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第十九部・マティアスと麻衣 編

呪いを解く日 ☆

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「承知した」

 マティアスはいつものように返事をするが、頬を紅潮させ少し息を乱していた。

 彼は限界まで腰を引いたあと、麻衣の蜜壷にまたズブズブと屹立を押し込んでくる。

「マ、マティアス……っ、さんは? き、……きもち、……いい?」

 麻衣はその感覚に腰を震わせながらも、懸命にマティアスを気遣っていた。

「あぁ。腰が溶けそうに気持ちいい。好きな女性を抱くとは、こんなに気持ちいい事だと思わなかった」

 彼は額にうっすらと汗を浮かばせて微笑む。

 その顔を見て、麻衣は安堵を覚えた。

「よ……かった……。んぁ……っ」

 最奥まで届いた亀頭が、ずちゅう、と子宮口を押し上げてきて、麻衣は大きく息を吸った。

 子宮口からお腹の深部に、ジン……染みるような感覚が訪れる。

 疼痛とも言えるし、もしかしたら快楽かもしれない。

 分からないからこそ、麻衣は目を閉じて真剣に感覚を研ぎ澄ませ、それが〝何〟なのか見極めようとしていた。

 また、マティアスが腰を引く。

「ひぅ……っ、ぁっ、――あー…………、ん、んぅ……っ」

 体の内側がさざめく感覚に、麻衣は知らずと悩ましい声を出してしまう。

「マイ……っ、……締ま、――る」

 マティアスが、ふぅっ……と息を震わせながら吐いた。

(私の体で感じてくれているんだ……)

 そう思うと、女としての悦びが全身を駆け巡る。

 すると意識した訳ではないのに膣が締まり、マティアスが眉間の皺を深くする。

 美しい彼の妖艶な表情を見ると、心の快楽を得てゾクゾクして堪らない。

 麻衣は官能に彩られたまま、目の前の美しい雄に見とれていた。

(気持ちいい……っ。嬉しい、――――嬉しい)

 悦びの感情が、ポコポコとあぶくのように沸き起こり、心を満たし、体からも溢れてしまいそうだ。

「好、き…………っ」

 あまりに嬉しくて、ついそう漏らした。

 マティアスは彼女の告白を聞いて一瞬瞠目し、――破顔した。

「俺も好きだ。愛してる、マイ」

 マティアスはちゅ、ちゅ、と何度も麻衣にキスをし、何度も小刻みに突き上げてくる。

「んン…………っ、ん、ぁああ……っ、ん、む、――――ん、ふ……っ」

 唇をついばまれ、子宮を押し上げられて、麻衣は甘い悲鳴を漏らす。

 そうしていると、小さく開いた口の隙間から、彼の舌がヌルリと入り込んできた。

 彼の舌を舐め、吸うだけで下腹が切なく疼き、麻衣はさらに秘部を濡らした。

 気が付けばマティアスが動くたびに、グチュッグチュッと聞くに堪えない音がたっていた。

「気持ちい……っ、おか、――おかし、く、……っなっちゃう……っ」

 麻衣はキスの合間に必死に息を吸い、切れ切れの声で訴える。

 肉体の快楽を得ているというより、好きな人と体を重ねる事で、溢れんばかりの心の快楽を得ていた。

 自分には女性的な価値はないと思っていたのに、こんなに愛されている。

 こんなにひねくれた女を求め、このふっくらとした体を抱いて、泣くほど喜んでくれる人がいる。

 心は純粋な悦びに満たされ、感情が昂ぶったあまり涙が零れた。

 マティアスが遠慮がちに腰を突き上げるたび、麻衣はこの上ない喜悦を得る。

「ん……っ、あぁっ、あ、――ん、もっと、……動いて、……いいよ……っ。気持ちいいって、思って、――くれて、るなら、……好きにして、……っいいから……っ」

 喘ぎながらも、麻衣は自分はまだセックスで絶頂できない事を察していた。

 けれどマティアスは違う。

 処女は達きにくくても、、男性は快楽を得ると射精する。

 分かっていても、今はマティアスに気持ち良くなってほしいと思っていた。

 暗く悲しい道を歩いてきた彼に、幸せと悦びを感じながら絶頂してほしいと、麻衣は無償の愛で願った。

「……っだが……っ」

 マティアスは荒々しい呼吸を繰り返し、麻衣を気遣う。

(その気持ちだけで十分だ……)

 彼の優しさを感じ、麻衣はクシャッと笑った。

「いいの……っ。今日は、マティアスさんの呪いを解く日だよ。……っ、今までの、つらかった事、苦しかった事、――ぜんぶっ、私に預けていいから……っ。それで、気持ち良くなって……? マティアスさんの今までの感情、私に半分持たせて……っ」

 彼の頭を撫でると、マティアスは泣き崩れそうな顔で笑った。

「……ありがとう。次は、絶対マイを達かせる。『もういい』って言われるほど、気持ち良くするから」

「ん……」

 視線を交わして微笑み合ったあと、マティアスは上体を起こして麻衣の腰を抱え、本格的に腰を打ち付けてきた。
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