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第十九部・マティアスと麻衣 編

なんでそんな顔をしているんだ? ☆

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「香澄?」

 名前を呼ばれ、香澄はビクッとして我に返る。

「えっ……。す、凄かった!」

 焦って拍手をする香澄は、自分がどんな顔をしていたのか分かっていない。

 佑はそんな彼女の前に立ち、スル……と頬を撫でてきた。

「ん……」

 親指で下唇をなぞられ、微かに息が漏れる。

「特に難しい曲じゃないけど、俺の好きな曲だ。だから香澄も『好きな曲を聴かせたい』って気持ちでいいんだよ」

 佑に頭を撫でられながら言われ、香澄は「うん」と頷く。

「音楽は人の感性に訴えるものだ。弾きたいものを自分の表現で弾いていい。誰も笑ったりしないから」

「分かった。ありがとう」

 佑が演奏してくれた理由を知り、香澄は微笑む。

「……で、香澄はなんでそんな顔をしているんだ?」

 しゃがんだ佑が、両手で軽く手首を掴んできた。

「ど、どんな顔?」

 瞠目した彼女に、佑はうっすらと妖艶に笑う。

「『ほしい』って顔をしてた。チェロを弾いているのがそんなに珍しかったか?」

 大きな手で顎の下や耳をくすぐられ、香澄は首を竦める。

 先ほどの妖しい気持ちはまだ残っていて、耳の奥には佑の旋律が絡みついていた。

「う……」

 香澄は言葉に詰まり、膝の上で拳を握る。

「香澄?」

 けれど耳たぶを指で擦られた上に、耳の輪郭をなぞられて、とうとう白状した。

「……た、佑さんが演奏してる姿が……色っぽくて……」

「色っぽい?」

 佑は面食らったように目を見開く。

 それを見て、香澄は彼の音色にまで興奮した事に呆れられないよう、慌てて言い訳する。

「チェっ……チェロっ、すっごくいい楽器なんだろうね! お、音が良かったな……」

「ふぅん、ありがとう。で、音を聴いてこんなにモジモジしてる訳?」

「ひんっ」

 腰を撫でられ、香澄はびくんっと震える。

「音を聴いて濡らした?」

「ぬっ、濡れてない!」

 香澄は顔を真っ赤にし、首を横に振る。

「絶対に?」

「絶対!」

 いつもなら、こんな流れになれば「じゃあ確かめようか」となっていただろう。

 だからこそ、演奏を聴いただけで興奮した変態だとバレないために、必死に意地を張っていた。

 その意地張りが、お決まりのパターンを誘導してしまったのに、香澄は気づいていなかった。

「じゃあ、確かめようか」

 ニコッと笑われ、香澄は「あっ……」と目をまん丸にする。

 目を細めた佑は、香澄のニットスカートの中に手を入れてくる。

「ぁん……っ」

 内腿を撫で上げられ、香澄の口から押し殺した悲鳴が漏れる。

 家の中なので、ストッキングは穿いていない。

 だから佑の手はすぐに下着のクロッチに届き、くちゅくちゅと揉んできた。

「あ……、あ……っ」

「濡れてるけど?」

 嬉しそうに笑った佑に言われ、香澄は唇を引き結び横を向く。

「怒らないでこっち見て」

 けれど宥めるように言われ、赤くなった顔でおずおずと彼を見た。

「……堪らない顔をしてるな」

 佑はもう片方の手で香澄の唇をなぞる。

 さらに香澄の唇に指を押し込み、柔らかな舌を撫でたあと、その指を口に含んだ。

 もう片方の手に肉芽を撫でられ、香澄は呼吸を乱す。

「ん……、く……」

 ふぅ、ふぅ……と息を荒げている香澄を見て、佑は満足げに目を細めた。

「このまま襲ってしまいたいな」

「っだ、駄目! 音楽室なのに」

「っはは! その音楽室っていう言い方いいね。学校みたいだ。今度制服でも用意してみようかな」

「もーっ!」

 涙目になって睨むと、背中に佑の手が回った。

 するとあっという間に衣服越しにブラジャーのホックを外され、胸元が軽くなる。

「えっ……」

 香澄が動揺している間に、佑は彼女のトップスをスカートから引き出す。

 ボーッとしている間に、香澄は乳房を曝け出されてしまった。
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