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第十七部・クリスマスパーティー 編
プレゼント交換
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中から出て来たのは和紙の箱で、その中から掌サイズのタヌキの置物がでてきた。
もちろん、マティアスにも手書きメッセージのカードがある。
「おお……!」
彼はキラキラとした目でタヌキの置物を見ている。
「それ、ちゃんと信楽焼きなんです。お好きかと思って」
「ちゃんと金玉がついてるな。小さいのにでかい」
マティアスが変な所にこだわり、香澄は思わず声もなく笑い崩れて横を向く。
双子もゲラゲラ笑い、佑も体を震わせている。
「もー……。マティアスさんって大概ヘンですよね?」
「香澄? 俺には?」
耳元で佑の声がし、香澄はビクッと肩をすくめる。
「え、えっと……佑さんには」
そう言って香澄は、えんじ色の包装紙に金色のリボンが掛かった小箱を渡す。
「どうぞ。あ、あの……お三方には悪いのですが、その……佑さんは婚約者で特別なので、プレゼントの中身もちょっと特別と言いますか……」
中身に差がある事を伝えると、双子があっけらかんとして答える。
「あ、それは気にしなくていいよ。俺たちはカスミからのプレゼントを値段で判断してないし」
「そうそう。カスミが僕らにプレゼントを贈るのに、考えてくれた時間やこの! カスミ直筆のメッセージカード! が、いいの」
クラウスはクリスマス柄のメッセージカードを佑の目の前に掲げ、決して中身は見せず表紙を指でトントントントンと叩いてみせる。
佑は香澄から直筆メッセージを受け取っていないため、それを悔しそうに見ていた。
「お前、心の狭い男だからカスミが僕らになんてメッセージくれたのか、すっげぇ気になってるんだろ」
クラウスが意地の悪い顔をし、佑はさらに悔しそうにする。
「気になるよ。悪いか?」
素直な返事を聞いて、双子は胸の前で手を打ち鳴らしてキャッキャと喜ぶ。
「ぜってー見せてやんねー」
「一生気にしたまんまでいるといいよ!」
「もー、お二人とも……。佑さん、開けてみて?」
香澄は双子に向かって「まぁまぁ」と手を向けていなしたあと、佑にプレゼントを示す。
佑は「ん、んンっ」と咳払いをし、中から出てきた小箱を開ける。
小箱の中には、小粒の宝石が輝くネクタイピンがあった。
「六月の誕生石がついたネクタイピンにしたの。六月ってパールとムーンストーンも誕生石なんだけど、石言葉を調べてアレキサンドライトは『高貴、情熱』っていう意味があるから、それがいいなって思って」
普段、佑が贈ってくれる高級な宝石と比べると安物かもしれないが、香澄からすれば奮発した金額だ。
実はこれを買うに当たって美鈴に相談し、信頼できる宝石屋を紹介してもらった。
佑はクリスマスカードを見て、「あとで一人で読もう」と呟いてシャツの胸ポケットにしまう。そしてとろけるような微笑みを浮かべた。
「ありがとう。毎日つけるよ」
佑は香澄の手を握り、手の甲にチュッと口づける。
「そ、そんっ……あ、ありがとう……」
佑に色々されるのは慣れていい頃合いなのだが、こうしてお姫様のように手の甲にキスされると、ドキッとしてしまう。
「じゃあ、香澄へのプレゼントの一番乗りは俺だな」
佑はそう言って香澄の手に、ポンと赤い包装紙に金色のリボンが巻かれた箱を置く。
「じゃ、じゃあ。開けさせて頂きます」
この一年、佑にはプレゼント攻撃――もとい爆撃を受けていたが、それでもプレゼントをもらうとなると嬉しい。
「ん……?」
出てきたのは、アクセサリーの入ったビロードの箱だ。
「んっ?」
もう一度声が漏れたのは、リングケースの台座に指輪が二つ嵌まっていたからだ。
(ペアリング? まさかマリッジリングじゃないと思うけど……)
「え……と」
指輪はプラチナで、中央に大きめの石、その左右二つずつ、合計五つの石が嵌まっている。
