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第十九部・マティアスと麻衣 編

こじらせ処女を貫いた結果 ☆

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「ああ」

 水面に浮かんだプルメリアの花に、花を重ねていくという暇つぶしをしていたマティアスが、麻衣のために端に寄ってくれる。

 マティアスは麻衣が完全にお湯の中に入るまで横を向いてくれていた。

 やがて波打っていた水面が鎮まった頃、彼が「そちらを向いてもいいか?」と尋ねてくる。

「い……いい、けど……。あんまり見ないでね」

 幸いだったのは、バスソルトでお湯の色が変わり、体があまり見えない事だ。

 しばらく沈黙があり、自分の鼓動だけでお湯に波紋ができるような錯覚すら覚える。

 麻衣はゴクッと唾を嚥下した音が聞こえてしまわないか、黙ったまま焦りに焦る。

「触れてもいいか?」

 だがそう尋ねられ、「へぁっ?」と間抜けな声が漏れた。

「う、う、……うぅ、い、……ちょ、ちょっと……なら」

「抱き締めさせてくれ」

「えぇっ!? 裸で!?」

 思わずぐりんっとマティアスを見ると、黙っていても美形な男が、髪を濡らした姿でこちらを見ていて「無理!」と瞬時にそっぽを向く。

「少しずつ慣らしていかないか? いきなり上級者向けな事はしない。初級から行こう」

「う、うぅ……。いい……けど……」

 小さな声で返事をすると、マティアスが麻衣を後ろから抱き締め、脚を伸ばした。

 図らずもお腹の前でマティアスの手が交差し、麻衣はカァーッと赤面する。

「あ……あの。できればお腹は触らないでくれると嬉しい。……お肉がついてるから、恥ずかしい……」

「そうか? 触り心地が良さそうで全部触りたいが。じゃあ、こっちはいいか?」

 そう言ってマティアスは、突然ぱふっと麻衣の乳房を手で包んできた。

「!!!!!」

 麻衣はマティアスが後ろにいるのをいい事に、目を剥いて物凄い顔をする。

 だが彼女の体が強張ったのを感じ、マティアスが耳元で尋ねてきた。

「嫌か? 揉まれる練習をしてみないか?」

「う……うう……」

 何も言えずにうなる麻衣の乳房を、マティアスは優しく揉んでくる。

(っなに……これ……っ。変、な、……感じ……)

 今までセックスとは縁遠く、代わりに社会勉強のつもりでエロ動画を見ていた。

 動画では女優が胸を揉まれ、乳首を摘ままれて甘ったるい声を出していた。

 早い段階であれは演技と知り、アダルト動画の真似をして秘部を乱暴に愛撫するのを〝ガシマン〟と呼ばれて嫌われている事も知った。

『実際はどうするのが正解なんだろう?』と疑問に思ったまま、この年齢になってしまった。

 女性向けの風俗があるのは知っていて、最悪それで経験してみようか……とも思った事はある。

 だがお金を払うとはいえ、自分のような女を仕事で愛撫しなければいけない男性に申し訳なく、勇気が出ない。

 きっと〝ハズレ客〟と思われると想像すると、考えるだけでつらくなった。

 大人の道具も恥ずかしくて手を出せない。

 電動系の物は音が出るらしく、一人暮らしなのに特徴的な音を立てていたら近所の人にバレそうだ。

『お前そんなデブなのにオナニーするの? あ、デブだからか』と思われそうだ。

 結局、『私みたいなの喪女っていうんだろうな』と思いながら、こじらせ処女を貫いてきた。

 何度か自分で胸を揉んでみた事もあったが、ちっとも気持ちいいなど思わなかった。

 ――なのに、だ。

 マティアスの大きな手に包まれてやわやわと揉まれただけで、思わず体をくの字に折って悶えたくなる感覚が襲ってくる。

 くすぐったい、というのともまた違う。

 体の深部がモゾモゾして、どうしようもなくなる。

 堪らなくなって身じろぎすると、お尻に硬いモノが当たった。

(これって……! 生ちん●!)

 もうどこに気を遣って、どこに反応したらいいのか分からない。

 混乱しきっている時、マティアスの指先が胸の先端をかすめ、変な声が漏れた。

「んぁっ……、……!?」

 自分の口からそんな声が出ると思わず、麻衣はバッと両手で口を塞ぐ。

「気持ちいいか?」

 だがマティアスは気を良くし、まだ柔らかい麻衣の乳首を優しく弄ってくる。

「んっ、んー……、ぁ、……っちょ……」

 麻衣はギュッとマティアスの腕を抱くようにして、俯いて体を強張らせる。

「リラックスしてくれ。怖い事はしない」

 マティアスは俯いて剥き出しになった、麻衣のうなじに唇をつけてきた。

「っひぅ……」

 チロリとうなじを舐められて、彼女は大きく体を震わせる。
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