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第十四部・東京日常 編
お客さん、厄介な病気ですね
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「社長、お邪魔虫は帰りますので、赤松さんにゆーっくり一日の疲れを癒やしてもらってください」
「またいつでも誘ってくださいね~」
「赤松さん、じゃあね」
口々に言い、三人は出入り口に向かう。
「お気を付けて」
「ありがとう!」
「社長、失礼します」
「失礼しまーす」
三人は最後までかしましく、廊下に出ていく。
香澄はホテルを出るまで見送ろうとしたが、「いいよ~」と言われてしまった。
エレベーター前でしばし雑談し、ゴンドラが着いて三人が乗る。
「じゃあ、今日はありがとうございました! お気を付けて帰ってくださいね」
「赤松さん、またねー!」
「社長を癒してあげてねん」
「社長とゆっくり過ごしてねー」
エレベーターのドアが閉じきるまで、三人は好きな事を言っていた。
(楽しかったなぁ)
部屋に戻ろうとしたが、カードキーを持たずに出てしまって、オートロックが掛かっているのに気づく。
「えっと……。なんか、ごめんなさい」
部屋のチャイムを押すと、佑がすぐにドアを開けてくれた。
「ありがとう」
微笑んで部屋に入ろうとしたが、いきなりグイッと腕を引っ張られた。
「きゃっ……、ん、――む」
ドアに体を押しつけられ、奪うようにキスをされる。
ちゅ……、ぷちゅ……と唇をついばまれ、口を小さく開くと唇を舐められて、甘噛みされた。
「……は……ぁ。……たす……くさん?」
訳が分からなくて佑を見ると、彼は密着したまま不機嫌そうな顔で見つめてくる。
「――女子会、楽しかった?」
「……? うん」
「女性が集まるとオヤジっぽい猥談になるって言うけど、その餌食になってた?」
ギクッとした香澄は、ブンブンと首を横に振る。
「そんなんじゃないよ。普通の女子会、女子トーク」
「じゃあ、なんであんなきわどいスケッチがある? しかも女性器にラビアリングをつけた絵まで」
「う……うー……」
〝あれ〟を見られていたのを失念し、香澄は言葉に詰まる。
「で、でも……女子同士だし……」
「香澄?」
「にゅっ」
名前を呼ばれると同時に、顎を掴まれて頬を押された。
すると唇がタコのように突きでる。
そんな顔をしているのに、佑はまじめに見つめてきた。
「さっき言ったように、相手が女性でも、香澄の裸や性器を想像されるのは嫌だ。香澄を恥ずかしがらせていいのは俺だけだし、香澄のスケッチをしていいのも俺だけだ」
(あれ……)
このパターンは……と思い、香澄は「もひかひへ」と不明瞭に言う。
香澄の言葉を聞こうと、佑はパッと手を離した。
「……もしかして、私のあそこを描いた事がなかったから、先を越されて嫉妬してる?」
違ってほしいと思うものの、この一年の付き合いで、佑が相当な変態である事は分かっている。
佑はムスッと黙ったまま、「悪いか」と言いそうな目で見つめ返してきた。
(ああああ……)
香澄は頭を抱えたくなる気持ちになったあと、キッと佑を睨んだ。
「駄目だからね! 成瀬さんは沢山勉強して、ヌードデッサンもして、想像だけで描けるようになっただけなんだから。私は絵のためにお股見せないからね!」
佑はいっそう不機嫌になり、目を細める。
「そんな顔をしても駄目です!」
プイッと横を向いた香澄は、佑の腕を逃れてスタスタとリビングに戻る。
「なぁ」
「きゃあっ」
だが耳元で呼ばれたかと思うと、いきなり背後から抱き上げられた。
佑はソファに座り、香澄を膝の上にのせてスカートの中に手を入れてくる。
「……このスカート、初めて穿くな?」
「そ、そうですが何か」
「俺の前では穿いてくれないのに」
「他にも服が一杯あります。そういうクレームは対応しかねます」
「香澄の〝初〟は全部俺がほしい」
「……お客さん、厄介な病気ですね」
