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第十五部・針山夫婦 編
突っ込んだ質問
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「では、入浴のこだわりは?」
「そうですね、香りに気を付けています。一番リラックスできる時間なので、気に入った香りの入浴剤やボディソープ、アロマキャンドルなどを使用しています。防水ステレオで音楽も流します」
「彼女と洗いっこしたいですか?」
「勿論」
佑はにっこり笑って肯定するが、それ以上余計な事は言わない。
「女性の体で、一番好きな部分はどこでしょう?」
花村の質問を聞いて、香澄は静かに息をつく。
(踏み込んできたなぁ……。この人、おっぱい星人ですよ)
シャッターを切られながら、佑はまったく動じず答える。
「好きな女性なら、どこも魅力的に思えますね」
「特に魅力に感じる部分は?」
「……そうですね、うなじとかつむじ、でしょうか」
(うなじ!? つむじ?)
今まで聞いたことのない〝好きな箇所〟に、香澄は目を丸くする。
「背面って、本人が見えない部分でしょう? 自分だけが見られる場所だと思うと、征服欲や庇護欲が掻き立てられますね」
知らなかった事を聞き、香澄はそっと胸を押さえる。
(そういうとこ、見てたんだ……)
そして彼は行為中、バックでした時にそう思っていたのではないか……と思い、一人で赤面した。
「背面がお好きなら、ヒップアップに勤しむ女性もお好きですか?」
「見えない部分のケアにも力を入れている人は、とても素敵だと思います」
「ずばり、バスト派ですか? ヒップ派ですか?」
「難しいですね。ノーコメントにしておきます」
佑は上品に笑い、ウーロン茶に手を伸ばす。
「御劔社長にとって、セックスはどのようなものですか?」
(きた!)
いきなりズバッと質問され、なぜか香澄が背筋を伸ばす。
佑はグラスをテーブルに戻し、にっこり微笑む。
「恋人との気持ちを確かめ合う行為ですね」
「今まで気持ちのないセックスをした事はありますか? ワンナイトラブなど」
(これは……)
かなり踏み込んだ質問だったので、香澄は真顔になり立ち上がろうとする。
だが佑はそれを制し、花村にビジネススマイルを向けた。
「健全な男なので、勿論〝過去〟はあります。世の中、初恋が実って結婚したという、ピュアな恋愛を探すほうが難しいのでは……と思いますね。人は失敗を経て成功を掴む生き物だと思います」
「ワンナイトラブをどうお考えですか?」
(花村さん、食い下がるな……)
香澄は唇を引き結び、眉間にしわを寄せ花村の後頭部を見る。
「その時には必要だった場合もありますから、一概に『過ち』と言えない気がします。セックスフレンドが必要になるぐらい、寂しくて傷ついている場合もあるでしょう。人生は経験の積み重ねです。黒歴史と思った経験があるからこそ、現在の生活があるのではないでしょうか。それに失敗の経験がなければ、これから同じ事で過ちを犯すかもしれません。そういう意味で、ワンナイトラブを肯定も否定もできませんね」
彼の答えを聞き、香澄は感心する。
(本当にインタビューに慣れてるんだな。答えているようでいて煙に巻いてる。花村さんは時間を気にしてるから、佑さんが回答に時間をかけるほど焦るんだろうな)
これが自分なら、動揺してまともに答えられないか、とんでもないハプニングを引き起こしてしまいそうだ。
そう思いながら、香澄は腕時計をチラリと確認する。
インタビュー時間はあと五分ほどだ。
「女性を組み敷くのが好きですか? 上になってもらうのが好きですか?」
「どちらも。相手が好きな女性なら、体位は問いません」
「ずばり、アブノーマルな趣味はありますか?」
「ノーマルの定義が難しいですね。どこからアブノーマルになるかは、個人の裁量によると思います」
「SMに興味はありますか?」
「様々な分野で、まだ未知の領域はあります。常にアンテナを張り、貪欲に学びたいと思っています」
「好きな子は虐めたくなるタイプですか?」
「場合によって、ですね」
花村の質問も矢継ぎ早になり、彼女が焦っているのが伝わる。
残り二分になり、花村が最後の質問をした。
「そうですね、香りに気を付けています。一番リラックスできる時間なので、気に入った香りの入浴剤やボディソープ、アロマキャンドルなどを使用しています。防水ステレオで音楽も流します」
「彼女と洗いっこしたいですか?」
「勿論」
佑はにっこり笑って肯定するが、それ以上余計な事は言わない。
「女性の体で、一番好きな部分はどこでしょう?」
花村の質問を聞いて、香澄は静かに息をつく。
(踏み込んできたなぁ……。この人、おっぱい星人ですよ)
シャッターを切られながら、佑はまったく動じず答える。
「好きな女性なら、どこも魅力的に思えますね」
「特に魅力に感じる部分は?」
「……そうですね、うなじとかつむじ、でしょうか」
(うなじ!? つむじ?)
