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第八部・イギリス捜索 編
夢からの覚醒
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祭りの話題が終わって京都の話になると、香澄も憧れている街の話なので熱を入れて話す。
それほど深く知っている訳ではないのだが、国を超えた人と好きなものの共通点ができるのは嬉しい。
自分が知っている事を話し、またマティアスの知人の体験談なども聞く。
そうしているうちに時間が経って酒も進み、香澄は気がつけばまたぐったりとソファにもたれ掛かって目を閉じていた。
『……おい?』
マティアスに呼ばれても、香澄は今度こそ返事ができないぐらい深く寝入っていた。
『フラウ・カスミ』
側に来たマティアスに肩を揺さぶられても、香澄は目を覚まさない。
『…………』
マティアスは立ち上がり、高級腕時計に視線を走らせると一言つぶやく。
『思ったより時間がかかった』
ゆっくりと開け放たれたドアに向かい、ドアストッパーの金具を上げる。
高級ホテルの重厚なドアは、ゆっくりと閉じて廊下と室内を完全に隔てた。
**
香澄は幸せな夢を見ていた。
いつものように佑に愛され、キスをして好きだと言われ、抱き合う夢だ。
現実では辛い事もあるけれど、夢の世界はすべてを忘れさせてくれる。
「んふ……。たす……く、……さ……」
幸せそうに微笑んだ香澄の頭を、誰かが撫でた。
香澄はその手に頬ずりをし、自分を愛撫する手にも素直に反応する。
下肢に甘い刺激が走ったのも、佑が与えてくれたものなら嬉しくて甘い声を上げる。
夢か現か分からず、香澄は佑の名前を呼んで乱れる。
体が熱く燃え上がり絶頂を覚えたあと、また香澄は深い深い眠りの淵に落ちていった。
香澄は寒気を覚え、目を覚ました。
「はっくしゅん!」
とっさに手で口を覆ってくしゃみをし、体を縮こめた瞬間、すり合わせた太腿の感触に「え」と真顔になる。
手に触れたのは、サラリとした布――ベッドのシーツだ。
香澄はベッドに寝かされている。
(誰に寝かされたんだろう? 佑さん……?)
酔っ払った頭はまだ朦朧としていて、まともな思考回路にならない。
香澄はムクリと起き上がり、自分が裸であると自覚して瞠目した。
「え……と」
部屋の中は記憶にある自分と佑の部屋と同じ作りだ。
ベッドサイドに佑が置いてくれたメモと水があるのを思い出し、顔をそちらに向けた。
――ない。
ドクッと胸が嫌な音をたて、「それじゃあこれは?」と思考が切り替わる。
乳房も腹部も、太腿も足も。何もかも晒されていた。
おまけに腹部には見覚えのある――ドロッとした白濁が飛び散っていた。
「佑さん……だよね……。私、お水とメモ、どこかに置いたっけ……」
頭の中は石のように固まっている。
それなのに、体と口が意に反して勝手に動いているように思えた。
(佑さんなら、ピルを飲んでるって知ってるから中に出すはずだ)
そう思い、震える手で自身の秘唇を撫でてみた。
「――――」
たっぷりと潤っているのは、自分の愛液なのだろう。
指を入れて中に精液があるか確認するのは恥ずかしく、とりあえず〝相手〟を見て安心しようと思った。
「え……と、……たすく……さん?」
どうして、側にいないのだろう。
いつも情事のあとは、香澄の体を清拭して側で寝てくれるのに。
こんな、するだけして放置するような――。
「……佑さん……?」
その時になってようやく、バスルームから水音が聞こえるのに気付いた。
(シャワー中か)
ホッとして一緒にシャワーを浴びようと思った気持ちが強かったのか、相手が〝誰〟なのか確かめようと思った気持ちが強かったのかは分からない。
巨大なベッドの上を移動して裸足で床の上に立った時、体の内側からドロッと何かが伝い漏れた。
