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第十三部・イタリア 編

自慰の手伝い ☆

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「じゃあ、俺がやってあげる」

 彼の腕が伸び、香澄のパンティの中に手が入った。

「やりやすいように膝を立てて」

「ん……」

 言われた通りの体勢になりながら、香澄はハァ……と溜め息をつく。
 そしてあまりに恥ずかしくて両手で顔を覆った。

(佑さんにオナニーの手伝いさせるなんて……!)

 こらえ性のない自分に嫌気が差すものの、ここまでされて放置は生殺しだ。

 いつもならセックスする時は十分すぎるほど愛されるのに、いざ最後までできないと、切なくて泣きたくなる。

「ン……ぁ」

 ぷつんと勃ち上がった肉芽に佑の指先が触れ、ゆっくり優しく転がしてくる。

「あぁ……、あぁ……、あ……」

 それだけで気持ち良くて堪らない香澄は、もう絶頂へのきっかけを掴みつつあった。

(佑さんの指……、気持ちいい……)

 自分で触れるよりも、佑にしてもらったほうが何倍も気持ちいい。

「たっぷり濡れてるな。耳、気持ち良かったか?」

 クリュクリュと真珠ごとさやを揺さぶられ、脳髄に心地よさが刻まれてゆく。

「ん……、ん……。きもち……ぃ……」

 無意識に香澄はうつ伏せになりかけていた。

「うつ伏せの方が達きやすい?」

「ん……っ、うん……っ」

 自慰をしている時の癖もバレてしまって恥ずかしいが、今はただ達かせてほしくて堪らない。

 佑は香澄の体を跨いで馬乗りになり、上から覆い被さるようにして指を動かし続けた。
 首筋や背中にキスをされ、絶頂する寸前のフワフワとした気持ちよさが襲ってくる。

「あぁ……っ、ん、ぁあ、……んーっ、きも……ち……っ」

 額をシーツに押しつけ、香澄は目を閉じて佑の指に集中する。

 脳裏に浮かぶのは、佑の手だ。

 大きくて掌が肉厚なのに、指が長くてとても綺麗な手。

 ――思わず、見ただけであれこれ妄想してしまう手。

 いつも書類を捲りキーボードを打つあの指が、いま香澄の肉真珠を転がしている。

 敏感な場所を傷めないように繊細に動かし、粘液を纏って表面を撫でたあと、トントンと軽く叩いて刺激を与えてくる。
 そのたびにピチャピチャと小さな水音が聞こえ、自分があまりに濡らしすぎているのが分かってさらに赤面した。

「香澄、気持ちいい?」

「うん……っ」

 耳元で囁かれ、その声にすら感じる。

 うつぶせになっている香澄に佑が覆い被さり、下着の中に手を入れて指を動かしている。
 想像力だけはたくましい香澄は、こうしているのがオフィスや公共の場所だったら……と考えて、一気に昂ぶってしまった。

「あ……っ、ぁ……。ン、佑……っ、さん……っ」

 屹立を激しく出し入れされるでもなく、ただ陰核を繊細に撫でられるだけなのに、香澄の官能は確実に高まっていた。
 腰を揺らして目を閉じ、深い呼吸を繰り返すうちに絶頂の波が迫ってくる。

「ン、ン、――ん、……い、――――く、達く……、も、ちょっと……、ぁ、あ……っ」

 臨界点に到達する事を告げた時、佑がちゅぷっと耳にしゃりついてきた。

「っんああぁああ……っ! 駄目っ、みみだめぇえ……っ!!」

 思わず土下座をするように肘が折れ、香澄は額をシーツに擦りつけて絶頂する。
 うずくまって身を守ろうとするのだが、佑の指はまだ動き続け、香澄の耳を舐め続ける。

「んむぅうう……っ」

 香澄はガクガクガクッと腰を震わせ、くぐもった悲鳴を上げた。

 佑から逃げようと前に這うが、コロンと体をひっくり返される。
 そのあと体が浮いたかと思うと、佑の体の上で仰向けになっていた。

 不安定な体勢のまま下着に手を入れられ、クリクリと肉真珠を転がされ、乳房を揉まれる。
 おまけに開かれた膝の内側に佑の脚が入り、大きく開脚した格好にされている。

「んんぅっ、やぁっ、やだっ、こんな……っ、ン、――――あぁあっ!」

 誰かがきたら恥ずかしい場所を見られてしまう。
 そんな体勢で、香澄はビクビクと腰を跳ねさせた。

 立て続けに二度目の波がきて、香澄は嬌声を上げて絶頂する。

 快感が全身を突き抜け、脳内で何かが爆ぜる。

 強い淫激が過ぎ去ったあと、香澄は目を閉じてぐったりと体を弛緩させた。

「……香澄?」

 佑は香澄を横に寝かせ、顔を覗き込んでくる。

「……もう、……満足した……」

 けだるく答えると、佑が悪戯っぽく笑った。
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