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第十九部・マティアスと麻衣 編
心と体がついていかなかった ☆
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――気持ちいい。
その二つの感情を素直に受け入れた麻衣は、歓喜のあまりに涙を零す。
そしてマティアスをギュッと抱き締め、絶頂した。
「あ! ――っあ、ぁあああ……っ、――ん、…………ぁあ……っ」
麻衣は太腿を閉じてマティアスの腕を挟み、初めて男性に達かされる感覚に溺れる。
(っ気持ちいい……っ……!!)
彼女は全身を力ませて大きく震えたあと、心地よい気だるさに包まれ、脱力していく。
脱力した体は、マティアスがしっかり支えてくれた。
(こんなふうに、人に身を任せてもいいんだ……)
それもまた、初めての経験だった。
「気持ち良かったか?」
マティアスは蜜壷から指を抜き、愛しむ目で尋ねてくる。
「……うん」
麻衣は恥ずかしさも忘れ、ボーッとして頷く。
「そうか。良かった」
微笑んだマティアスは、麻衣を自分の脚の間に座らせ、彼女の肩にお湯を掛ける。
まだ体には力が入らず、下手をすればズルズルと崩れ落ちてしまいそうだ。
けれどそうならないように、マティアスがしっかりと抱き締めてくれている。
その包み込み、守られている感じが心地いい。
やがて気だるさから回復した麻衣は、ずっと思っていた事を尋ねた。
「……あの」
「ん?」
「……マティアスさんはこれでいいの?」
「何がだ?」
「……こ、これ。……つらくないの?」
そう言って麻衣は少し腰を浮かせ、腰に当たっていたマティアスの屹立に触れる。
「……こんなに大きくなって……。だ、出したいなら……協力するけど」
当然未経験だが、動画を見て、フェラチオや手での愛撫のやり方は大体分かっている。
歯が当たったら痛いとも知っていて、雁首を攻めると気持ちいいらしいという事も知っている。
(最低限の事さえ守れば、多少へたくそでも喜んでくれるんじゃ……。……と思うけど、どうなんだろう)
彼にも気持ちよくなってほしいと思って言ってみたのだが、マティアスは恥ずかしそうに微笑んだあと、緩く首を横に振った。
「マイは初めてなのに、そこまでは求めていない。でも気を遣ってくれてありがとう」
「う、ううん。私こそ……ご、ごめん」
積極的すぎて引かれないか気にしたのに、マティアスは麻衣の手をとり、お姫様のように口づけてきた。
「謝る必要はない。気を遣ってくれて嬉しい」
「念のため聞きたいんだけど、マティアスさんはそういうの興味ある? 手で……とか、口で……とか」
「マイがしてくれるなら何でも嬉しい。だがさっきも言ったように、経験がないマイにそんな事は求めない。何回も愛し合った過程で求め合ったなら、そういう流れになる可能性もある。だが今はいい」
「う、うん」
半分答えになっているようで、半分答えになっていない。
そう伝えようとしたが、その前にマティアスが続きを口にする。
「正直、俺はメイクラブに人並みな感想を持っていない。風俗に行った話はしたが、百戦錬磨のキャストを相手にして、よく分からないまま店を出た」
「……どういう事? キャストさんが上手くて夢見心地になったって事?」
麻衣は彼の言う事を理解できず、聞き直す。
「……いや……。心と体がついていかなかったのかな。体は性欲の盛りだったから、とても『ヤリたい』と思っていた。だが心はエミリアに支配され、快楽を得たいというより、ただストレスのはけ口を探していた感じだった」
「あぁ……。なるほど……」
説明され、ただの性欲で風俗に行ったのではないと知る。
男性の体の仕組みは分からないが、強いストレスを抱えていたら射精して発散したいという思いがあってもおかしくない。
「とても奇妙な感覚だった。体は気持ちよくて射精しているのに、気持ちはまったく興奮していなかった。女性を愛撫しても、征服欲とか支配欲とか、そういうものはまったく湧かなかった。だが肉体的に気持ちよくはなったから、少しでも満たされたくて何回か通った。……だが空しくなってそのうち行かなくなった」
「……そう、なんだ」
マティアスの風俗事情を知り、麻衣は何とも言えない感情を抱く。
同情するいっぽうで、マティアスが夢中になって風俗に行っていたのではないと知り、喜んでしまう自分がいた。
けれど彼の事情を知ると、くだらない事で嫉妬していた自分がとても狭量で情けなくなる。
その二つの感情を素直に受け入れた麻衣は、歓喜のあまりに涙を零す。
そしてマティアスをギュッと抱き締め、絶頂した。
「あ! ――っあ、ぁあああ……っ、――ん、…………ぁあ……っ」
麻衣は太腿を閉じてマティアスの腕を挟み、初めて男性に達かされる感覚に溺れる。
(っ気持ちいい……っ……!!)
