西さんなんですね。……彼は付き合う相手としてどうでした?」
結論はとうに出た、いや、むしろ自分で下したのに、佑はまだこだわっている。
「まぁ、『大学生の付き合いならこんなもんか』って感じだと思いますけどね。私と彩美は別の大学だったので、麻衣が一番詳しいと思いますけど」
奈央に言われ、佑は麻衣を見る。
「あーっと……。うーん、友達目線からだと『早く別れればいいのに』っていう相手でしたね。香澄は基本的に大人しいし、初めての彼氏だから何でも言う事を聞いた感じでした。本人は一生懸命要求に応えていたんでしょうけど、私から見れば『そんな奴のために香澄が苦労するの?』って感じでしたね」
「苦労……ね」
佑はチラリと香澄を見る。
「デートの約束して三時間放置伝説は、私たちの間でも有名ですよ。一緒に歩いてて他の女の子を見て『可愛い』っていうのは日常茶飯事。ギャルっぽい子が好きだって言うから、香澄が慣れないながらもミニスカ穿いたら『似合わない』『脚が太い』って言いやがりました。自分のツラを鏡で見てみろっての」
麻衣は目に怒りを宿し、低く唸る。
「おまけに三時間放置の間、別の女とラブホ行ってたんですよ。そのあとやっと香澄のメールに気付いて、『今日は無理』って。その日、雪だったんですよ? 最終近くの電車に乗って、一人で帰った香澄が可哀想ったら!」
麻衣はそこまで言って、ジョッキに残っていたビールをぐいーっと呷り、ダンッとテーブルに置いた。
奈央が言い、麻衣と彩美が「うんうん」と頷く。
自分についての話が始まってしまったので、諦めた香澄はお代わりのカクテルを飲む。
「成績は割といいほうで、たまに得意科目でクラス一位を取る事もあったよね。秀才キャラの子が、その時だけ悔しそうな顔をしてたり」
「あー、あったあった。香澄、世界史と現国は得意だったよね」
「もう頭から消えてるけどね……」
香澄がぼやくと、三人が「それな!」と笑う。
「理系とか苦手だったっけ。麻衣と一緒に数学の補習受けてたよね」
彩美に言われ、香澄は真っ赤になって「言わないで~!」と頭を抱える。
「へぇ、香澄は理系が苦手だったのか」
佑が興味津々に言ったので、もっと恥ずかしくなる。
「マイ、数学と物理なら任せておけ」
「あ~、マティアスさんって理系強そうだよね。でも勉強はもう終わったので結構です」
マティアスの少しズレたアプローチに、麻衣は塩対応する。
「総合的な成績は中の上か上の下くらいで、素行も良かったし先生からは手の掛からない生徒って思われてたんじゃない?」
「うちら全員、そんな感じだったけどね。進学校だったから物凄い不良はいなかったし、学校生活も平穏だったっていうか……」
「みんな頭黒かったよね」
女子四人で頷き合ったあと、佑がさらに質問してくる。
「モテてましたか?」
その質問に、三人は顔を見合わせ「うーん……」と考える。
「覚えてる限り、付き合ってたの二人ぐらい? 一年生の時はすぐ別れて、そのあと二年生後半からの男の子が、卒業して自然消滅?」
麻衣が指を折りながら言い、香澄は佑の視線を感じながら「う……うん……」と頷く。
「でも安心してくださいよ。この子まじめだから、ファーストキスもなかったと思いますよ? 大学時代に付き合った原西っていうのが、全部初めてだって言ってたから」
フォローしようとした奈央に言われ、佑は絶対零度の笑みを浮かべた。
「あぁ……原西さんね……」
(ひぃ……!)
内心で悲鳴を上げた香澄は、気づいていないふりをしてカシスオレンジを飲む。
「高校時代は図書館で勉強デートとか、行っても映画とか動物園、水族館とかそんなもんだよね。札幌ってテーマパークもないし」
奈央が笑い、彩美がうんうんと頷く。
だが佑は学生時代の香澄というだけで、何もかも良く見えるらしい。
「俺としては、香澄と図書館デートも羨ましいんですけどね」
「御劔さんって意外と嫉妬深いですね?」
彩美の言葉を聞いて、麻衣がしたり顔で笑う。
「あの〝世界の御劔〟が香澄にベタ惚れなんだもん、凄いでしょ~」
奈央と彩美は「へぇぇ~」と感心し、香澄はいたたまれない気持ちで一杯になり、誤魔化すように肉寿司を口に放り込んだ。
だがそう言われても佑は満足せず、さらに質問した。
「高校時代は清い付き合いをしていたとして、その後、〝関係〟があったのは原西さん一人だけ?」
それに、奈央がコクンと頷く。
「そうだと思いますよ。香澄って二股できるほど器用じゃないですし。合コンに誘っちゃった時もあったんですけど、『彼氏いるから』ってちゃんと断ってましたね」
「ふぅん……。でも相手は原西さんなんですね。……彼は付き合う相手としてどうでした?」
結論はとうに出た、いや、むしろ自分で下したのに、佑はまだこだわっている。
「まぁ、『大学生の付き合いならこんなもんか』って感じだと思いますけどね。私と彩美は別の大学だったので、麻衣が一番詳しいと思いますけど」
奈央に言われ、佑は麻衣を見る。
「あーっと……。うーん、友達目線からだと『早く別れればいいのに』っていう相手でしたね。香澄は基本的に大人しいし、初めての彼氏だから何でも言う事を聞いた感じでした。本人は一生懸命要求に応えていたんでしょうけど、私から見れば『そんな奴のために香澄が苦労するの?』って感じでしたね」
「苦労……ね」
佑はチラリと香澄を見る。
「デートの約束して三時間放置伝説は、私たちの間でも有名ですよ。一緒に歩いてて他の女の子を見て『可愛い』っていうのは日常茶飯事。ギャルっぽい子が好きだって言うから、香澄が慣れないながらもミニスカ穿いたら『似合わない』『脚が太い』って言いやがりました。自分のツラを鏡で見てみろっての」
麻衣は目に怒りを宿し、低く唸る。
「おまけに三時間放置の間、別の女とラブホ行ってたんですよ。そのあとやっと香澄のメールに気付いて、『今日は無理』って。その日、雪だったんですよ? 最終近くの電車に乗って、一人で帰った香澄が可哀想ったら!」
麻衣はそこまで言って、ジョッキに残っていたビールをぐいーっと呷り、ダンッとテーブルに置いた。
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