799 / 1,544
第十三部・イタリア 編
のろけ
しおりを挟む
「いやぁ……。何て言うか、雰囲気? そのゆるっとしたシルエットが、女性らしくて好きなんだ」
「またマニアックだなぁ……」
佑は服にこだわりがある分、萌える所も人より少し細かい。
シャツの第一ボタンを外していると、襟元のラインとそこから覗く鎖骨が好きだと言ったり、パンプスにバックリボンがついていると、そこからアキレス腱のラインに興奮すると言う。
普通のスカートを穿いていても、「香澄のスカートのファスナーになりたい」というキテレツな言葉を頂いた。
といっても、「ブラジャーのレースになりたい」という言葉は一度も聞いていないので、彼のこだわりのラインがよく分からない。
つくづく天才肌の人や、何かを専門にして職業にしている人は、変態度が高いと思う。
(私が興奮するのは佑さんの手や喉仏とか、胸板とか腹筋とか……。ってそれも、男性から見たら変態的なのかな?)
んく、とコーヒーを飲み、香澄は膝から下をブラブラと動かす。
(でも言われっぱなしは悔しいから、私も変態してみようかな)
そう思い、じぃ、と佑を見て好きな部分を探す。
ハッキリ言って全部好きだ。控えめに言って最高だ。
それでも……と思い、定山渓で麻衣にのろけた事を思いだし、じんわりと頬を染めて口を開いた。
「私、Tシャツ着てる佑さんの肩甲骨好きだよ。盛り上がった所から、布地がストンってまっすぐ落ちてるのが好きなの」
「背中は自分でも見たことがないな」
意外な事を言われ、佑は少し驚きつつも「好き」と言われてにやけている。
「あとは?」
「んーと、胸板からお腹にかけて服がストンッてなってるのが好き」
「他にも俺の好きなところ言って」
佑が欲しがり、香澄は「うーん」とうなる。
「全部」と言いたいが、それでは満足しないだろう。
「筋肉があるのにバランスが取れてるから、全体的にシュッとして見えるんだけど、私と比べると太い首とか、がっちりした肩も。もちろん腹筋も好きだし、〝すけべライン〟って呼ばれてる、腰骨から鼠径部へのラインも非常にエロティックでございます」
後半は部位的に少し恥ずかしいので、やや冗談めかしてごまかす。
「へぇ、結構マニアックだな」
マニアックと言われ、恥ずかしくなってくる。
「も、もー……。佑さんが欲しがったから言ったのに」
唇を突き出してぶーたれると、佑が「ごめん、ごめん」と笑った。
「香澄、おいで」
両腕を広げられると、そこに行かない選択肢はない。
テーブルのマグカップを移動させ、香澄は佑の膝の間に座る。
ぎゅう、と抱き締められて思わず笑うと、佑も幸せそうに笑ってくれた。
「今日……どうしようか」
佑が呟き、香澄は顔を上げて彼を見る。
「昨日も言ったけど、別に無理をして観光しなくていいからね。佑さんにゆっくりしてほしいし、私もちょっと癒やし時間がほしいかも」
「ん。……あー、そうだ。せっかくだから温泉行こうか。温泉ならゆっくりできるだろ?」
「温泉!?」
思ってもみない言葉に、香澄は声を跳ね上がらせる。
「映画で見なかったか? 古代ローマの男がタイムスリップして日本の風呂に来るやつ」
「あー!」
有名な漫画原作の映画を思い出し、香澄はうんうんと頷く。
「そう言えば、世界史でも習ったっけ。カラカラ浴場とか。懐かしい!」
「ポンペイも知ってるだろう?」
「あぁ、うん。火山でなくなった街だよね。映画も見た」
「温泉文化って日本のものと思いがちだけど、割と世界中にあるんだ」
「なるほど」
「ローマの近くだと、『テルメ・デイ・パーピ』が有名かな。河野に連絡を入れておこう」
そう言って佑はスマホを弄り、河野にメッセージを送る。
「テルメ……かぁ」
「映画は〝テルマエ〟と言っていたな」と思いつつ、香澄はスマホで『テルメ・デイ・パーピ』を検索する。
「またマニアックだなぁ……」
佑は服にこだわりがある分、萌える所も人より少し細かい。
シャツの第一ボタンを外していると、襟元のラインとそこから覗く鎖骨が好きだと言ったり、パンプスにバックリボンがついていると、そこからアキレス腱のラインに興奮すると言う。
普通のスカートを穿いていても、「香澄のスカートのファスナーになりたい」というキテレツな言葉を頂いた。
といっても、「ブラジャーのレースになりたい」という言葉は一度も聞いていないので、彼のこだわりのラインがよく分からない。
つくづく天才肌の人や、何かを専門にして職業にしている人は、変態度が高いと思う。
(私が興奮するのは佑さんの手や喉仏とか、胸板とか腹筋とか……。ってそれも、男性から見たら変態的なのかな?)
