1,065 / 1,544
第十七部・クリスマスパーティー 編
また、そのうち ☆
しおりを挟む
「香澄の肌、甘くて美味しいよ。とてもいい香りがする」
「ゃ……っ、あ……っ」
耳元で囁いてくる佑の声が、艶っぽい。
この世のどの声より、佑の声が好きだ。
低くて艶やかで、情事の時は熱ですこし掠れる声。
その声が耳朶を震わせただけで、香澄はジクン……と子宮が疼くのを感じていた。
「た……、すく、……さ、ん……」
小さな声で彼の名を呼ぶと、顔を上げた佑が「ん?」と目を細め微笑んだ。
その幸せそうな笑顔を見ると、もう何も言えなくなる。
香澄は口内に溜まった唾液をゴクッと嚥下し、潤んだ目で佑を見つめ返す。
「……可愛い」
佑は独白するように呟き、香澄に覆い被さってキスをしてきた。
柔らかな唇で、何度も唇をついばまれる。
ちゅっちゅっとリップ音がし、唇のあわいを舐められて香澄の唇は自然と開いていく。
そこにヌルリと佑の舌が滑り込み、香澄は興奮しきったまま彼を受け入れた。
ぬちゅ、ぐちゅ、と舌が絡まり、その滑らかな感触に意識が攪拌されていく。
口内を蹂躙されただけで、体全体を佑に支配された気がした。
「ぁ……、あ、……ふ、――――ん、――ン」
香澄も懸命に佑の舌を舐め返し、太腿でしっかりと佑の胴を挟む。
ドクッドクッと胸が高鳴り、頭の中が佑で一杯になる。
その時――、
「カスミー?」
階下から双子の声が聞こえ、香澄はビクッと大きく体を跳ねさせた。
「……ちっ」
佑は舌打ちをし、忌々しげに溜め息をつく。
「……また、そのうち」
佑は香澄の額にキスをし、仕方がないというように微笑んだ。
「ん……。うん……」
香澄はドキドキと高鳴る胸を押さえ、ササッと乱れた着衣を整えた。
ブラジャーを付け直している間、佑はベストやシャツを脱いでハンガーに掛ける。
「……そう言えば、あいつら少しきちんとした格好をしていたな」
彼は思い出したように呟いて、自分のウォークインクローゼットに向かった。
香澄は鏡で服の乱れがないか確認し、先に下におりるべきか悩んでから、佑を待つ事にした。
やがて佑はターコイズブルーのシャツにチャコールグレーのベスト、イエローみの強いゴールドのネクタイを締めて部屋に戻ってきた。
ズボンは黒いテーパードパンツで、どこかイタリア男性を思わせるコーディネートがしゃれている。
「お待たせ。下に行こうか」
「うん」
(何て思われてるかな……。恥ずかしい)
言い訳を必死に考えて纏めきれないまま、一階に着いてしまった。
「随分時間が掛かったね?」
リビングの入り口では、双子が狛犬のように立って、ニヤニヤとチェシャ猫のように笑っている。
「そ……その……」
「ちょっとマーキングをしてた」
言い淀む香澄とは対照的に、佑はサラリととんでもない事を言い、キッチンにいる斎藤たちに挨拶をしに行った。
「えっ? えうぅ、うっ、……そのっ、あのっ」
香澄は佑が落とした爆弾をどう回収したものかとうろたえるが、双子は顔を見合わせて呆れたように笑うだけだ。
誤魔化せないまま、香澄もキッチンの様子を見にいった。
キッチンではオードブルはすでにできあがり、メインのチキンもオーブンで焼いている。
香ばしい匂いが鼻腔に届くなか、パティシエがクリスマスケーキの準備を進め、アシスタントはパスタ類を茹でてソースを作っている。
飲み物は地下のワインセラーに入っている物を出すようだ。
テーブルの上には赤白数本のワインがあり、シャンパンもある。
冷却が必要なボトルは、ワインクーラーに入れられていた。
アロイスが、キッチンにいる佑に話しかける。
「タスクおかえり。お前とクリスマス過ごすの、久しぶりでない?」
「……確かに。そっちに入り浸っていた頃以降かもしれない」
佑はキッチンを確認したあと、香澄を伴ってリビングのソファに座る。
そして気遣わしげに尋ねてきた。
「香澄、背中の傷は大丈夫か?」
「え? うん。平気、平気」
動くとピリッと痛む程度だが、大した傷ではない。
香澄のグラスにシャンパンを注いだ佑は、溜め息をつく。
そして謝罪した。
「ゃ……っ、あ……っ」
耳元で囁いてくる佑の声が、艶っぽい。
この世のどの声より、佑の声が好きだ。
低くて艶やかで、情事の時は熱ですこし掠れる声。
その声が耳朶を震わせただけで、香澄はジクン……と子宮が疼くのを感じていた。
「た……、すく、……さ、ん……」
小さな声で彼の名を呼ぶと、顔を上げた佑が「ん?」と目を細め微笑んだ。
