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第十二部・パリ 編
帰ってきた
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それから、車内にいる瀬尾と呉代に告げた。
「明日は多分どこにも出掛けないから、お前たちも自由にしていてくれ」
そう言うと、彼らは「承知致しました」と返事をした。
溜め息をつき、佑はシートに身を預けて目を閉じた。
ミュンヘン空港までは車で約三十分。
それからスムーズに離陸できたとしても、また更に一時間半かかる。
シャルル・ド・ゴール空港からホテルまでは、車で約四十分。
(……三時間はみたほうがいいか)
考えなくても真夜中の到着になるのは明白だ。
(まぁ、香澄が寝てるベッドに潜り込むのもいいか。温まってそうだな)
疲れ切っていても、香澄の事を考えるだけで口元が緩む。
(……今帰るよ)
心の中で香澄に語りかけ、佑は空港まで少し眠る事にした。
**
「んー……っ」
電子書籍で漫画を読んでいた香澄は、きりのいいところでスマホを閉じ、ベッドの上に仰向けになる。
思いきり伸びて、片足を膝の上に乗せて太腿の裏や臀部のストレッチをし始め、最終的には自転車漕ぎもしだす。
「あぁー……っ」
一通り動いて時間を確認すると、二十三時半近くだ。
「……寝よ」
先ほど気になってスマホの地図アプリで、このホテルからミュンヘンまでどのぐらい掛かるのか調べてみた。
佑は「隣の国だ」と言っていたが、それでも飛行機で一時間半と言えば札幌から東京までの距離になる。
佑が入れてくれたGPSアプリでは、香澄からも彼の位置が分かる。
心配なのでチラッとアプリを覗いてみると、彼のアイコンはまだミュンヘンにあった。
「すぐ戻るって言ったけど、泊まりになるかもしれないしなぁ……。アドラーさん達と飲むなら、そのままブルーメンブラットヴィルに行ってもおかしくないし。……仲良くしてくれるなら、それでいいや」
ケロリと言うと、香澄は寝る準備を始めた。
もうすでに風呂には入っていて、仙骨シャワーもした。
大好きなネクタリンの香りにも包まれているし、このままぐっすり眠れそうだ。
メイン照明を消し、佑が帰ってきた時のために各部屋の間接照明はつけておく。
キングサイズのベッドに潜り込み、寝る前に膣トレをする。
「……地道に頑張ってるけど、佑さん気持ちいいって思ってくれてるのかな。……でもこういう努力してますって言うのも、誘ってるみたいで恥ずかしいし。そしたら絶対佑さんエッチなこと言うもん。……それはもっと恥ずかしい。……でもなぁ、ちょっとは知ってもらいたい気持ちもあって……。うーん」
ブツブツと言いながら膣トレをし、目を閉じて妄想の佑を締め付けてみる。
「……佑さんの感じてる顔、可愛いもんなぁ」
セックス中の佑の顔を想像し、香澄は一人赤くなる。
香澄を見つめて腰を振る彼の姿を見ると、自分のものだと思えて独占欲が刺激される。
「最近ムラムラしてばっかりだなぁ。ニセコでの禁欲期間が効いて、爆発しちゃってるのかな」
はぁ、と溜め息をつき、コロンと横を向く。
パジャマの中に手を入れて胸を揉みかけ――、恥ずかしくなってやめた。
「ヨーロッパに来てからしてばっかりだから、ちょっとは自重しないと」
だがコネクターナウのトーク履歴には、『帰ったら抱かせて』というメッセージが残されている。
しかも、『酷くするかもしれない』とまで書かれてある。
考えるだけで胸がドキドキし、期待してしまっている自分がいた。
「と、取りあえず明日、明日。今日は寝る!」
パタパタと顔の前で手を振り、香澄は誰もいない部屋にむかって「おやすみなさい」と告げて目を閉じた。
**
佑がパリのホテルに戻って来たのは、深夜二時前だ。
ルームキーでドアを開け、静かに室内に入る。
部屋の中はシンとしていて、香澄が寝ていると分かった。
間接照明がついているのは、彼女の気遣いだろう。
それだけで佑の心にホッと温かなものが宿る。
迷わずマスターベッドルームに向かい、羽根布団が盛り上がっているのを見て安堵した。
近付くと香澄の寝顔が見え、すぅすぅという寝息も聞こえる。