今まで聞いたことのない〝好きな箇所〟に、香澄は目を丸くする。
「背面って、本人が見えない部分でしょう? 自分だけが見られる場所だと思うと、征服欲や庇護欲が掻き立てられますね」
知らなかった事を聞き、香澄はそっと胸を押さえる。
(そういうとこ、見てたんだ……)
そして彼は行為中、バックでした時にそう思っていたのではないか……と思い、一人で赤面した。
「背面がお好きなら、ヒップアップに勤しむ女性もお好きですか?」
「見えない部分のケアにも力を入れている人は、とても素敵だと思います」
「ずばり、バスト派ですか? ヒップ派ですか?」
「難しいですね。ノーコメントにしておきます」
佑は上品に笑い、ウーロン茶に手を伸ばす。
「御劔社長にとって、セックスはどのようなものですか?」
(きた!)
いきなりズバッと質問され、なぜか香澄が背筋を伸ばす。
佑はグラスをテーブルに戻し、にっこり微笑む。
「恋人との気持ちを確かめ合う行為ですね」
「今まで気持ちのないセックスをした事はありますか? ワンナイトラブなど」
(これは……)
かなり踏み込んだ質問だったので、香澄は真顔になり立ち上がろうとする。
だが佑はそれを制し、花村にビジネススマイルを向けた。
「健全な男なので、勿論〝過去〟はあります。世の中、初恋が実って結婚したという、ピュアな恋愛を探すほうが難しいのでは……と思いますね。人は失敗を経て成功を掴む生き物だと思います」
「ワンナイトラブをどうお考えですか?」
(花村さん、食い下がるな……)
香澄は唇を引き結び、眉間にしわを寄せ花村の後頭部を見る。
「その時には必要だった場合もありますから、一概に『過ち』と言えない気がします。セックスフレンドが必要になるぐらい、寂しくて傷ついている場合もあるでしょう。人生は経験の積み重ねです。黒歴史と思った経験があるからこそ、現在の生活があるのではないでしょうか。それに失敗の経験がなければ、これから同じ事で過ちを犯すかもしれません。そういう意味で、ワンナイトラブを肯定も否定もできませんね」
彼の答えを聞き、香澄は感心する。
(本当にインタビューに慣れてるんだな。答えているようでいて煙に巻いてる。花村さんは時間を気にしてるから、佑さんが回答に時間をかけるほど焦るんだろうな)
これが自分なら、動揺してまともに答えられないか、とんでもないハプニングを引き起こしてしまいそうだ。
そう思いながら、香澄は腕時計をチラリと確認する。
インタビュー時間はあと五分ほどだ。
「女性を組み敷くのが好きですか? 上になってもらうのが好きですか?」
「どちらも。相手が好きな女性なら、体位は問いません」
「ずばり、アブノーマルな趣味はありますか?」
「ノーマルの定義が難しいですね。どこからアブノーマルになるかは、個人の裁量によると思います」
「SMに興味はありますか?」
「様々な分野で、まだ未知の領域はあります。常にアンテナを張り、貪欲に学びたいと思っています」
「好きな子は虐めたくなるタイプですか?」
「場合によって、ですね」
花村の質問も矢継ぎ早になり、彼女が焦っているのが伝わる。
残り二分になり、花村が最後の質問をした。
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