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第十三部・イタリア 編
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「達けた?」
佑が額にキスをして、後頭部や背中を優しく撫でてくる。
「……ん。……初めて、……胸で達っちゃった……」
言葉にしてみると、とてもいやらしい体になったように思えて、じんわりと赤面した。
そして少しずつ冷静になり、お腹に当たっている佑の熱をどうしたものかと考える。
抱きついたまま、手をソロリと動かして彼のモノを包んでみる。
「こら」
「ひゃんっ」
だが窘めるように耳を囓られ、びっくりして顔を上げると、佑が少し怒った顔をしていた。
「手癖の悪いうさぎだな」
「……だって私だけ、申し訳なくて……」
眉を下げて言い訳をすると、もう一度額にキスをされた。
「そう考えなくていいよ。いつか香澄が妊娠したらできなくなるだろう? そういう時、手や口で……って今は思うかもしれないけど、実際に妊娠したらそういう気分になれないかもしれない。俺を我慢できる男にさせて」
いつも欲のままに香澄を抱いていたのに、生理だと聞いただけでこんなに我慢してくれる。
いつか妊娠した時の事もきちんと考えてくれていて、そこまで真剣に思っているのなら、茶化したら失礼だと反省した。
「……うん」
佑はまじめに考えていたのに、イチャイチャしたくて触ってしまった自分が恥ずかしい。
(女性がムラムラして我慢するのと、男性が勃ってしまってから我慢するのとじゃ、違うのかもしれない)
反省して、今は胸で達したので満足しようと思った。
「……気持ち良かった……」
また抱きついて呟くと、佑が耳元でクスッと微笑んだ。
「パリでは途中でうやむやになったけど、帰国したら〝色んな道具〟で遊ぼうな」
愉しそうに言われ、香澄は真っ赤になってトンッと彼の背中を叩く。
「もーっ」
パリのホテルで見せられた、難易度の高い道具を思いだすと妙な気持ちになる。
「香澄なら大丈夫だよ。道具を使ったらもっと気持ち良くなれる」
「もぉぉ……」
牛のようにうなったあと、香澄はポツンと尋ねる。
「佑さんって道具が好きなの? 変なチェーンとか、ハーネスとか、ああいうのちょっとアブノーマルっぽいけど」
「嫌か? 気持ち悪い?」
「う、ううん!? ちょっとびっくりしたけど、自分の中にはなかった選択肢だから、佑さんの中では普通なのかな? って思って」
まともに顔を見て話す内容ではないので、香澄は抱きついたまま首を横に振る。
「……そうか。驚かせたならごめん。俺はノーマルかアブノーマルかっていうより、香澄にセックスを楽しんでほしいんだ。だからそのためなら、たまにスパイスも使いたいっていうか」
「味変?」
「ぶふっ」
ラーメンのような言い方をしたので、佑が噴きだした。
「香澄はそのままでも飽きない美味しさだよ。でも、たまにエッチな衣装を着たり、道具を使ったらどんな反応を見せてくれるんだろう? ってワクワクする。俺は香澄に会うまで、セックスに対してとても淡泊だった。以前の俺なら、友達が恋人に道具を使ってるって聞いた時は少し引いてた」
それを聞いて、意外に思った。
「もともとじゃなかったんだ?」
「当たり前だよ。本当に俺は淡泊だったんだ。……それが香澄に出会って、色々変わった。愛しているからセックスをもっと楽しみたいって思うようになった。新しい一面を知るたびに夢中になるし、自分の事だって『俺はこんな男だったのか』って発見して驚く事もある。俺にとって香澄との恋は、常に新鮮な刺激に満ちている」
褒められて、香澄は彼に頬ずりをした。
「……えへへ。恥ずかしいな。でも嬉しい」
「俺にとって香澄は、とても価値のある女性だよ」
ちゅ、と優しく首筋にキスをされ、ホワホワとした幸福感に包まれる。
「だからこそ、とことん味わい尽くしたくなる。綺麗なだけの恋愛じゃなくて、ネガティブな部分も知りたくなる。恥ずかしい目に遭わせて、誰に対しても丁寧で模範的な香澄が、俺の前でだけ乱れる姿を目に焼き付けたくなる」
佑の嗜虐的な欲望を知り、心の奥底でゾクンと悦んでしまう。
「わ……私も。同じ……」
おずおずと言って顔を上げると、佑が淡く微笑んでいる。
佑が額にキスをして、後頭部や背中を優しく撫でてくる。
「……ん。……初めて、……胸で達っちゃった……」
言葉にしてみると、とてもいやらしい体になったように思えて、じんわりと赤面した。
そして少しずつ冷静になり、お腹に当たっている佑の熱をどうしたものかと考える。
抱きついたまま、手をソロリと動かして彼のモノを包んでみる。
「こら」
「ひゃんっ」
だが窘めるように耳を囓られ、びっくりして顔を上げると、佑が少し怒った顔をしていた。
「手癖の悪いうさぎだな」
「……だって私だけ、申し訳なくて……」
眉を下げて言い訳をすると、もう一度額にキスをされた。
「そう考えなくていいよ。いつか香澄が妊娠したらできなくなるだろう? そういう時、手や口で……って今は思うかもしれないけど、実際に妊娠したらそういう気分になれないかもしれない。俺を我慢できる男にさせて」
いつも欲のままに香澄を抱いていたのに、生理だと聞いただけでこんなに我慢してくれる。
いつか妊娠した時の事もきちんと考えてくれていて、そこまで真剣に思っているのなら、茶化したら失礼だと反省した。
「……うん」
佑はまじめに考えていたのに、イチャイチャしたくて触ってしまった自分が恥ずかしい。
(女性がムラムラして我慢するのと、男性が勃ってしまってから我慢するのとじゃ、違うのかもしれない)
反省して、今は胸で達したので満足しようと思った。
「……気持ち良かった……」
また抱きついて呟くと、佑が耳元でクスッと微笑んだ。
「パリでは途中でうやむやになったけど、帰国したら〝色んな道具〟で遊ぼうな」
愉しそうに言われ、香澄は真っ赤になってトンッと彼の背中を叩く。
「もーっ」
パリのホテルで見せられた、難易度の高い道具を思いだすと妙な気持ちになる。
「香澄なら大丈夫だよ。道具を使ったらもっと気持ち良くなれる」
「もぉぉ……」
牛のようにうなったあと、香澄はポツンと尋ねる。
「佑さんって道具が好きなの? 変なチェーンとか、ハーネスとか、ああいうのちょっとアブノーマルっぽいけど」
「嫌か? 気持ち悪い?」
「う、ううん!? ちょっとびっくりしたけど、自分の中にはなかった選択肢だから、佑さんの中では普通なのかな? って思って」
まともに顔を見て話す内容ではないので、香澄は抱きついたまま首を横に振る。
「……そうか。驚かせたならごめん。俺はノーマルかアブノーマルかっていうより、香澄にセックスを楽しんでほしいんだ。だからそのためなら、たまにスパイスも使いたいっていうか」
「味変?」
「ぶふっ」
ラーメンのような言い方をしたので、佑が噴きだした。
「香澄はそのままでも飽きない美味しさだよ。でも、たまにエッチな衣装を着たり、道具を使ったらどんな反応を見せてくれるんだろう? ってワクワクする。俺は香澄に会うまで、セックスに対してとても淡泊だった。以前の俺なら、友達が恋人に道具を使ってるって聞いた時は少し引いてた」
それを聞いて、意外に思った。
「もともとじゃなかったんだ?」
「当たり前だよ。本当に俺は淡泊だったんだ。……それが香澄に出会って、色々変わった。愛しているからセックスをもっと楽しみたいって思うようになった。新しい一面を知るたびに夢中になるし、自分の事だって『俺はこんな男だったのか』って発見して驚く事もある。俺にとって香澄との恋は、常に新鮮な刺激に満ちている」
褒められて、香澄は彼に頬ずりをした。
「……えへへ。恥ずかしいな。でも嬉しい」
「俺にとって香澄は、とても価値のある女性だよ」
ちゅ、と優しく首筋にキスをされ、ホワホワとした幸福感に包まれる。
「だからこそ、とことん味わい尽くしたくなる。綺麗なだけの恋愛じゃなくて、ネガティブな部分も知りたくなる。恥ずかしい目に遭わせて、誰に対しても丁寧で模範的な香澄が、俺の前でだけ乱れる姿を目に焼き付けたくなる」
佑の嗜虐的な欲望を知り、心の奥底でゾクンと悦んでしまう。
「わ……私も。同じ……」
おずおずと言って顔を上げると、佑が淡く微笑んでいる。
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