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第十五部・針山夫婦 編

セーフライン ☆

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「八から上を説明してくれるか?」

「うー……、八はお尻に触ったり、道具を使ったり……とか。九は本当にお尻に入れちゃうやつ。あと、さっきちょっと言った、縛ったりとか」

「十は?」

「痛かったり、とても苦しいやつ。私は苦痛を快楽に変えられるほど、激しい行為に慣れてない」

「うん。香澄のセーフラインが分かってきた。八は時々、したい時にしていいか尋ねる。九は当分お預け。十はしないよ」

「良かった……」

「逆に、七は?」

「う、うーん……。普段してるセックスの、とっても恥ずかしい奴とか。たくさん達ってるのに、もっと達かせて潮噴かせちゃうのとか。ギリギリライン。六は普通に満足できるセックス……かな。あと、……フェ、……フェラとか……」

「ふむ。じゃあ、五以下は挿入なしと考えていい訳かな?」

「うん」

 佑は何度か頷き「よし」とサッパリした顔をする。

「じゃあ、今日はさっきの事もあったし六くらいでやろう」

「うん、ありがとう」

 変に話を引き延ばしてしまい、〝その気〟が失せていないかな、と心配したが、佑は香澄の頬を両手で包み丁寧なキスをしてきた。

「ん……」

 唇をねろりと舐められ、香澄は小さく口を開ける。

 佑は顔を傾けて何度も香澄の唇を舐めてから、ねっとりと唇の内側を舌でなぞってきた。
 前歯も舐められて腰に震えが走り、香澄は知らずと蜜壷に含んだ佑の屹立を締め付ける。

「んく……、ン……」

 口内に溜まった唾を嚥下して口を開いた時、ヌルリと佑の舌が滑り込んできた。

「んぅ……っ」

 彼のなめらかで温かい舌を感じた瞬間、香澄はギュッと下腹部に力を入れる。
 柔らかい舌にくまなく口内を舐められ、腰から力が抜けてしまいそうになった。

「ふぁ……っ、――ぁ、…………あ、……む」

 体から力が抜けた時、佑が下からズチュッと突き上げてくる。

「ふ! ……っうぅん……っ」

 この時点で、もうつらかった。

 佑のキスだけでも最高に気持ちがいいのに、油断したところを硬い屹立で更なる刺激を与えられ、眦から涙が零れる。

 それに気づいた佑が、舌で香澄の涙を舐め取った。

「つらい?」

「ん……っ、気持ちいい……。まだ、大丈夫」

 答えながら、「ああ、いいな」と思った。

 強引に求められ、押し流されるように愛されるのも、勿論好きだ。

 けれどこうして加減を確認しながら愛し合うと、とても安心感がある。

 香澄が安心して身を任せているのを感じながら、佑は丁寧なキスを続けてゆっくり突き上げ続ける。
 奥まで埋まったモノをゆるゆると抜き差しされ、そのリズムでなら自分で快楽のコントロールができる。

 激しく求められる時はあまりに気持ちよくて、自分でも何がどうなっているか分からなくなる。それが少し怖い。

 飛んでしまっている時に、取り返しのつかない醜態を晒しているかもしれない。

 佑が自分の嬌態を見て呆れたり嫌ったりする事はないと思うが、やはり羞恥心は大事にしたい。

(でも、セックスしてると、簡単に理性がなくなるんだよな……)

〝今〟はまだ、浅い場所で「気持ちいい」と思える余裕がある。

 佑と舌を絡め合い、小さく、優しく突かれる。
 その律動から、彼がとても気を遣ってくれているのが分かった。

(嬉しい。大切にされてる)

 不意に胸が切なくなり、香澄は顔を離して微笑んだ。

「ありがとう」

「ん?」

 佑は唇を舐め、目を瞬かせる。

「分かってくれてありがとう。優しいセックス、嬉しいな。緩くしてくれるなら、自分で快楽をコントロールできるから怖さが少ないと思うの」

 佑の動きに合わせて腰を小さく上下させ、香澄ははにかんで笑う。

 快楽を正面から受け止めている彼女を見て、佑も嬉しそうに微笑んだ。

「もっと香澄の気持ちを察せるように、努力する」

 佑は大きな手で香澄の乳房をねっとりと揉み、指先で乳首をこよる。
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