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第十八部・麻衣と年越し 編
同窓会の予定
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「駄目?」
ニセコの時は心配させてしまい、申し訳なく思っている。
だがあれ以降、連絡を取れる状態でならいつ帰省してもいいと言われていた。
(まさか麻衣がいる前で、変な嫉妬や独占欲を見せなきゃいいけど……)
心配になっていると、佑が意外な事を言った。
「いや、俺も一月に高校時代の友人との新年会に誘われているんだ。で、それに香澄を連れてきてほしいと言われていて」
「えー?」
聞いてない、と香澄は目をまん丸にする。
「いやぁ、奇遇ですね御劔さん。私の友達も『御劔さんを連れて来てほしい』って香澄にお願いしようとしてたんです」
「えーっ!?」
香澄は声を上げた。
佑の同窓会に香澄がついて行くなら、大した騒ぎにはならないだろう。
だが自分たちの集まりにいきなり有名人が現れたら、みんな興奮してしまうのでは……と心配になった。
「ど、どうするの? さすがに……」
スケジュール的には、同じ連休を使わずとも、週末を使えば調整できるかもしれない。
だが問題は中身だ。
「こっちの新年会はそんな大人数じゃないし、日程もまだあやふやなんだ。こっちは関東にバラついている奴らが集まるだけだから、融通もきくだろう」
「……という事は? 両方アリ?」
「香澄が一人で帰省するのも気になるし、香澄だって俺が女子もいる昔の友人と会うって言ったら多少は不安になるだろ?」
「う、うー……」
同窓会なら……と思っていたが、いざ〝同級生の女子〟というワードがでると、少し不安になってしまう。
「それに、俺のジェットを使えばスムーズに行き来できる」
佑が言葉と財力でゴリ押ししていく様子を、麻衣は感心した表情で見守っている。
そして小さく挙手して発言した。
「じゃあ御劔さん、私と連絡取りましょうか。調整する間、香澄を挟まずダイレクトに連絡がついたほうがスムーズでしょうし」
「そうだな」
香澄は自分が把握し切れていないうちに話がつき、頼もしいやら、これでいいのかやらだ。
時間を確認すると、もう二十三時半になろうとしている。
「そろそろ寝ようか」
「うん」
麻衣に言われて香澄はスマホをしまい、温くなったホットミルクを飲んで立つ。
リビングにある流しでマグカップを洗うと、ぼちぼち寝る準備に入った。
「麻衣、今日も一緒に寝ていい?」
「いいけど……。御劔さんの嫉妬が怖いなぁ」
麻衣がチラッと佑を見て悪戯っぽく言うと、佑もニヤッと笑って冗談を返す。
「俺は毎日抱き枕にしているから、少しの間なら麻衣さんに譲るよ」
「あらー、ゴチソウサマ」
「もー、佑さんも麻衣も……」
和やかに雰囲気になり、洗面所に行って寝間着に着替えてから、就寝した。
**
十二月二十九日は、比較的近所を攻めた。
六本木に行って有名な高層ビルに入ったあと、車で移動途中に東京タワー、赤坂、霞ヶ関、皇居をぐるっと回る。
ランチは築地で寿司だ。
佑の行きつけの寿司屋は銀座にあるのだが、麻衣が「築地でお寿司が食べたい」と言っていたので、それを叶える事にした。
時間前にさらっと場外市場の雰囲気を楽しんでいると、鯨カツや鯨ステーキの文字を見て麻衣が「おお」と反応する。
それを見て香澄が彼女を手招きする。
「麻衣、こっちマグロ専門店だって」
「へぇ~。いいね。大トロ一貫五百円。回転寿司から考えるとちょっと高いけど、冥土の土産に食べてみたい」
「え~? これからスシ食べるんでしょ?」
本日の双子は、お揃いのグレンチェックのチェスターコートを着て、マフラーはアロイスがワインレッド、クラウスがネイビーだ。
「確かにこれから寿司屋には行くけど、一貫なら記念に食べてきたらどうだ?」
