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第十八部・麻衣と年越し 編
ナイスオープン
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「あっ! す、すみません! 私、寝坊しちゃって!」
慌ててペコペコ頭を下げる麻衣を見て、佑がソファから立ち上がる。
「気にしなくていいよ。あとはスープを温めてオムレツを作るだけだから。すぐ食べられないかもしれないから、まずは白湯とスムージーでもどうぞ」
キッチン台の上にはもうすでに大きめのコップに緑色のスムージーがある。
香澄はいつものルーティンで、ウォーターサーバーからマグカップにお湯をだす。
麻衣は「セレブの朝食、スムージー……」と呟いていた。
「あはは、そういうイメージはあるよね。スムージーはお砂糖入ってなくて、甘味はバナナだけなんだけど、美味しいよ」
「ふぅん……」
ちびちびと白湯を飲んだあと、香澄は腰に手を当ててゴッゴッ……とスムージーを飲み始める。
それを見て、麻衣も慌てて倣った。
佑はコンロに向かい、冷蔵庫から高級バターを出してオムレツを作り始めた。
それを見て麻衣が思わず呟く。
「男の料理っていいね。イケメン料理チャンネルとしてミーチューブでがっぽり……」
「あはは! それいいかも」
香澄が笑った時、佑が芝居がかった様子で軽く会釈した。
「お褒め頂き光栄の至り。味も褒めてもらえると嬉しいよ」
佑は慣れた手つきでフライパンを持つほうの手首をトントンと叩き、プロのように形を整えていく。
「すご……。御劔さんって料理もできるんですね」
感心する麻衣の言葉に、香澄が嬉しくなる。
「大概の事はできちゃうスパダリだよ」
「マジでスパダリ」
香澄と麻衣は趣味が似ていて、読んでいる漫画もよく重なる。
スパダリやヤンデレなどの言葉もすぐ通じるが、佑は「以前香澄が言っていたような、何だっけ?」という顔をしていた。
「カスミはいつもの席だろ? マイはどこに座るの?」
バゲットを切っているアロイスが、麻衣に尋ねてくる。
「え? えーと……」
「麻衣は私の隣においでよ。佑さん、いい?」
「俺はどこでもいいよ」
香澄の提案に佑はキッチンから返事をし、双子達も「どこでもいいよー」といつものように軽く答える。
香澄が自分の席にスマホを置くと、麻衣はその左隣にスマホを置く。
するとそのタイミングでマティアスが麻衣の向かいの椅子を引く。
同じようにスマホを置こうとしてポケットを探り、リビングのテーブルに置いてあるのを思いだして、慌てて取りにいった。
「佑さん、運ぶ物ある?」
「スープ温めてるから、掻き回して盛ってくれるか?」
「了解」
香澄はいつものようにテキパキと動き、麻衣に「座っていていいよ」と声を掛ける。
「うん」
そう言われたものの、麻衣はどこか落ち着かない様子だ。
その時、マティアスが食べるオリーブオイルの瓶を渡してきた。
「開けてくれ。マイの力が必要だ」
「「ぶふぉんっ!!」」
その瞬間、双子が激しく噴きだした。
麻衣はよく分からないながらも瓶を持ち、「ふんっ!」と力を込めて蓋を開ける。
バキョッと音を立てて蓋が開き、麻衣は達成感を覚えてマティアスに「はい」と瓶を渡す。
「瓶を開ける姿が素敵だった。ナイスオープン」
「はい? …………はぁ、どうも……。ゴルフみたいですね」
そのやり取りを聞いて、双子は声もなく崩れ落ち、しゃがみ込んでしばらく泣きながら笑っていた。
香澄はキッチンからその光景を眺め、昨晩のビンタの遺恨は残っていないようで安心していた。
そのあと佑が作った朝食と近所の美味しいパンを食べ、コーヒーを飲みながら東京観光をどうするかという話し合いが始まった。
**
「麻衣、どこ行きたい?」
香澄に尋ねられ、麻衣は期待に目をキラキラさせて応える。
「すっごい初歩的な事を言っていい? 東京と言えば……な、ベタな所に行きたい。子供の頃に親と一緒に来た事があるけど、記憶は曖昧だし、景色も変わってると思うし。だから、〝今〟の東京が見たい」