その幸せそうな笑顔を見ると、もう何も言えなくなる。
香澄は口内に溜まった唾液をゴクッと嚥下し、潤んだ目で佑を見つめ返す。
「……可愛い」
佑は独白するように呟き、香澄に覆い被さってキスをしてきた。
柔らかな唇で、何度も唇をついばまれる。
ちゅっちゅっとリップ音がし、唇のあわいを舐められて香澄の唇は自然と開いていく。
そこにヌルリと佑の舌が滑り込み、香澄は興奮しきったまま彼を受け入れた。
ぬちゅ、ぐちゅ、と舌が絡まり、その滑らかな感触に意識が攪拌されていく。
口内を蹂躙されただけで、体全体を佑に支配された気がした。
「ぁ……、あ、……ふ、――――ん、――ン」
香澄も懸命に佑の舌を舐め返し、太腿でしっかりと佑の胴を挟む。
ドクッドクッと胸が高鳴り、頭の中が佑で一杯になる。
その時――、
「カスミー?」
階下から双子の声が聞こえ、香澄はビクッと大きく体を跳ねさせた。
「……ちっ」
佑は舌打ちをし、忌々しげに溜め息をつく。
「……また、そのうち」
佑は香澄の額にキスをし、仕方がないというように微笑んだ。
「ん……。うん……」
香澄はドキドキと高鳴る胸を押さえ、ササッと乱れた着衣を整えた。
ブラジャーを付け直している間、佑はベストやシャツを脱いでハンガーに掛ける。
「……そう言えば、あいつら少しきちんとした格好をしていたな」
彼は思い出したように呟いて、自分のウォークインクローゼットに向かった。
香澄は鏡で服の乱れがないか確認し、先に下におりるべきか悩んでから、佑を待つ事にした。
やがて佑はターコイズブルーのシャツにチャコールグレーのベスト、イエローみの強いゴールドのネクタイを締めて部屋に戻ってきた。
ズボンは黒いテーパードパンツで、どこかイタリア男性を思わせるコーディネートがしゃれている。
「お待たせ。下に行こうか」
「うん」
(何て思われてるかな……。恥ずかしい)
言い訳を必死に考えて纏めきれないまま、一階に着いてしまった。
「随分時間が掛かったね?」
リビングの入り口では、双子が狛犬のように立って、ニヤニヤとチェシャ猫のように笑っている。
「そ……その……」
「ちょっとマーキングをしてた」
言い淀む香澄とは対照的に、佑はサラリととんでもない事を言い、キッチンにいる斎藤たちに挨拶をしに行った。
「えっ? えうぅ、うっ、……そのっ、あのっ」
香澄は佑が落とした爆弾をどう回収したものかとうろたえるが、双子は顔を見合わせて呆れたように笑うだけだ。
誤魔化せないまま、香澄もキッチンの様子を見にいった。
キッチンではオードブルはすでにできあがり、メインのチキンもオーブンで焼いている。
香ばしい匂いが鼻腔に届くなか、パティシエがクリスマスケーキの準備を進め、アシスタントはパスタ類を茹でてソースを作っている。
飲み物は地下のワインセラーに入っている物を出すようだ。
テーブルの上には赤白数本のワインがあり、シャンパンもある。
冷却が必要なボトルは、ワインクーラーに入れられていた。
アロイスが、キッチンにいる佑に話しかける。
「タスクおかえり。お前とクリスマス過ごすの、久しぶりでない?」
「……確かに。そっちに入り浸っていた頃以降かもしれない」
佑はキッチンを確認したあと、香澄を伴ってリビングのソファに座る。
そして気遣わしげに尋ねてきた。
「香澄、背中の傷は大丈夫か?」
「え? うん。平気、平気」
動くとピリッと痛む程度だが、大した傷ではない。
香澄のグラスにシャンパンを注いだ佑は、溜め息をつく。
そして謝罪した。
12
お気に入りに追加
2,509
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
【R18】鬼上司は今日も私に甘くない
白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。
逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー
法人営業部メンバー
鈴木梨沙:28歳
高濱暁人:35歳、法人営業部部長
相良くん:25歳、唯一の年下くん
久野さん:29歳、一個上の優しい先輩
藍沢さん:31歳、チーフ
武田さん:36歳、課長
加藤さん:30歳、法人営業部事務
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる