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第十八部・麻衣と年越し 編

少し触っていいか?

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「当たり前だよ。年の終わりと始まりぐらい御劔さんと過ごしな。私はこの家に泊まらせてもらえるだけで御の字なんだから。それに香澄と御劔さんは家主だし、イチャついても何の問題もないの。……まぁ、声が大きいとアレだけどね」

 ニヤッと笑われ、香澄は赤面する。

「しないよ」

「半分冗談としても、香澄が私に遠慮する事は何もないんだよ。もう夜も遅いから、早く御劔さんの所に行ってあげな」

「……ありがとう。麻衣、大好き」

「はいはい」

 ベッドまで行って麻衣をぎゅーっと抱き締めてから、香澄は「おやすみ」と言って佑の寝室に戻った。



**



「おまたせ」

香澄は小さな声で佑に帰りを告げ、モソモソとベッドに潜り込む。

 麻衣の部屋のベッドはセミダブルなので、久しぶりに佑のベッドに戻るととても広く感じる。
 とはいえ、セミダブルでも十分広いのだが。

(久しぶりに佑さんと寝る気がする)

 実際は数日程度なのだが、随分長い間彼と寝ていない気がした。

「あぁ……。香澄の匂いがする」

 佑は香澄を抱き締め、首筋に顔を埋めてスゥッと香りを吸い込む。

(……佑さんの匂いがする)

 香澄も同じ事を思い、スハスハと彼の香りを嗅ぐ。

「あの……あのね。明けちゃったけど、今年一年、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します」

 彼の腕の中でペコリと頭を下げると、佑が小さく笑った。

「こちらこそ。昨年は大変お世話なりました。本年も大変お世話になるつもりなので、どうぞ宜しくお願い致します」

「んっふっふ……」

 佑らしい挨拶のしかたに思わず笑うと、彼は少しまじめな調子になって言う。

「今年の目標は結婚式だな。まず婚約指輪を買って、春に香澄の脚のボルトを取る。六月には籍を入れて挙式。ハネムーンの準備も改めてしないと」

 再度そう言われると、「いよいよ今年……」とドキッとした。

「体型は変わってないか? 俺が作り進めていたドレスは、そのまま地下に保管してある。必要なら直せるから、近いうちにサイズを測りたい」

「う……うん。最近ちょっと太ったかもだけど、結婚式までには痩せる」

 そう言った香澄の胸を、佑がキャミソール越しにムニュッと揉んできた。

「確かに胸はサイズアップしたかもな?」

「かも」

 この家で暮らし始めた頃から、なにげにワンカップ上がろうとしている。

 トレーナーのショウコからは、「ナイトブラつけるより、バストアップのトレーニングのほうが効くし、垂れないわよ」と言われているので、あれこれ試みている。

「香澄の健康とプロポーションを守るためには投資を惜しまない。これからも必要な事があったら何でも言ってくれ」

「もう……」

 ブレない彼に、思わず笑ってしまう。

「それはそうと、麻衣さんにまで〝お父さん〟とか言わなくていいからな?」

 そう言って佑は香澄の肩にカプッと噛みついてきた。

「ご……ごめんって。……ん」

 そのまま肩を舐められたので、少し吐息が漏れてしまう。

「少し……触っていいか? 香澄が困る事はしないから」

 やや余裕のない声で言われ、ジワッと頬に熱が宿る。

「……触る程度なら」

 許可すると、佑は大きな手でスルリと香澄の背中を撫でてきた。

 彼はキャミソールの裾から手を入れて滑らかな肌を堪能し、微かに息をつく。
 背中を存分に楽しんだあと、タップパンツの中に手を入れて尻たぶをギュッと掴んできた。

「…………っ」

 それだけで体の深部にジワッと熱が宿り、落ち着かない気持ちになる。

 さらに佑は、臀部の弾力を確かめるように何度か揉んできた。

 そのあと、すべすべと撫でてくる。

「ん……」

 落ち着かない。

 思わず吐息を漏らして腰を揺らした香澄の額に、佑は唇をつける。

「可愛いよ」

 耳元で褒められ、それだけで香澄はブルッと小さく震えた。
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