「いいの? 佑さん」
尋ねた香澄に、佑はクスクス笑う。
ニセコの時は心配させてしまい、申し訳なく思っている。
だがあれ以降、連絡を取れる状態でならいつ帰省してもいいと言われていた。
(まさか麻衣がいる前で、変な嫉妬や独占欲を見せなきゃいいけど……)
心配になっていると、佑が意外な事を言った。
「いや、俺も一月に高校時代の友人との新年会に誘われているんだ。で、それに香澄を連れてきてほしいと言われていて」
「えー?」
聞いてない、と香澄は目をまん丸にする。
「いやぁ、奇遇ですね御劔さん。私の友達も『御劔さんを連れて来てほしい』って香澄にお願いしようとしてたんです」
「えーっ!?」
香澄は声を上げた。
佑の同窓会に香澄がついて行くなら、大した騒ぎにはならないだろう。
だが自分たちの集まりにいきなり有名人が現れたら、みんな興奮してしまうのでは……と心配になった。
「ど、どうするの? さすがに……」
スケジュール的には、同じ連休を使わずとも、週末を使えば調整できるかもしれない。
だが問題は中身だ。
「こっちの新年会はそんな大人数じゃないし、日程もまだあやふやなんだ。こっちは関東にバラついている奴らが集まるだけだから、融通もきくだろう」
「……という事は? 両方アリ?」
「香澄が一人で帰省するのも気になるし、香澄だって俺が女子もいる昔の友人と会うって言ったら多少は不安になるだろ?」
「う、うー……」
同窓会なら……と思っていたが、いざ〝同級生の女子〟というワードがでると、少し不安になってしまう。
「それに、俺のジェットを使えばスムーズに行き来できる」
佑が言葉と財力でゴリ押ししていく様子を、麻衣は感心した表情で見守っている。
そして小さく挙手して発言した。
「じゃあ御劔さん、私と連絡取りましょうか。調整する間、香澄を挟まずダイレクトに連絡がついたほうがスムーズでしょうし」
「そうだな」
香澄は自分が把握し切れていないうちに話がつき、頼もしいやら、これでいいのかやらだ。
時間を確認すると、もう二十三時半になろうとしている。
「そろそろ寝ようか」
「うん」
麻衣に言われて香澄はスマホをしまい、温くなったホットミルクを飲んで立つ。
リビングにある流しでマグカップを洗うと、ぼちぼち寝る準備に入った。
「麻衣、今日も一緒に寝ていい?」
「いいけど……。御劔さんの嫉妬が怖いなぁ」
麻衣がチラッと佑を見て悪戯っぽく言うと、佑もニヤッと笑って冗談を返す。
「俺は毎日抱き枕にしているから、少しの間なら麻衣さんに譲るよ」
「あらー、ゴチソウサマ」
「もー、佑さんも麻衣も……」
和やかに雰囲気になり、洗面所に行って寝間着に着替えてから、就寝した。
**
十二月二十九日は、比較的近所を攻めた。
六本木に行って有名な高層ビルに入ったあと、車で移動途中に東京タワー、赤坂、霞ヶ関、皇居をぐるっと回る。
ランチは築地で寿司だ。
佑の行きつけの寿司屋は銀座にあるのだが、麻衣が「築地でお寿司が食べたい」と言っていたので、それを叶える事にした。
時間前にさらっと場外市場の雰囲気を楽しんでいると、鯨カツや鯨ステーキの文字を見て麻衣が「おお」と反応する。
それを見て香澄が彼女を手招きする。
「麻衣、こっちマグロ専門店だって」
「へぇ~。いいね。大トロ一貫五百円。回転寿司から考えるとちょっと高いけど、冥土の土産に食べてみたい」
「え~? これからスシ食べるんでしょ?」
本日の双子は、お揃いのグレンチェックのチェスターコートを着て、マフラーはアロイスがワインレッド、クラウスがネイビーだ。
「確かにこれから寿司屋には行くけど、一貫なら記念に食べてきたらどうだ?」
「いいの? 佑さん」
尋ねた香澄に、佑はクスクス笑う。
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