彼女の希望を聞き、香澄はコクンと頷く。
慌ててペコペコ頭を下げる麻衣を見て、佑がソファから立ち上がる。
「気にしなくていいよ。あとはスープを温めてオムレツを作るだけだから。すぐ食べられないかもしれないから、まずは白湯とスムージーでもどうぞ」
キッチン台の上にはもうすでに大きめのコップに緑色のスムージーがある。
香澄はいつものルーティンで、ウォーターサーバーからマグカップにお湯をだす。
麻衣は「セレブの朝食、スムージー……」と呟いていた。
「あはは、そういうイメージはあるよね。スムージーはお砂糖入ってなくて、甘味はバナナだけなんだけど、美味しいよ」
「ふぅん……」
ちびちびと白湯を飲んだあと、香澄は腰に手を当ててゴッゴッ……とスムージーを飲み始める。
それを見て、麻衣も慌てて倣った。
佑はコンロに向かい、冷蔵庫から高級バターを出してオムレツを作り始めた。
それを見て麻衣が思わず呟く。
「男の料理っていいね。イケメン料理チャンネルとしてミーチューブでがっぽり……」
「あはは! それいいかも」
香澄が笑った時、佑が芝居がかった様子で軽く会釈した。
「お褒め頂き光栄の至り。味も褒めてもらえると嬉しいよ」
佑は慣れた手つきでフライパンを持つほうの手首をトントンと叩き、プロのように形を整えていく。
「すご……。御劔さんって料理もできるんですね」
感心する麻衣の言葉に、香澄が嬉しくなる。
「大概の事はできちゃうスパダリだよ」
「マジでスパダリ」
香澄と麻衣は趣味が似ていて、読んでいる漫画もよく重なる。
スパダリやヤンデレなどの言葉もすぐ通じるが、佑は「以前香澄が言っていたような、何だっけ?」という顔をしていた。
「カスミはいつもの席だろ? マイはどこに座るの?」
バゲットを切っているアロイスが、麻衣に尋ねてくる。
「え? えーと……」
「麻衣は私の隣においでよ。佑さん、いい?」
「俺はどこでもいいよ」
香澄の提案に佑はキッチンから返事をし、双子達も「どこでもいいよー」といつものように軽く答える。
香澄が自分の席にスマホを置くと、麻衣はその左隣にスマホを置く。
するとそのタイミングでマティアスが麻衣の向かいの椅子を引く。
同じようにスマホを置こうとしてポケットを探り、リビングのテーブルに置いてあるのを思いだして、慌てて取りにいった。
「佑さん、運ぶ物ある?」
「スープ温めてるから、掻き回して盛ってくれるか?」
「了解」
香澄はいつものようにテキパキと動き、麻衣に「座っていていいよ」と声を掛ける。
「うん」
そう言われたものの、麻衣はどこか落ち着かない様子だ。
その時、マティアスが食べるオリーブオイルの瓶を渡してきた。
「開けてくれ。マイの力が必要だ」
「「ぶふぉんっ!!」」
その瞬間、双子が激しく噴きだした。
麻衣はよく分からないながらも瓶を持ち、「ふんっ!」と力を込めて蓋を開ける。
バキョッと音を立てて蓋が開き、麻衣は達成感を覚えてマティアスに「はい」と瓶を渡す。
「瓶を開ける姿が素敵だった。ナイスオープン」
「はい? …………はぁ、どうも……。ゴルフみたいですね」
そのやり取りを聞いて、双子は声もなく崩れ落ち、しゃがみ込んでしばらく泣きながら笑っていた。
香澄はキッチンからその光景を眺め、昨晩のビンタの遺恨は残っていないようで安心していた。
そのあと佑が作った朝食と近所の美味しいパンを食べ、コーヒーを飲みながら東京観光をどうするかという話し合いが始まった。
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「すっごい初歩的な事を言っていい? 東京と言えば……な、ベタな所に行きたい。子供の頃に親と一緒に来た事があるけど、記憶は曖昧だし、景色も変わってると思うし。だから、〝今〟の東京が見たい」
彼女の希望を聞き、香澄はコクンと頷く。
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