んく、とコーヒーを飲み、香澄は膝から下をブラブラと動かす。
(でも言われっぱなしは悔しいから、私も変態してみようかな)
そう思い、じぃ、と佑を見て好きな部分を探す。
ハッキリ言って全部好きだ。控えめに言って最高だ。
それでも……と思い、定山渓で麻衣にのろけた事を思いだし、じんわりと頬を染めて口を開いた。
「私、Tシャツ着てる佑さんの肩甲骨好きだよ。盛り上がった所から、布地がストンってまっすぐ落ちてるのが好きなの」
「背中は自分でも見たことがないな」
意外な事を言われ、佑は少し驚きつつも「好き」と言われてにやけている。
「あとは?」
「んーと、胸板からお腹にかけて服がストンッてなってるのが好き」
「他にも俺の好きなところ言って」
佑が欲しがり、香澄は「うーん」とうなる。
「全部」と言いたいが、それでは満足しないだろう。
「筋肉があるのにバランスが取れてるから、全体的にシュッとして見えるんだけど、私と比べると太い首とか、がっちりした肩も。もちろん腹筋も好きだし、〝すけべライン〟って呼ばれてる、腰骨から鼠径部へのラインも非常にエロティックでございます」
後半は部位的に少し恥ずかしいので、やや冗談めかしてごまかす。
「へぇ、結構マニアックだな」
マニアックと言われ、恥ずかしくなってくる。
「も、もー……。佑さんが欲しがったから言ったのに」
唇を突き出してぶーたれると、佑が「ごめん、ごめん」と笑った。
「香澄、おいで」
両腕を広げられると、そこに行かない選択肢はない。
テーブルのマグカップを移動させ、香澄は佑の膝の間に座る。
ぎゅう、と抱き締められて思わず笑うと、佑も幸せそうに笑ってくれた。
「今日……どうしようか」
佑が呟き、香澄は顔を上げて彼を見る。
「昨日も言ったけど、別に無理をして観光しなくていいからね。佑さんにゆっくりしてほしいし、私もちょっと癒やし時間がほしいかも」
「ん。……あー、そうだ。せっかくだから温泉行こうか。温泉ならゆっくりできるだろ?」
「温泉!?」
思ってもみない言葉に、香澄は声を跳ね上がらせる。
「映画で見なかったか? 古代ローマの男がタイムスリップして日本の風呂に来るやつ」
「あー!」
有名な漫画原作の映画を思い出し、香澄はうんうんと頷く。
「そう言えば、世界史でも習ったっけ。カラカラ浴場とか。懐かしい!」
「ポンペイも知ってるだろう?」
「あぁ、うん。火山でなくなった街だよね。映画も見た」
「温泉文化って日本のものと思いがちだけど、割と世界中にあるんだ」
「なるほど」
「ローマの近くだと、『テルメ・デイ・パーピ』が有名かな。河野に連絡を入れておこう」
そう言って佑はスマホを弄り、河野にメッセージを送る。
「テルメ……かぁ」
「映画は〝テルマエ〟と言っていたな」と思いつつ、香澄はスマホで『テルメ・デイ・パーピ』を検索する。
22
お気に入りに追加
2,509
あなたにおすすめの小説
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる