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第十二部・パリ 編
うさぎの尻尾
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佑がこちらに来る気配がし、香澄は思わずキョロキョロと左右を見回し、逃げる場所を探す。
結局逃げ場所が見つからず、香澄はキングサイズのベッドの脇にしゃがみ込んでいた。
「あれ? ……何してるんだ?」
一瞬、香澄がベッドルームからいなくなったかと思った佑は、しゃがんで小さくなっている香澄を見つけて笑う。
「だって……。だって、……は、恥ずかしい……」
胸もお尻も丸出しで、この上なく恥ずかしい。
これでは素っ裸のほうがまだマシな気がする。
「ハーネスを着けるなら、チョーカーを俺に留めさせてって言おうと思ったんだけど」
「うー……。ま、まだ……着けてない……けど……」
うずくまって両手で胸を隠したまま、香澄は佑を上目遣いで見る。
プルプルと震えているさまは、まるで追い詰められたうさぎだ。
「どれ」
佑はベッドに座り、香澄の頭をサラリと撫でる。
「んぅ」
少し気が緩んだところで、彼の手が頬を撫でて顎にかかり、両側から首を包んでくる。
「金具は……、と。これか。しかし細い首だな」
「ふぁ……っ」
首元を探られるのがくすぐったくて、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「香澄、俯いて。やりづらい」
「……んー……」
言われるがまま、香澄は膝を床につけた体勢で俯く。
まるで首輪をつけてもらっているようで、とても変な気持ちだ。
一方で佑がゾクゾクしているのを、勿論香澄は知らない。
「……可愛いな」
留め具は無事つけられたのか、佑がシャランとチェーンを揺らし、また香澄の頭を撫でる。
「もう一つ。さっきいい物を見つけて買ってきたんだ」
そう言って佑はリビングに行く。
すぐ戻って来た彼が手にしているのは、うさ耳のカチューシャだ。
ベルベットでできた黒いうさ耳は、佑の手の中でユラユラと揺れている。
「これなら被り慣れているだろ?」
「被り慣れてって……。あの時だけだよ」
『Bow tie club』での事を言われ、香澄は苦い顔になる。
けれどこれなら頭に被るだけなのでまだマシだ。
香澄は胸を隠しながらうさ耳を受け取り、スポッとカチューシャを被った。
それだけで佑は非常にご満悦な顔になり、香澄は「好きだなぁ」と笑う。
「そんなにバニーが好きなの?」
「香澄うさぎが好きだよ。他のうさぎに興味はない」
「うーん……」
それなら嬉しいけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
「香澄? うさぎって言ったら、尻尾が必要だよな?」
けれど次にそんな事を言われて、目をぱちくりとさせた。
「尻尾って……。この状態だと、ホックをつけられる場所がないけど」
バニースーツはボディスーツに尻尾をホックでつける仕組みになっているが、今のこのスカスカの下着ではどこにも取り付けられない。
けれど佑はにっこり笑い、ポケットからうさぎの尻尾を取りだした。
「……ん? ……ん?」
しげしげと〝それ〟を見た香澄は、困惑顔だ。
フサフサのうさぎ尻尾は分かるのだが、その根元には鏃をマイルドにしたような何かがついている。
不思議そうに見ている香澄の反応に、佑はにんまりと笑って囁いてきた。
「これ、お尻に入れるんだよ」
「!!」
目の前にあるモノが大人の玩具だと理解した途端、香澄は尻餅をついて後ろに手をついた。
ぷるん、と胸が露わになってしまったのに気づき、慌てて両手で隠す。
「……無理。無理です……」
香澄は真顔になり、プルプルと首を横に振る。
「大丈夫。香澄ならできる」
こんな時だけ、爽やかコマーシャル風に言わないでほしい。
「無理。裂けちゃう」
アナルセックスはさすがに知っているが、へたをすれば体を痛めてしまうと聞いている。
佑の事は好きだが、本来なら使わないところでの行為は怖い。
結局逃げ場所が見つからず、香澄はキングサイズのベッドの脇にしゃがみ込んでいた。
「あれ? ……何してるんだ?」
一瞬、香澄がベッドルームからいなくなったかと思った佑は、しゃがんで小さくなっている香澄を見つけて笑う。
「だって……。だって、……は、恥ずかしい……」
胸もお尻も丸出しで、この上なく恥ずかしい。
これでは素っ裸のほうがまだマシな気がする。
「ハーネスを着けるなら、チョーカーを俺に留めさせてって言おうと思ったんだけど」
「うー……。ま、まだ……着けてない……けど……」
うずくまって両手で胸を隠したまま、香澄は佑を上目遣いで見る。
プルプルと震えているさまは、まるで追い詰められたうさぎだ。
「どれ」
佑はベッドに座り、香澄の頭をサラリと撫でる。
「んぅ」
少し気が緩んだところで、彼の手が頬を撫でて顎にかかり、両側から首を包んでくる。
「金具は……、と。これか。しかし細い首だな」
「ふぁ……っ」
首元を探られるのがくすぐったくて、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「香澄、俯いて。やりづらい」
「……んー……」
言われるがまま、香澄は膝を床につけた体勢で俯く。
まるで首輪をつけてもらっているようで、とても変な気持ちだ。
一方で佑がゾクゾクしているのを、勿論香澄は知らない。
「……可愛いな」
留め具は無事つけられたのか、佑がシャランとチェーンを揺らし、また香澄の頭を撫でる。
「もう一つ。さっきいい物を見つけて買ってきたんだ」
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すぐ戻って来た彼が手にしているのは、うさ耳のカチューシャだ。
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「これなら被り慣れているだろ?」
「被り慣れてって……。あの時だけだよ」
『Bow tie club』での事を言われ、香澄は苦い顔になる。
けれどこれなら頭に被るだけなのでまだマシだ。
香澄は胸を隠しながらうさ耳を受け取り、スポッとカチューシャを被った。
それだけで佑は非常にご満悦な顔になり、香澄は「好きだなぁ」と笑う。
「そんなにバニーが好きなの?」
「香澄うさぎが好きだよ。他のうさぎに興味はない」
「うーん……」
それなら嬉しいけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
「香澄? うさぎって言ったら、尻尾が必要だよな?」
けれど次にそんな事を言われて、目をぱちくりとさせた。
「尻尾って……。この状態だと、ホックをつけられる場所がないけど」
バニースーツはボディスーツに尻尾をホックでつける仕組みになっているが、今のこのスカスカの下着ではどこにも取り付けられない。
けれど佑はにっこり笑い、ポケットからうさぎの尻尾を取りだした。
「……ん? ……ん?」
しげしげと〝それ〟を見た香澄は、困惑顔だ。
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「これ、お尻に入れるんだよ」
「!!」
目の前にあるモノが大人の玩具だと理解した途端、香澄は尻餅をついて後ろに手をついた。
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「……無理。無理です……」
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「大丈夫。香澄ならできる」
こんな時だけ、爽やかコマーシャル風に言わないでほしい。
「無理。裂けちゃう」
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