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第十三部・イタリア 編

第四の性器 ☆

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 とうとう香澄は床の上にうずくまる。

 それでも佑は、彼女のつるりとした肌に唇を這わせるのをやめなかった。

 キスされるたびにピクピク震える香澄は、へたをすると背中で達ってしまうのでは、という過敏さと戦う。

 剥き出しの肌に彼の吐息が掛かり、温かい唇がつけられ、チロリと舐められるだけで、下着のクロッチが濡れてしまうのが分かった。

「……で、できないのに。……こ、こういうの良くないと思います」

 香澄は弱々しく握った拳で、佑の太腿をポコンと殴る。

「できないからイチャイチャするんだろ? アソコを触らなくても、愛撫だけで満足させられる自信あるつもりだし、香澄だってポテンシャルがあるはずだ」

「そ、そんなポテンシャルいらない!」

 悲鳴を上げた時、佑の手がモソリとキャミソールの間から入り込み、ノーブラの胸を包み込む。

「ン、待って……、ぁ、……あぁ」

 ベビーピンクの布地の上から佑の手を押さえるが、むにむにと乳房を揉まれてまた新たな蜜を零してしまう。
 爪で乳首の先端を軽く引っかかれると、びくんっと体が大きく跳ねた。

「ま、待って……、ギ、ギブ、ギブ」

 プロレスに詳しくないが、手を前に伸ばしてぺしぺしと床を叩く。

 佑の手がほんの僅かに緩んだ瞬間、香澄はうずくまった体勢からコロンと横に転がった。
 手が使えるなら、佑の不埒な手を撃退できると思っての行動だ。

 だが――。

「え? あ、あぁっ!」

 手足を折り曲げて転がっていたのが丁度良かったのか、またしてもヒョイッと抱き上げられてしまった。
 そのままベッドルームまで運ばれ、ベッドの上に下ろされる。

「食後のデザートを頂かないとな」

 ペロリと舌なめずりをした佑は、まるでうさぎを襲う悪い狼のようだ。

「お、お客様は満腹のように思えますので、どうぞ空腹の時に再度ご連絡ください」

「このデザートなら別腹だから、どれだけでも楽しめるとも」

 せっかく着たのに、佑はスルリとキャミソールとタップパンツを脱がせてしまう。

「香澄、お手」
「え? お手?」

 差し出された手に思わず右手をポンとのせると、手の甲にキスをされた。
 ちゅ、ちゅ、と唇が這い、佑は手の甲から五本の指を入念に愛していく。

「ぁ……」

 手にキスをされただけなのに、気持ちがフワフワして体が熱くなってくる。

 そのまま彼は、手から腕、二の腕……と唇をつける場所を移動させていった。

「や、――――ぁ、あっ、そこ、だめっ」

 油断していた香澄は、腕をまっすぐ上げられ、柔らかな腋をパクリと食まれた
 恥ずかしい場所をねっとりと舐められ、唇をわななかせる。

「やだっ! 佑さん、そこ腋……っ、ぁ、あ……っ」

 好きな人に恥部をねっとりと舐められ、香澄は呼吸を乱し羞恥で顔を真っ赤にさせる。

 脱毛してもう無駄毛はないはずなのに、恥ずかしくて堪らない。

 今日は汗を掻く運動はしていないし、秋だし気温も暑いというほどではない。
 だが酒を飲んで体温が上がったし、汗ばんでいないか心配だ。

 彼は決して言わないだろうけど、万が一にも匂いがしたら死んでしまいたくなる。

「やだ、やだぁ……っ」

 半べそを掻いて嫌がっても、二の腕をしっかり掴まれ、舐められ続ける。

 佑は最後にぷちゅ……といやらしい音を立てて唇を離し、妖艶に笑った。

「腋を第四の性器として扱う人もいるそうだよ」

「もー、やだ! どこからそんな情報仕入れるの!? 信じられない!」

 真っ赤になって反抗すると、佑は一瞬とぼけた顔をした。
 それを見て、香澄は「あっ」と気づいた。

「まさか……アロイスさんとクラウスさん?」

 そろり、と尋ねると、佑は目を逸らす。

「もぉぉ……。仲が悪いって見せかけておいて、そういう所は繋がってるんだから、もー……」

「最近はそういう話はしてないけどな」

「はぁ……。……でも仲がいいのはいい事だよね? 猥談は程度によるけど、また皆で仲良く話そうね?」

 アドラーと節子を含めた皆で、温泉に行ったのが随分昔のように思える。

「ん、そうだな」

 ちゅ、とキスをされ、香澄は自然に微笑む。

「好きだよ」

 小さな声で告白すると、もう一度キスをされた。
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