【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十九部・マティアスと麻衣 編

そっけない部屋ですみません

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「マティアスさんもお水飲みます?」

「ああ、もらおう」

 麻衣はグラスに水を注ぎ、「はい」と手渡す。

「何もなくてすみません。今回、家を空けるのが長かったので、冷蔵庫を空っぽにして出かけたんです」

「いや、構わない。水は美味しい」

 麻衣は相変わらずなマティアスに思わず笑ってから、部屋が散らかっていないかさり気なく確認する。

 リビングには二人掛けのソファとローテーブルがある。

 AV機器は少し金を掛けて、そこそこ大きな4Kテレビとブルーレイレコーダーがある。

 ステレオも少しいい物だし、夜間に音楽を聴く時のヘッドフォンも凝っている。

 基本的に料理をするのは好きなので、冷蔵庫は大きい物を買ったし、調味料も各種揃っている。

 金があれば鍋類も良い物を揃えたいが、今はまだ集めている途中だ。

 寝室にはシングルベッドがあり、量販店で買った植物柄の緑色のカバーを掛けている。

 カーテンも淡い緑色で、一人暮らしをする時に「緑は心を安らげる効果があるらしい」と知って統一させた。

 部屋に女子っぽい物――ぬいぐるみやアンティークな小物などは一切ない。

 そこも香澄と同じで、「掃除が大変そうだもんね」で意見が一致している。

「何か……そっけない部屋ですみません。もっと可愛かったらいいんですが」

「いや? とても住み心地が良さそうだ」

「ありがとうございます。荷物を片づけるので、適当に座っていてください。テレビとか見ていていいんで」

 そう言って麻衣はスーツケースを開け、洗濯物を出していく。

 マティアスの前で下着を出すのは恥ずかしいので、下着が入ったビニール袋はそのままだ。

「俺も洗濯が必要だな。近くにコインランドリーはあるだろうか?」

「ん? ありますけど……。うちの洗濯機が嫌じゃなかったら、自由に使っていいですよ?」

「ありがとう。じゃあ、金を払う」

「いやいや、いいですって」

 早めに洗濯をしたいが、今日は遅いので時間的に近所迷惑だ。

(明日やろう。……っていうか、マティアスさんがいるのに下着を干すのは恥ずかしいな)

 香澄のように可愛くてセクシーな下着ならともかく、麻衣の下着は可愛くなく、そこそこ大きい。

(うー……)

 体で隠しながら下着類をネットに入れ、麻衣は考え込む。

「マイ、同じ洗濯機で俺のパンツを洗っても、嫌じゃないか?」

「ぶふっ」

 どストレートに言われ、思わず噴き出してしまった。

(ほんっと飾らない人だなぁ)

「思春期の娘じゃないんですから、そんな事言いませんよ」

「……そうか。思春期の娘はそういう事を言う可能性があるのか」

 マティアスはそう言って何やら考え始める。

 麻衣は彼が何を想像しているのか察して、真っ赤になった。

「まっ、まだ先の話ですからね!?」

「想像するだけタダだろう」

 何とも俗っぽい事を言ってから、マティアスは手持ち無沙汰にテレビをつける。

 話題が逸れたのに安堵し、麻衣は洗濯機に衣類を入れて溜め息をついた。

 明日は土曜日なので、土日のうちに荷物を片付けて日曜日の夜にはゆっくり眠りたい。

「とりあえず、お風呂入って寝ましょうか」

 そう言って、布団を出すべく押し入れを開ける。

「力仕事なら俺がやる」

「あ、どうも。じゃあ、お願いします」

 敷き布団と羽毛布団を出してもらったあと、シーツは二人で協力してセットする。

「香澄もこの布団で寝てたんですよ。たまに母も来て寝ますけど」

「そうか。……何回も泊まりに来ていて、カスミが羨ましい」

 しみじみと言ったマティアスの嫉妬がおかしくて、麻衣は羽根枕を整えながら微笑む。

 そのあとお風呂が沸くまで、マティアスとたわいのない話をした。

「日本に来て一番何が印象的でした?」

「タヌキの金玉かな」

「んぶふっ」

 即答したマティアスの言葉に、麻衣は思わず笑う。

 その件については香澄から聞いていたので、うんうんと頷いておいた。
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