佑のあまりの面倒さに突っ込みを入れ、香澄はポンポンと彼の頭を撫でる。
そんな香澄を、佑は少し恨みがましそうな目で見た。
「またいつでも誘ってくださいね~」
「赤松さん、じゃあね」
口々に言い、三人は出入り口に向かう。
「お気を付けて」
「ありがとう!」
「社長、失礼します」
「失礼しまーす」
三人は最後までかしましく、廊下に出ていく。
香澄はホテルを出るまで見送ろうとしたが、「いいよ~」と言われてしまった。
エレベーター前でしばし雑談し、ゴンドラが着いて三人が乗る。
「じゃあ、今日はありがとうございました! お気を付けて帰ってくださいね」
「赤松さん、またねー!」
「社長を癒してあげてねん」
「社長とゆっくり過ごしてねー」
エレベーターのドアが閉じきるまで、三人は好きな事を言っていた。
(楽しかったなぁ)
部屋に戻ろうとしたが、カードキーを持たずに出てしまって、オートロックが掛かっているのに気づく。
「えっと……。なんか、ごめんなさい」
部屋のチャイムを押すと、佑がすぐにドアを開けてくれた。
「ありがとう」
微笑んで部屋に入ろうとしたが、いきなりグイッと腕を引っ張られた。
「きゃっ……、ん、――む」
ドアに体を押しつけられ、奪うようにキスをされる。
ちゅ……、ぷちゅ……と唇をついばまれ、口を小さく開くと唇を舐められて、甘噛みされた。
「……は……ぁ。……たす……くさん?」
訳が分からなくて佑を見ると、彼は密着したまま不機嫌そうな顔で見つめてくる。
「――女子会、楽しかった?」
「……? うん」
「女性が集まるとオヤジっぽい猥談になるって言うけど、その餌食になってた?」
ギクッとした香澄は、ブンブンと首を横に振る。
「そんなんじゃないよ。普通の女子会、女子トーク」
「じゃあ、なんであんなきわどいスケッチがある? しかも女性器にラビアリングをつけた絵まで」
「う……うー……」
〝あれ〟を見られていたのを失念し、香澄は言葉に詰まる。
「で、でも……女子同士だし……」
「香澄?」
「にゅっ」
名前を呼ばれると同時に、顎を掴まれて頬を押された。
すると唇がタコのように突きでる。
そんな顔をしているのに、佑はまじめに見つめてきた。
「さっき言ったように、相手が女性でも、香澄の裸や性器を想像されるのは嫌だ。香澄を恥ずかしがらせていいのは俺だけだし、香澄のスケッチをしていいのも俺だけだ」
(あれ……)
このパターンは……と思い、香澄は「もひかひへ」と不明瞭に言う。
香澄の言葉を聞こうと、佑はパッと手を離した。
「……もしかして、私のあそこを描いた事がなかったから、先を越されて嫉妬してる?」
違ってほしいと思うものの、この一年の付き合いで、佑が相当な変態である事は分かっている。
佑はムスッと黙ったまま、「悪いか」と言いそうな目で見つめ返してきた。
(ああああ……)
香澄は頭を抱えたくなる気持ちになったあと、キッと佑を睨んだ。
「駄目だからね! 成瀬さんは沢山勉強して、ヌードデッサンもして、想像だけで描けるようになっただけなんだから。私は絵のためにお股見せないからね!」
佑はいっそう不機嫌になり、目を細める。
「そんな顔をしても駄目です!」
プイッと横を向いた香澄は、佑の腕を逃れてスタスタとリビングに戻る。
「なぁ」
「きゃあっ」
だが耳元で呼ばれたかと思うと、いきなり背後から抱き上げられた。
佑はソファに座り、香澄を膝の上にのせてスカートの中に手を入れてくる。
「……このスカート、初めて穿くな?」
「そ、そうですが何か」
「俺の前では穿いてくれないのに」
「他にも服が一杯あります。そういうクレームは対応しかねます」
「香澄の〝初〟は全部俺がほしい」
「……お客さん、厄介な病気ですね」
佑のあまりの面倒さに突っ込みを入れ、香澄はポンポンと彼の頭を撫でる。
そんな香澄を、佑は少し恨みがましそうな目で見た。
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