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第十一部・スペイン 編

曇るガラス ☆

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「え……」

 ちゅぷっと指が引き抜かれ、くるべき波が引いていった。

 あと少しで達けるのに寸止めされ、香澄は呆然とした顔で佑を振り返る。

 佑は妖艶に笑ってちゅっと指を舐め、立ち上がってズボンと下着を脱ぐ。
 そして鍛えられた肉体を晒し、朝に似つかわしくない妖艶な笑みを浮かべた。

「可愛がらなくていいんだろ? なら意地悪しようかと思って」

 満足そうに目を細め、佑はもう一度名残惜しそうにちゅっと指を舐める。

「……いじ……わる……」

 涙を溜めた目で香澄は呟き、疼きに疼いた腰を揺らす。

「欲しい?」

 佑は悠然と微笑んだまま、手を自らの鼠径部に伸ばし屹立を撫でる。
 その仕草が香澄の興奮を煽り、彼女ははしたなく濡らした。

「ぅ……、うー……」

 香澄はうなり、よたよたと立ち上がる。
 明るい場所でこんな事をして……という罪悪感はあるが、それよりも佑のフェロモンに当てられて、どうにかなってしまいそうだった。

 真っ赤になった顔で佑を見上げると、スルリと頬を撫でられる。
 思わず頬ずりをすると、佑が顔を寄せて耳元にとんでもない命令を囁き込んできた。

「欲しかったら窓辺に立ってごらん」

「え……」

 目を丸くして窓を見ると、九階からの眺めが映る。
 向かいには同じくらいの建物があり、距離があるとはいえ窓辺に立ったら誰に見られるか分からない。

 佑を見て小さく首を横に振ると、手を握られ窓辺へ連れて行かれる。

「や……やだ……っ」

 佑に対する恥じらいとは別の羞恥が沸き起こり、香澄は必死に拒絶した。
 人に見られて悦ぶ趣味はない。自分の裸は、佑にしか見せたくない。

「大丈夫」

 だが佑はシャッとレースのカーテンを引くと、香澄の手を窓につけさせた。

「建物のガラスは内側からは見えやすいけど、外側からだと見えづらい作りになっている。保険にレースを引けば誰にも見えないよ」

 ポンポンと香澄の頭を撫で、佑は彼女の背後に立ってお尻を撫でた。

「ん……。ほんと……?」

 ねっとりとしたいやらしい手つきに思わず腰を揺らし、香澄は不安げに佑を振り向く。

「本当だよ。俺が香澄の肌を、他人に見せる訳ないじゃないか」

「うん……。信じてる……」

 コクンと頷いた香澄に、佑がちゅ、とキスをした。

「脚、もう少し開いて」

 ぺち、とお尻を軽く叩かれ、香澄はキュンと下腹部を疼かせて足をもう少し開く。

「でも……。見られてるように思える……」

「そうだな。それが狙いだから」

 不安げに呟いた香澄の耳元で佑が囁き、そのままヌチュリと耳をしゃぶってきた。

「ぁ、う……、ん、あぁあ、あー……ああぁ、ン……、耳、みみ、やぁあ……」

 脳髄を直接舐められているかのような感覚に陥り、香澄はブルッと体を震わせて力む。

 佑はプルプルと震えるお尻や太腿を撫で、もう片方の手で乳房を捏ねた。

 秘部には彼の張り詰めたモノが押しつけられ、ヌルヌルと前後している。

 香澄が喘ぐたびに、レース越しのガラスが曇る。
 窓際でいやらしい事をしている姿を、本当は誰かに見られているのではと思うと異様に胸が高鳴った。

「……香澄は何もかもやらしいな」

 クチュ……と耳の輪郭を舐めたあと、佑が低く囁く。
 それだけで香澄はゾクゾクッと体を震わせ、窓に縋り付いていた。

「今すぐにも入れて可愛がってあげたいけど……。可愛がらなくていいんだっけ?」

 佑の太い肉茎が、ヌルヌルとゆっくり香澄の陰唇を往復し、ぷつんと勃ち上がった真珠を何度も擦る。

「あぁ……ァ……う、あ……っ、ぁ、やぁっ、いじ、――わるっ、しな……っで」

 耳元で囁く声も、秘唇を滑る熱も、体に優しく触れる指先も、香澄を高めるだけ高めておいて、求めるモノをくれない。

 気がおかしくなりそうになった香澄は、なりふり構わず腰を振り立てた。
 カクカクと動く腰の動きを見て佑は満足げに笑い、耳元で囁く。

「入れるよ」

 香澄は涙で潤んだ目を眇め、〝その時〟を待つ。

 やがて彼女の秘唇に硬い先端が触れ、ぐぐ……と入り込んできた。

「んぁ……あ……」

 唇からたらりと涎が垂れそうになり、香澄は必死に口を閉じる。

 亀頭を挿入した佑は、香澄の腰を掴んだかと思うと、身長差を利用してドチュッと奥まで突き上げてきた。
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