指輪の片方は濃いピンクの石で統一され、もう片方はオレンジとも朱色ともつかない色で統一されている。
もちろん、マティアスにも手書きメッセージのカードがある。
「おお……!」
彼はキラキラとした目でタヌキの置物を見ている。
「それ、ちゃんと信楽焼きなんです。お好きかと思って」
「ちゃんと金玉がついてるな。小さいのにでかい」
マティアスが変な所にこだわり、香澄は思わず声もなく笑い崩れて横を向く。
双子もゲラゲラ笑い、佑も体を震わせている。
「もー……。マティアスさんって大概ヘンですよね?」
「香澄? 俺には?」
耳元で佑の声がし、香澄はビクッと肩をすくめる。
「え、えっと……佑さんには」
そう言って香澄は、えんじ色の包装紙に金色のリボンが掛かった小箱を渡す。
「どうぞ。あ、あの……お三方には悪いのですが、その……佑さんは婚約者で特別なので、プレゼントの中身もちょっと特別と言いますか……」
中身に差がある事を伝えると、双子があっけらかんとして答える。
「あ、それは気にしなくていいよ。俺たちはカスミからのプレゼントを値段で判断してないし」
「そうそう。カスミが僕らにプレゼントを贈るのに、考えてくれた時間やこの! カスミ直筆のメッセージカード! が、いいの」
クラウスはクリスマス柄のメッセージカードを佑の目の前に掲げ、決して中身は見せず表紙を指でトントントントンと叩いてみせる。
佑は香澄から直筆メッセージを受け取っていないため、それを悔しそうに見ていた。
「お前、心の狭い男だからカスミが僕らになんてメッセージくれたのか、すっげぇ気になってるんだろ」
クラウスが意地の悪い顔をし、佑はさらに悔しそうにする。
「気になるよ。悪いか?」
素直な返事を聞いて、双子は胸の前で手を打ち鳴らしてキャッキャと喜ぶ。
「ぜってー見せてやんねー」
「一生気にしたまんまでいるといいよ!」
「もー、お二人とも……。佑さん、開けてみて?」
香澄は双子に向かって「まぁまぁ」と手を向けていなしたあと、佑にプレゼントを示す。
佑は「ん、んンっ」と咳払いをし、中から出てきた小箱を開ける。
小箱の中には、小粒の宝石が輝くネクタイピンがあった。
「六月の誕生石がついたネクタイピンにしたの。六月ってパールとムーンストーンも誕生石なんだけど、石言葉を調べてアレキサンドライトは『高貴、情熱』っていう意味があるから、それがいいなって思って」
普段、佑が贈ってくれる高級な宝石と比べると安物かもしれないが、香澄からすれば奮発した金額だ。
実はこれを買うに当たって美鈴に相談し、信頼できる宝石屋を紹介してもらった。
佑はクリスマスカードを見て、「あとで一人で読もう」と呟いてシャツの胸ポケットにしまう。そしてとろけるような微笑みを浮かべた。
「ありがとう。毎日つけるよ」
佑は香澄の手を握り、手の甲にチュッと口づける。
「そ、そんっ……あ、ありがとう……」
佑に色々されるのは慣れていい頃合いなのだが、こうしてお姫様のように手の甲にキスされると、ドキッとしてしまう。
「じゃあ、香澄へのプレゼントの一番乗りは俺だな」
佑はそう言って香澄の手に、ポンと赤い包装紙に金色のリボンが巻かれた箱を置く。
「じゃ、じゃあ。開けさせて頂きます」
この一年、佑にはプレゼント攻撃――もとい爆撃を受けていたが、それでもプレゼントをもらうとなると嬉しい。
「ん……?」
出てきたのは、アクセサリーの入ったビロードの箱だ。
「んっ?」
もう一度声が漏れたのは、リングケースの台座に指輪が二つ嵌まっていたからだ。
(ペアリング? まさかマリッジリングじゃないと思うけど……)
「え……と」
指輪はプラチナで、中央に大きめの石、その左右二つずつ、合計五つの石が嵌まっている。
指輪の片方は濃いピンクの石で統一され、もう片方はオレンジとも朱色ともつかない色で統一されている。
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