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第十四部・東京日常 編

くしゃみ ☆

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「……俺の扱いが軽くなってきたな」

「だって一年も一緒にいれば、佑さんが見た目ほどスマートイケメンじゃないのは分かるもん。そういう人には相応の扱いをします」

「スマートじゃないか?」

「思っていたよりずっと変態だし、私に対して考え方が偏ってるし、色々こじらせてると思う」

「…………」

 素直に言うと、地味に効いたのか佑は黙ってしまった。

「そういう所、ひっくるめて好きだけどね」

 よしよしと、佑の頭を撫でて額にキスをすると、彼は諦めたように笑った。

「面倒臭い男の機嫌を直すには、婚約者の慰めが必要だから、一緒に風呂に入ってくれないかな?」

「いいですよ」

 わざとらしい言い方をして二人でクスッと笑う。

 そのあと、支度をしてバスルームに向かった。



**




 体と髪を洗ってジェットバスに入った二人は、窓から東京の夜景を見下ろしながら、濃厚なキスを交わす。

「ん……、んぅ」

 佑の手が滑らかな香澄の肌を這い、背中やお尻をすべすべと撫でる。

 香澄はキスをしながら佑の胸板に体を押しつけ、ぷくんと勃起した乳首を擦りつけていた。

 佑は乳首で感じないが、香澄が胸をすり寄せ乳首同士を擦れさせると、気持ちよさそうな反応をする。

 以前なら恥ずかしくて積極的になれなかった。

 だが一年経った今は、大好きな人と一緒に気持ち良くなるため、ある程度積極的になれていた。

「香澄……、舌出して」

「ん……ぁ」

 小さく口を開けると、佑が舌に指を置いてヌルヌルと撫でてきた。

「ん、……く」

 思わず舌を引っ込めて唾を飲み込むと、まだ口内にある佑の指が、香澄の前歯の裏側をたどってきた。

「ふぁあ……っ、あ、……ぁん……んんー、ぅ」

 香澄はゾクゾクッと腰を震えさせ、佑にしがみつく。

 トロンとした目で佑を見つめると、彼は悠然と微笑んで香澄の口内を掻き混ぜ続ける。

「んむぅ」

 香澄は力の入らない目で佑を睨み、彼の指をチュッとしゃぶった。
 するとフェラチオのように指を出し入れされ、さらに体が火照らせる。

 んくっと唾を飲み込むと、佑が指を引き抜いてその指をしゃぶった。

「や……だ、もう……。変態……」

 香澄は佑の胸板を軽く叩き、抗議を示す。

 佑は微笑んで何か言いかけたが、サッと横を向いて手で口元を覆い、くしゃみをした。

 鼻を啜った彼は、困惑した顔で小さく首を傾げた。

「噂されてる?」

 くしゃみと言えばな事を言ってみたが、佑は難しい顔をして「もしかして……」と呟く。

「今日会食した人が風邪を引いていたんだ。勿論、正面からくしゃみや咳をかけられる事はなかったけど、……個室にいたからうつったかな」

「大変、しっかり温まらないと。……あれ? 体を温めるで合ってる?」

「大丈夫、大丈夫」

 風邪の対応で首を傾げていた香澄に、佑は軽い調子で言う。
 けれど香澄は真面目な顔で首を横に振った。

「駄目。佑さんは社長さんなの。ちょっとの風邪でも甘く見ちゃいけないんだから」

「じゃあ、香澄が温めてくれるか? ……こことか」

 そう言って佑は香澄の手を握り、勃ち上がっている屹立を触らせる。
 香澄は手の中に硬く漲ったモノを感じ、赤面して佑を睨んだ。

「……そういうの、よくないと思います。社長」

 まじめな話をしているのにふざけられたし、おまけにセクハラっぽい。

 むー、と彼を睨むが、香澄は無意識に彼の亀頭を撫で、ゆるゆると手で竿をさすってしまう。

「うちの女性秘書なら、看病のためにどんな事でもしてくれると思っていたけど」

「女性秘書にそういうのを求めるの、よくないです」

 香澄はふくれっ面のまま手を動かし、我ながら言葉と行動が伴っていない。

「ごめん。訴えないでくれ」

 佑は軽く笑ったあと、ちゅっとキスをして、冗談の終わりを示す。
 了解した香澄は小さく笑ったあと、心配そうな表情で言った。

「でも本当に今日は温かくして寝てね。エッチも駄目。治ったらしてもいいけど、それまでは禁止」

「そんな手で俺を煽ってるのに、生殺しにするのか」

 香澄はまだ屹立に触れていたので、余計に佑は恨みがましい目で見てくる。

「えーと……これは……」

 さすがに気まずくなった香澄は、そっと手を離した。

 けれど二人の体の間にはガチガチに強張ったモノがあり、誤魔化しようがない。
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