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第十六部・クリスマス 編

プレゼント第二弾

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「俺の分もあるのか?」

「ああ。あまり期待しないでほしいが」

「私からもお三方に用意してありますからね」

 プレゼントがあると伝えると、双子のテンションは最高潮になった。

「マジで!? 上がるー!!」

「カスミからなら、だせぇパンツでも嬉しいよ!」

「ちょ……っ、し、下着は贈りませんってば」

 焦った香澄がつけ加えても、双子は聞いていないぐらいのハイテンションで、ハイタッチし合っている。
 そのパリピなノリに「参ったな……」と苦笑いしつつ、こんなに喜んでくれるとシンプルに嬉しい。

 ただ〝ちょっとしたミニプレゼント〟として買ったので、あまり期待されすぎても……と別の不安が生じたが。

「そーだ。プレゼントで思いだした! ちょっと待ってて」

 そう言ってクラウスがソファの背中をヒラッと跨ぎ、「俺も!」とアロイスも続く。
 そしてドタバタと三階まで上がり、すぐにドタドタと駆け下りてきた。

「はい! カスミ! 前に言ってたプレゼントその二!」

「僕からも!」

 キラキラとした笑顔の双子が差し出すのは、やはりハイブランドの高級そうなショッパーだ。
 というか、AとCのロゴが組み合わさった『アロクラ』の物だ。

「ど……どうも……。ありがとうございます」

 ひとまずペコリと頭を下げて受け取ったが、後頭部に刺さる佑の視線が痛い。

「じゃ、じゃあ、アロイスさんから……」

 そう言ってショッパーを開けると、中から金色のリボンの掛かったオレンジの箱が二つ出てくる。

「これね、クリスマスバージョンのラッピングなんだ。金色のリボンかーいいでしょ。このオレンジも、色見本幾つも出して決めたんだよ」

「はい、素敵です」

 オレンジ色の蓋の中央には、金色の箔押しでACのロゴがある。

「じゃあ、開けさせて頂きますね」

 リボンを引っ張って小さめの箱から開けると、中からイヤリングが出てきた。

 イヤリングはゴールドで、『アロクラ』ブランドで最も有名なモノグラムパターンにある、翼を模したモチーフの物だ。

 耳たぶに留める場所には大粒の真珠があり、見るからにラグジュアリー感がある。

「このパール、かーいいでしょ。カスミのために作ったんだ。世界でたった一つのイヤリングだよ」

 そう言ってアロイスは香澄の手からイヤリングを優しく取り上げ、サラリと髪の毛を耳に掛け、耳たぶにイヤリングをつけた。

「わ……と」

「ホラ、可愛い」

 最後にアロイスはイヤリングをピンと指で弾き、香澄の耳の下で揺れるのを満足げに見る。

 つい佑の反応を窺ったが、努めて微笑んでいる彼を見て、怖くてヒクッと固まった。

「良かったな。可愛い、可愛い」

 佑は香澄の頭を撫でたが、撫でる事によって〝上書き〟しているのがバレバレだ。

 それを無視し、アロイスが言う。

「こっちも開けて」

「は、はい」

 言われるがままにもう一つの箱を開けると、薄葉紙うすようしの中にショルダーバッグが入っていた。

「これもカスミのためのオーダーメイドだよ。基本的な形は既存のバッグを参考にしてるけど、チャームは特別カスミ仕様でうさぎのマスコットをつけたんだよね。かーいいでしょ」

「へっ!? うさぎ!?」

 香澄の声がひっくり返る。

 佑にはバニーガールの事から「うさぎ」と言われているが、それを双子が知るはずがない。

 ドキバクと胸を高鳴らせていると、アロイスがケロリとして言う。

「えー? だってカスミって動物に例えたらうさぎっぽくない?」

「僕も思う。だから二人でうさぎのデザインを描いて、そのチャームを作ったんだよね」

 香澄は思わず佑を見たが、彼も少し顔を引きつらせていた。
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