(……帰ってきた……)
今すぐキスをして抱き締めたいが、お楽しみはあとに取っておく事にした。
「明日は多分どこにも出掛けないから、お前たちも自由にしていてくれ」
そう言うと、彼らは「承知致しました」と返事をした。
溜め息をつき、佑はシートに身を預けて目を閉じた。
ミュンヘン空港までは車で約三十分。
それからスムーズに離陸できたとしても、また更に一時間半かかる。
シャルル・ド・ゴール空港からホテルまでは、車で約四十分。
(……三時間はみたほうがいいか)
考えなくても真夜中の到着になるのは明白だ。
(まぁ、香澄が寝てるベッドに潜り込むのもいいか。温まってそうだな)
疲れ切っていても、香澄の事を考えるだけで口元が緩む。
(……今帰るよ)
心の中で香澄に語りかけ、佑は空港まで少し眠る事にした。
**
「んー……っ」
電子書籍で漫画を読んでいた香澄は、きりのいいところでスマホを閉じ、ベッドの上に仰向けになる。
思いきり伸びて、片足を膝の上に乗せて太腿の裏や臀部のストレッチをし始め、最終的には自転車漕ぎもしだす。
「あぁー……っ」
一通り動いて時間を確認すると、二十三時半近くだ。
「……寝よ」
先ほど気になってスマホの地図アプリで、このホテルからミュンヘンまでどのぐらい掛かるのか調べてみた。
佑は「隣の国だ」と言っていたが、それでも飛行機で一時間半と言えば札幌から東京までの距離になる。
佑が入れてくれたGPSアプリでは、香澄からも彼の位置が分かる。
心配なのでチラッとアプリを覗いてみると、彼のアイコンはまだミュンヘンにあった。
「すぐ戻るって言ったけど、泊まりになるかもしれないしなぁ……。アドラーさん達と飲むなら、そのままブルーメンブラットヴィルに行ってもおかしくないし。……仲良くしてくれるなら、それでいいや」
ケロリと言うと、香澄は寝る準備を始めた。
もうすでに風呂には入っていて、仙骨シャワーもした。
大好きなネクタリンの香りにも包まれているし、このままぐっすり眠れそうだ。
メイン照明を消し、佑が帰ってきた時のために各部屋の間接照明はつけておく。
キングサイズのベッドに潜り込み、寝る前に膣トレをする。
「……地道に頑張ってるけど、佑さん気持ちいいって思ってくれてるのかな。……でもこういう努力してますって言うのも、誘ってるみたいで恥ずかしいし。そしたら絶対佑さんエッチなこと言うもん。……それはもっと恥ずかしい。……でもなぁ、ちょっとは知ってもらいたい気持ちもあって……。うーん」
ブツブツと言いながら膣トレをし、目を閉じて妄想の佑を締め付けてみる。
「……佑さんの感じてる顔、可愛いもんなぁ」
セックス中の佑の顔を想像し、香澄は一人赤くなる。
香澄を見つめて腰を振る彼の姿を見ると、自分のものだと思えて独占欲が刺激される。
「最近ムラムラしてばっかりだなぁ。ニセコでの禁欲期間が効いて、爆発しちゃってるのかな」
はぁ、と溜め息をつき、コロンと横を向く。
パジャマの中に手を入れて胸を揉みかけ――、恥ずかしくなってやめた。
「ヨーロッパに来てからしてばっかりだから、ちょっとは自重しないと」
だがコネクターナウのトーク履歴には、『帰ったら抱かせて』というメッセージが残されている。
しかも、『酷くするかもしれない』とまで書かれてある。
考えるだけで胸がドキドキし、期待してしまっている自分がいた。
「と、取りあえず明日、明日。今日は寝る!」
パタパタと顔の前で手を振り、香澄は誰もいない部屋にむかって「おやすみなさい」と告げて目を閉じた。
**
佑がパリのホテルに戻って来たのは、深夜二時前だ。
ルームキーでドアを開け、静かに室内に入る。
部屋の中はシンとしていて、香澄が寝ていると分かった。
間接照明がついているのは、彼女の気遣いだろう。
それだけで佑の心にホッと温かなものが宿る。
迷わずマスターベッドルームに向かい、羽根布団が盛り上がっているのを見て安堵した。
近付くと香澄の寝顔が見え、すぅすぅという寝息も聞こえる。
(……帰ってきた……)
今すぐキスをして抱き締めたいが、お楽しみはあとに取っておく事にした。
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