彼女は全身を力ませて大きく震えたあと、心地よい気だるさに包まれ、脱力していく。
脱力した体は、マティアスがしっかり支えてくれた。
(こんなふうに、人に身を任せてもいいんだ……)
それもまた、初めての経験だった。
「気持ち良かったか?」
マティアスは蜜壷から指を抜き、愛しむ目で尋ねてくる。
「……うん」
麻衣は恥ずかしさも忘れ、ボーッとして頷く。
「そうか。良かった」
微笑んだマティアスは、麻衣を自分の脚の間に座らせ、彼女の肩にお湯を掛ける。
まだ体には力が入らず、下手をすればズルズルと崩れ落ちてしまいそうだ。
けれどそうならないように、マティアスがしっかりと抱き締めてくれている。
その包み込み、守られている感じが心地いい。
やがて気だるさから回復した麻衣は、ずっと思っていた事を尋ねた。
「……あの」
「ん?」
「……マティアスさんはこれでいいの?」
「何がだ?」
「……こ、これ。……つらくないの?」
そう言って麻衣は少し腰を浮かせ、腰に当たっていたマティアスの屹立に触れる。
「……こんなに大きくなって……。だ、出したいなら……協力するけど」
当然未経験だが、動画を見て、フェラチオや手での愛撫のやり方は大体分かっている。
歯が当たったら痛いとも知っていて、雁首を攻めると気持ちいいらしいという事も知っている。
(最低限の事さえ守れば、多少へたくそでも喜んでくれるんじゃ……。……と思うけど、どうなんだろう)
彼にも気持ちよくなってほしいと思って言ってみたのだが、マティアスは恥ずかしそうに微笑んだあと、緩く首を横に振った。
「マイは初めてなのに、そこまでは求めていない。でも気を遣ってくれてありがとう」
「う、ううん。私こそ……ご、ごめん」
積極的すぎて引かれないか気にしたのに、マティアスは麻衣の手をとり、お姫様のように口づけてきた。
「謝る必要はない。気を遣ってくれて嬉しい」
「念のため聞きたいんだけど、マティアスさんはそういうの興味ある? 手で……とか、口で……とか」
「マイがしてくれるなら何でも嬉しい。だがさっきも言ったように、経験がないマイにそんな事は求めない。何回も愛し合った過程で求め合ったなら、そういう流れになる可能性もある。だが今はいい」
「う、うん」
半分答えになっているようで、半分答えになっていない。
そう伝えようとしたが、その前にマティアスが続きを口にする。
「正直、俺はメイクラブに人並みな感想を持っていない。風俗に行った話はしたが、百戦錬磨のキャストを相手にして、よく分からないまま店を出た」
「……どういう事? キャストさんが上手くて夢見心地になったって事?」
麻衣は彼の言う事を理解できず、聞き直す。
「……いや……。心と体がついていかなかったのかな。体は性欲の盛りだったから、とても『ヤリたい』と思っていた。だが心はエミリアに支配され、快楽を得たいというより、ただストレスのはけ口を探していた感じだった」
「あぁ……。なるほど……」
説明され、ただの性欲で風俗に行ったのではないと知る。
男性の体の仕組みは分からないが、強いストレスを抱えていたら射精して発散したいという思いがあってもおかしくない。
「とても奇妙な感覚だった。体は気持ちよくて射精しているのに、気持ちはまったく興奮していなかった。女性を愛撫しても、征服欲とか支配欲とか、そういうものはまったく湧かなかった。だが肉体的に気持ちよくはなったから、少しでも満たされたくて何回か通った。……だが空しくなってそのうち行かなくなった」
「……そう、なんだ」
マティアスの風俗事情を知り、麻衣は何とも言えない感情を抱く。
同情するいっぽうで、マティアスが夢中になって風俗に行っていたのではないと知り、喜んでしまう自分がいた。
けれど彼の事情を知ると、くだらない事で嫉妬していた自分がとても狭量で情けなくなる。
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