「っ――――」
これは――知っている。
〝これ〟は、何をされたあとなのか、自分は知っている。
それほど深く知っている訳ではないのだが、国を超えた人と好きなものの共通点ができるのは嬉しい。
自分が知っている事を話し、またマティアスの知人の体験談なども聞く。
そうしているうちに時間が経って酒も進み、香澄は気がつけばまたぐったりとソファにもたれ掛かって目を閉じていた。
『……おい?』
マティアスに呼ばれても、香澄は今度こそ返事ができないぐらい深く寝入っていた。
『フラウ・カスミ』
側に来たマティアスに肩を揺さぶられても、香澄は目を覚まさない。
『…………』
マティアスは立ち上がり、高級腕時計に視線を走らせると一言つぶやく。
『思ったより時間がかかった』
ゆっくりと開け放たれたドアに向かい、ドアストッパーの金具を上げる。
高級ホテルの重厚なドアは、ゆっくりと閉じて廊下と室内を完全に隔てた。
**
香澄は幸せな夢を見ていた。
いつものように佑に愛され、キスをして好きだと言われ、抱き合う夢だ。
現実では辛い事もあるけれど、夢の世界はすべてを忘れさせてくれる。
「んふ……。たす……く、……さ……」
幸せそうに微笑んだ香澄の頭を、誰かが撫でた。
香澄はその手に頬ずりをし、自分を愛撫する手にも素直に反応する。
下肢に甘い刺激が走ったのも、佑が与えてくれたものなら嬉しくて甘い声を上げる。
夢か現か分からず、香澄は佑の名前を呼んで乱れる。
体が熱く燃え上がり絶頂を覚えたあと、また香澄は深い深い眠りの淵に落ちていった。
香澄は寒気を覚え、目を覚ました。
「はっくしゅん!」
とっさに手で口を覆ってくしゃみをし、体を縮こめた瞬間、すり合わせた太腿の感触に「え」と真顔になる。
手に触れたのは、サラリとした布――ベッドのシーツだ。
香澄はベッドに寝かされている。
(誰に寝かされたんだろう? 佑さん……?)
酔っ払った頭はまだ朦朧としていて、まともな思考回路にならない。
香澄はムクリと起き上がり、自分が裸であると自覚して瞠目した。
「え……と」
部屋の中は記憶にある自分と佑の部屋と同じ作りだ。
ベッドサイドに佑が置いてくれたメモと水があるのを思い出し、顔をそちらに向けた。
――ない。
ドクッと胸が嫌な音をたて、「それじゃあこれは?」と思考が切り替わる。
乳房も腹部も、太腿も足も。何もかも晒されていた。
おまけに腹部には見覚えのある――ドロッとした白濁が飛び散っていた。
「佑さん……だよね……。私、お水とメモ、どこかに置いたっけ……」
頭の中は石のように固まっている。
それなのに、体と口が意に反して勝手に動いているように思えた。
(佑さんなら、ピルを飲んでるって知ってるから中に出すはずだ)
そう思い、震える手で自身の秘唇を撫でてみた。
「――――」
たっぷりと潤っているのは、自分の愛液なのだろう。
指を入れて中に精液があるか確認するのは恥ずかしく、とりあえず〝相手〟を見て安心しようと思った。
「え……と、……たすく……さん?」
どうして、側にいないのだろう。
いつも情事のあとは、香澄の体を清拭して側で寝てくれるのに。
こんな、するだけして放置するような――。
「……佑さん……?」
その時になってようやく、バスルームから水音が聞こえるのに気付いた。
(シャワー中か)
ホッとして一緒にシャワーを浴びようと思った気持ちが強かったのか、相手が〝誰〟なのか確かめようと思った気持ちが強かったのかは分からない。
巨大なベッドの上を移動して裸足で床の上に立った時、体の内側からドロッと何かが伝い漏れた。
「っ――――」
これは――知っている。
〝これ〟は、何をされたあとなのか、自分は知っている。
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