【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
691 / 1,559
第十一部・スペイン 編

マドリードへ

しおりを挟む
 翌日は久住と佐野に付き合ってもらい、ホテル内のジムで走り、筋トレをこなした。

 東京にいれば専属トレーナーが御劔邸まで通ってくれるが、出張先ではそうもいかない。
 今まで教わったトレーニングを頭に、香澄は久しぶりに思いきり汗を流した。

 ちなみにシューズやウェアは、ホテルでレンタルだ。

 ジムで汗を流したあと、軽くシャワーを浴びてから水着に着替え、今度は屋内プールで流す程度に泳ぐ。

 しっかりしないと、という気持ちを胸に、ひたすら体を動かし頭をスッキリさせるつもりだった。

 水着は先日の買い物で佑が買ってくれたがビキニがあるが、オシャレビキニでスポーツは無理だ。

 よってホテルでちゃんと泳げる水着を購入した。
 キャップとゴーグルはレンタルできるのでありがたい。

 護衛にプールサイドで貴重品の番をしてもらい、ひたすら泳ぐ。

「っぷぅ!」

 タンッとプールサイドに手を突き、香澄はハァハァと呼吸を繰り返す。

 海外のプールは1.5mほどあり、当たり前に160cmの香澄の身長なら溺れてしまう。なので泳ぐ時は本気だ。

『驚いた。結構泳げるんだね?』

 その時、いきなり頭上から英語で話しかけられ、ハッとして顔を上げる。

 プールサイドには水着姿のフェルナンドがしゃがんでいて、明るい表情でこちらを見下ろしていた。

 チラッと久住と佐野を見ると、慌てて久住がこちらにやって来るところだ。

 彼の仕事を増やしてはいけないと思い、香澄はゴーグルを上げてフェルナンドに詫びる。

『ごめんなさい。先日出かけた事、婚約者に怒られてしまったんです。なのであなたとはお話できません』

 少し驚いた様子のフェルナンドへの申し訳なさがあるので、もう一言つけ加える。

『でも親切にチョコレートショップまで付き合ってくれた事や、楽しくお話してくれた事には感謝しています。親切にしてくださってありがとうございます』

 ニコッと微笑んでから香澄はまたゴーグルをつけ、壁を蹴って反対側へ泳ぎ始めた。

 若干良心が痛むが、もう佑に苦しい思いをさせたくない。

 二十五メートルプールを往復したあと、香澄はしばらくプールサイドで休む事にした。





 フェルナンドはゆったりとデッキチェアに脚を投げ出している。

 そしてプールサイドに上がってスイムキャップを取り、久住からタオルを受け取った香澄をジッと見ていた。

『いいケツしてるな。胸の形もいい』

 呟いた台詞は、香澄の前とは別人だ。

「あいつの……弱点」

 香澄が「太陽のような笑顔」と思った微笑みを浮かべ、フェルナンドはサングラスを掛ける。

 そしてスマホを手に持ち――操作しているふりをして香澄の写真を撮る。

 ズームして久住に向けて笑っている顔を、――もう一枚撮った。



**



 佑の仕事が終わったあと、二人は空港に向かった。

「どうせならプラド美術館でも見ようか」と言われ、急遽マドリードまで飛んだのだ。

 約一時間半のフライトは札幌から東京までと同じだ。

 バルセロナがスペインの中でもフランスに近い北東の海沿いにあるのに対し、マドリードはほぼスペインのど真ん中と言っていい場所にある。

 スペイン滞在の最後は、マドリードで過ごすらしい。

 翌日はパリに向かうようで、さすが〝世界の御劔〟のスケジュールだ。

 午前中にマドリード=バラハス・アドルフォ・スアレス空港に到着し、車で移動する。

 宿泊するホテルは『ザ・ロッドフォード・パレス・マドリード』と言い、その名前だけですぐ理解した。

 バルセロナでは、ホテル王のショーン・ロッドフォードと友人だと教えてもらった。

 あのとき佑は「ドイツの知り合いの友人」と関係をぼかしていた。

 だが後日それとなく尋ねると、エミリアの兄にテオという人がいるようで、そのテオがアメリカで人脈を広げているようだ。

 彼の友人の一人がショーン・ロッドフォードで、テオに紹介されて仲良くなったらしい。

(やっぱりお金持ちは知り合いも凄いんだなぁ)

 会話にエミリアの名前が出てくるから気を遣ってくれたらしいが、エミリアの兄と言われても、会った事がないので何とも思わない。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...