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第十六部・クリスマス 編
コンビニショッピング
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「俺はホットコーヒーにしようかな。香澄、おやつは?」
「え? うーん……。食べちゃう?」
たっぷりカロリーを取ったあとなので、罪悪感がある。
「せっかくのドライブデートだから、食べよう。俺も一緒に食べるよ」
「ん。じゃあ、コンビニスイーツ」
「分かった」
こうやって佑とコンビニで買い物をするのも、新鮮で堪らない。
飲み物も食べ物も、佑がつれて行ってくれる店や、斎藤が作ってくれる物のほうが当たり前に美味しい。
けれどこの状況で食べられるなら、ご馳走よりもっと美味しく感じられると思った。
店内にいる女性は香澄を見て、羨ましそうな顔をしている。
我ながら性格が悪いと思いつつ、その視線が気持ち良かった。
「私、カフェラテ飲も。無糖のやつ。あ、でもロイヤルミルクティーもいいな。甘いのそんなに飲まないんだけど、これだけは何か別なんだよね」
「じゃあ、両方買おう」
香澄が迷っていたロイヤルミルクティーを、佑がポンとカゴに入れてしまう。
「スイーツ、何あるかな」
「俺はプリンにしようかな」
「ふふ。佑さん、生クリーム苦手だもんね。シンプルなプリンなら食べるって、知ってるよ」
ずっと一緒にいるからこそ、佑の食の嗜好にも気づける。
指摘すると、佑がポンポンと頭を撫でてきた。
「俺の苦手な物があると、香澄がさり気なく食べてくれるもんな。『分かってる』っていう感じが凄く嬉しいんだ」
「うう……。その分、私のお肉になっちゃうけどね」
弱ったふりをする香澄を見て、佑は小さく笑う。
香澄はスイーツの棚の前をうろうろし、誘惑と戦う。
「私、クレープにしよっと」
決めて商品をカゴに入れると、レジに向かった。
が、レジ前まできて魅惑的な物に気づいてしまった。
「……肉まん……」
ボソッと呟いた香澄に、佑が声もなく笑う。
「じゃあ、食べようか。何がいい?」
「ピザまんも捨てがたい」
「それじゃあ、二つ頼んで半分こずつしよう。それならいいだろ?」
「ん」
今度こそ大人しく列に並び、何とはなしに陳列している物を見る。
(本当はおでんも食べたいなんて思ったの、絶対にナイショだ)
食いしん坊なのはバレバレなのだが、一応乙女なので好きな人の前で食い意地が張っているところを見せたくない。
唇を引き結びキリッとした顔をしていたが、そんな香澄の耳に佑が囁いてきた。
「今度、夜食にコンビニおでん食べようか」
「!」
見透かされているのに気付き、香澄は目をまん丸にして赤面する。
佑はくっくっと笑いながら、レジにカゴを置いた。
コンビニを出てからまた車を走らせ、すぐに品川埠頭に着く。
「わぁ、レインボーブリッジ」
目の前に煌びやかで大きな橋があり、香澄は思わず笑顔になる。
「やっぱりドラマにも出る東京の橋って、格好いいね」
「俺も、たまに一人になりたい時は見に来てるかな」
佑がドリンクホルダーからホットコーヒーのカップを手に取り、一口飲む。
香澄もカフェオレにストローを挿し、ちゅるる、と吸う。
「肉まん、温かいうちに食べようか」
「うん」
佑はお手拭きで手を拭いたあと、「熱いな」と呟きながら肉まんを半分にする。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
車内にはうるさくない程度にムードのあるジャズが掛かっている。
(本当にロマンチックだなぁ。こういうデート、頻繁にできたらいいのに)
ついそう思ってしまい、佑という理想の男性が側にいてくれるのに、高望みしすぎだと小さく首を振る。
「おいし」
はむ、と肉まんに齧り付くと、おなじみの味がして表情が緩む。
「え? うーん……。食べちゃう?」
たっぷりカロリーを取ったあとなので、罪悪感がある。
「せっかくのドライブデートだから、食べよう。俺も一緒に食べるよ」
「ん。じゃあ、コンビニスイーツ」
「分かった」
こうやって佑とコンビニで買い物をするのも、新鮮で堪らない。
飲み物も食べ物も、佑がつれて行ってくれる店や、斎藤が作ってくれる物のほうが当たり前に美味しい。
けれどこの状況で食べられるなら、ご馳走よりもっと美味しく感じられると思った。
店内にいる女性は香澄を見て、羨ましそうな顔をしている。
我ながら性格が悪いと思いつつ、その視線が気持ち良かった。
「私、カフェラテ飲も。無糖のやつ。あ、でもロイヤルミルクティーもいいな。甘いのそんなに飲まないんだけど、これだけは何か別なんだよね」
「じゃあ、両方買おう」
香澄が迷っていたロイヤルミルクティーを、佑がポンとカゴに入れてしまう。
「スイーツ、何あるかな」
「俺はプリンにしようかな」
「ふふ。佑さん、生クリーム苦手だもんね。シンプルなプリンなら食べるって、知ってるよ」
ずっと一緒にいるからこそ、佑の食の嗜好にも気づける。
指摘すると、佑がポンポンと頭を撫でてきた。
「俺の苦手な物があると、香澄がさり気なく食べてくれるもんな。『分かってる』っていう感じが凄く嬉しいんだ」
「うう……。その分、私のお肉になっちゃうけどね」
弱ったふりをする香澄を見て、佑は小さく笑う。
香澄はスイーツの棚の前をうろうろし、誘惑と戦う。
「私、クレープにしよっと」
決めて商品をカゴに入れると、レジに向かった。
が、レジ前まできて魅惑的な物に気づいてしまった。
「……肉まん……」
ボソッと呟いた香澄に、佑が声もなく笑う。
「じゃあ、食べようか。何がいい?」
「ピザまんも捨てがたい」
「それじゃあ、二つ頼んで半分こずつしよう。それならいいだろ?」
「ん」
今度こそ大人しく列に並び、何とはなしに陳列している物を見る。
(本当はおでんも食べたいなんて思ったの、絶対にナイショだ)
食いしん坊なのはバレバレなのだが、一応乙女なので好きな人の前で食い意地が張っているところを見せたくない。
唇を引き結びキリッとした顔をしていたが、そんな香澄の耳に佑が囁いてきた。
「今度、夜食にコンビニおでん食べようか」
「!」
見透かされているのに気付き、香澄は目をまん丸にして赤面する。
佑はくっくっと笑いながら、レジにカゴを置いた。
コンビニを出てからまた車を走らせ、すぐに品川埠頭に着く。
「わぁ、レインボーブリッジ」
目の前に煌びやかで大きな橋があり、香澄は思わず笑顔になる。
「やっぱりドラマにも出る東京の橋って、格好いいね」
「俺も、たまに一人になりたい時は見に来てるかな」
佑がドリンクホルダーからホットコーヒーのカップを手に取り、一口飲む。
香澄もカフェオレにストローを挿し、ちゅるる、と吸う。
「肉まん、温かいうちに食べようか」
「うん」
佑はお手拭きで手を拭いたあと、「熱いな」と呟きながら肉まんを半分にする。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
車内にはうるさくない程度にムードのあるジャズが掛かっている。
(本当にロマンチックだなぁ。こういうデート、頻繁にできたらいいのに)
ついそう思ってしまい、佑という理想の男性が側にいてくれるのに、高望みしすぎだと小さく首を振る。
「おいし」
はむ、と肉まんに齧り付くと、おなじみの味がして表情が緩む。
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