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第十九部・マティアスと麻衣 編
カフェで合流、帰宅
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「……はぁ。客が帰ったらめちゃくちゃセックスするからな」
佑は未練がましく、もう一度香澄の唇をついばんでから、じっとりと半眼になって言う。
「うー、佑さんにしては我慢してるから、その時は逃げませんとも」
「よし。絶対だぞ?」
佑は最後にもう一度チュッと音を立ててキスをし、香澄を解放して立ち上がった。
「麻衣さんの足のサイズ知ってるか?」
「うーんと、二十四.五かな?」
「ワイズは分かる?」
「わいず」
聞き慣れない単語をオウム返しにすると、佑は「3Eから5E、全部持っていこう」と中身を確認して箱を三つ抱える。
「靴も佑さんが作ったの?」
佑もマリアのように靴を作れるのかと驚くと、彼は「いいや」と苦笑する。
「靴は全部、趣味で集めた物だ。気になった物を取り寄せて、セレクトショップ的なものを展開しようかと思ったけど、そのまま」
「ふぅん……」
佑は見繕ったアイテムを、CEPの大きくて頑丈な紙袋に収める。
「一つ持つよ」
大きな紙袋を三つ持っているので、香澄は手を差し出す。
「いや、大丈夫だ。ドア開けてくれる?」
「うん、分かった」
「鍵はコートのポケット」
「ん。お邪魔します」
佑の右ポケットに手を入れると、すぐにキーケースに指先が当たった。
玄関まで行くと先に靴を履いてドアを開き、佑が通ってから鍵を掛ける。
エレベーターに乗ってから、彼に尋ねた。
「荷物、カフェまで持っていくの?」
「いや、一度車に積んで、家まで運んでもらう」
「うん、分かった」
香澄は佑のポケットにキーケースを戻し、エッグベネディクトに思いを馳せて「んへへ……」と締まりなく笑った。
**
「お待たせ!」
カフェに入ると、麻衣と双子、マティアスが座って待っていた。
元から店内で注目を浴びていたグループに佑が加わり、周囲から押し殺した悲鳴が上がった。
「香澄~!」
泣きそうな顔をした麻衣は、物凄い勢いで自分の隣をポンポンポンポン叩いた。
「よしよし。何か言われた?」
香澄は麻衣の隣に座ってぎゅーっと親友を抱き締めてから、ぬかりなくメニューに手を伸ばす。
「ムリ……ムリ! 絶対ムリ! この顔面の男どもと一緒にいるのが私とか、ほんっとムリゲー!」
麻衣が耳元でボソボソと囁き、力尽きて香澄の肩に顔を押しつけてきた。
「マイ、甘えるなら右側も空いてるぞ」
すかさずマティアスが言うが、麻衣は片手をヒラヒラ振って取り合わない。
「麻衣たちはランチ食べたんだよね?」
「うん。美味しかったよ」
話題が変わって麻衣は体勢を戻し、香澄と一緒にメニューを覗き込む。
「エッグベネディクト食べた?」
「うん食べた。うまかった」
「よし、食べる」
そんな会話をしている女子二人を、向かいに座った佑がにこやかに見つめていた。
**
「たーだいま!」
御劔邸に戻った双子が大きな声で言い、フェリシアに「おかえりなさい、タスクさん」と言われてぶーたれる。
その姿を見た香澄はクスクス笑い、双子が手に持っている袋が何なのか気になって尋ねた。
「カフェにいた時から思っていたんですが、それなんです?」
「うなぎ! 今日のディナーに食べようと思って、人数分テイクアウトしておいたよ」
「うな!?」
香澄は声を上げ、双子にバシバシと背中を叩かれる。
佑は未練がましく、もう一度香澄の唇をついばんでから、じっとりと半眼になって言う。
「うー、佑さんにしては我慢してるから、その時は逃げませんとも」
「よし。絶対だぞ?」
佑は最後にもう一度チュッと音を立ててキスをし、香澄を解放して立ち上がった。
「麻衣さんの足のサイズ知ってるか?」
「うーんと、二十四.五かな?」
「ワイズは分かる?」
「わいず」
聞き慣れない単語をオウム返しにすると、佑は「3Eから5E、全部持っていこう」と中身を確認して箱を三つ抱える。
「靴も佑さんが作ったの?」
佑もマリアのように靴を作れるのかと驚くと、彼は「いいや」と苦笑する。
「靴は全部、趣味で集めた物だ。気になった物を取り寄せて、セレクトショップ的なものを展開しようかと思ったけど、そのまま」
「ふぅん……」
佑は見繕ったアイテムを、CEPの大きくて頑丈な紙袋に収める。
「一つ持つよ」
大きな紙袋を三つ持っているので、香澄は手を差し出す。
「いや、大丈夫だ。ドア開けてくれる?」
「うん、分かった」
「鍵はコートのポケット」
「ん。お邪魔します」
佑の右ポケットに手を入れると、すぐにキーケースに指先が当たった。
玄関まで行くと先に靴を履いてドアを開き、佑が通ってから鍵を掛ける。
エレベーターに乗ってから、彼に尋ねた。
「荷物、カフェまで持っていくの?」
「いや、一度車に積んで、家まで運んでもらう」
「うん、分かった」
香澄は佑のポケットにキーケースを戻し、エッグベネディクトに思いを馳せて「んへへ……」と締まりなく笑った。
**
「お待たせ!」
カフェに入ると、麻衣と双子、マティアスが座って待っていた。
元から店内で注目を浴びていたグループに佑が加わり、周囲から押し殺した悲鳴が上がった。
「香澄~!」
泣きそうな顔をした麻衣は、物凄い勢いで自分の隣をポンポンポンポン叩いた。
「よしよし。何か言われた?」
香澄は麻衣の隣に座ってぎゅーっと親友を抱き締めてから、ぬかりなくメニューに手を伸ばす。
「ムリ……ムリ! 絶対ムリ! この顔面の男どもと一緒にいるのが私とか、ほんっとムリゲー!」
麻衣が耳元でボソボソと囁き、力尽きて香澄の肩に顔を押しつけてきた。
「マイ、甘えるなら右側も空いてるぞ」
すかさずマティアスが言うが、麻衣は片手をヒラヒラ振って取り合わない。
「麻衣たちはランチ食べたんだよね?」
「うん。美味しかったよ」
話題が変わって麻衣は体勢を戻し、香澄と一緒にメニューを覗き込む。
「エッグベネディクト食べた?」
「うん食べた。うまかった」
「よし、食べる」
そんな会話をしている女子二人を、向かいに座った佑がにこやかに見つめていた。
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「たーだいま!」
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その姿を見た香澄はクスクス笑い、双子が手に持っている袋が何なのか気になって尋ねた。
「カフェにいた時から思っていたんですが、それなんです?」
「うなぎ! 今日のディナーに食べようと思って、人数分テイクアウトしておいたよ」
「うな!?」
香澄は声を上げ、双子にバシバシと背中を叩かれる。
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