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第七部・双子襲来 編
お風呂上がりのフルーツ
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「スッキリした? 逆にモヤモヤした?」
「んー……。スッキリ……はしてないかもです。でも、自分で訊きたいと思ったので、後悔はしてません。エミリアさんに直接お会いした事はありませんが、素敵な方なら私も頑張らないとな……って」
「カスミだよ~……」
「あぁー、カスミだぁ~……。可愛い、可愛い、可愛い……」
「えっ? ちょっと……、お二人とも……」
スッと自然に沸き起こった気持ちを口に出しただけなのに、さも特別な事を言ったかのようにされ、香澄は首を傾げる。
その後もチーズやナッツをおつまみにワインを楽しんでいたが、遅くなる前に御劔邸に戻る事にした。
**
(なるほど、……そういう問題があったか)
白金の御劔邸に戻ったあと、寝る前にやる事を思い浮かべた香澄は、ワインで高揚した気持ちを落ち着かせてゆく。
むしろここからが本番だ。
「カスミー、シャワー浴びたい」
「あ、待ってください。お風呂確認しますね」
三階建ての御劔邸には、各フロアに規模の差はあれど洗面所とバスルームがある。
昼間にカフェに向かった時、香澄は斎藤と島谷に向けてメモを書いておいた。
佑の従兄である双子が来ているので、可能だったら三階の客室を整えておいてもらえたら……という旨だ。
斎藤たちは香澄よりも佑と付き合いが長いので、勿論双子の事も知っているだろう。
御劔邸の事ならベテランの彼女たちに……と思ってお願いしてみたが、帰って来たら客室も何もかも整えられていて、思わず拝んだほどだ。
本当は一緒に双子に対応してくれるとありがたいのだが、そこは「お客様がいらっしゃっているなら、私たちは姿を現すのを控えます」というスタンスなのだろう。
双子と一緒にエレベーターで三階まで上がったあと、香澄はそれぞれの客室にあるバスルームを見て、お湯が張られてあるのをチェックした。
「せっかくですから、お風呂にゆっくり浸かってくださいね。フライトの疲れがとれますよ」
「ありがと! カスミも歩いて足疲れたでしょ。マッサージしてあげようか?」
いきなりクラウスがTシャツを脱ぎ、分厚い胸板にたくましく割れた腹筋が現れ、香澄は悲鳴を上げる。
「っきゃあああ! び、びびび、びっくりしたぁ!」
「ちょっともー、これぐらいで恥ずかしいの? 可愛いなぁー」
「俺にも恥じらうカスミ見せて」
アロイスまでも脱ぎ始め、香澄はもう悲鳴すら上げられず階下へ退散してゆく。
「お風呂上がったら、フルーツ用意してますから! 一階です!」
負け惜しみのように大きな声で告げ、香澄は顔の火照りを押さえる。
そして自分も着替えてメイクを落とす事にした。
男性の入浴は早いもので、二人が一階に下りてきたのは十分もかからないうちだ。
「は、早いですね?」
テレビのニュースを見ていた香澄は立ち上がり、キッチンに向かう。
「先日、夕張メロンを頂いたんです。あと、桃もあるので用意しますね」
「両方大好き!」
「僕ら、野菜もフルーツも好き嫌いないよ」
「分かりました。逆に何か苦手な食べ物ってあるんですか?」
冷蔵庫で冷やしていた果物を出し、香澄は包丁を出し切ってゆく。
「んーとね。何せオーマがバチバチの日本人だから、一般的にドイツ人が苦手とする物でもほとんどいけるよ。でもアレ。梅干し。あの酸っぱさは慣れないかな」
何度かトライした事があるのか、思い出しただけでアロイスが唇をすぼませる。
「僕らもさ、ドイツで友達に『美味しいしヘルシーだよ』って日本食勧めたんだよ。でもまずあいつら、納豆ダメだね」
自分たちは食べられるからか、クラウスが勝ち誇っている。
「そうそう。あとは餅は食感が駄目みたい。うっそーって思ったね。餅あんなに美味しいのに!」
「箸は大分グローバルになってきたけど、焼き魚の骨とか、チマチマした物を取り除くのは苦手そうかな。ヌードルなら普通に食べてるけどね。焼き魚は、ほぐしてあげたら『味はいい』って言うよ。僕らのいる南部だと、海が遠いから魚に慣れてない奴は結構いそうだなぁ。フライなら食べてそうだけどね。うちの一族が街を挙げて日本食を勧めていても、皆が皆、サシミとか寿司、日本的な魚料理を食べる訳じゃないしね」
言われて、ドイツでの日本料理や魚料理の扱いが何となく分かってきた。
「んー……。スッキリ……はしてないかもです。でも、自分で訊きたいと思ったので、後悔はしてません。エミリアさんに直接お会いした事はありませんが、素敵な方なら私も頑張らないとな……って」
「カスミだよ~……」
「あぁー、カスミだぁ~……。可愛い、可愛い、可愛い……」
「えっ? ちょっと……、お二人とも……」
スッと自然に沸き起こった気持ちを口に出しただけなのに、さも特別な事を言ったかのようにされ、香澄は首を傾げる。
その後もチーズやナッツをおつまみにワインを楽しんでいたが、遅くなる前に御劔邸に戻る事にした。
**
(なるほど、……そういう問題があったか)
白金の御劔邸に戻ったあと、寝る前にやる事を思い浮かべた香澄は、ワインで高揚した気持ちを落ち着かせてゆく。
むしろここからが本番だ。
「カスミー、シャワー浴びたい」
「あ、待ってください。お風呂確認しますね」
三階建ての御劔邸には、各フロアに規模の差はあれど洗面所とバスルームがある。
昼間にカフェに向かった時、香澄は斎藤と島谷に向けてメモを書いておいた。
佑の従兄である双子が来ているので、可能だったら三階の客室を整えておいてもらえたら……という旨だ。
斎藤たちは香澄よりも佑と付き合いが長いので、勿論双子の事も知っているだろう。
御劔邸の事ならベテランの彼女たちに……と思ってお願いしてみたが、帰って来たら客室も何もかも整えられていて、思わず拝んだほどだ。
本当は一緒に双子に対応してくれるとありがたいのだが、そこは「お客様がいらっしゃっているなら、私たちは姿を現すのを控えます」というスタンスなのだろう。
双子と一緒にエレベーターで三階まで上がったあと、香澄はそれぞれの客室にあるバスルームを見て、お湯が張られてあるのをチェックした。
「せっかくですから、お風呂にゆっくり浸かってくださいね。フライトの疲れがとれますよ」
「ありがと! カスミも歩いて足疲れたでしょ。マッサージしてあげようか?」
いきなりクラウスがTシャツを脱ぎ、分厚い胸板にたくましく割れた腹筋が現れ、香澄は悲鳴を上げる。
「っきゃあああ! び、びびび、びっくりしたぁ!」
「ちょっともー、これぐらいで恥ずかしいの? 可愛いなぁー」
「俺にも恥じらうカスミ見せて」
アロイスまでも脱ぎ始め、香澄はもう悲鳴すら上げられず階下へ退散してゆく。
「お風呂上がったら、フルーツ用意してますから! 一階です!」
負け惜しみのように大きな声で告げ、香澄は顔の火照りを押さえる。
そして自分も着替えてメイクを落とす事にした。
男性の入浴は早いもので、二人が一階に下りてきたのは十分もかからないうちだ。
「は、早いですね?」
テレビのニュースを見ていた香澄は立ち上がり、キッチンに向かう。
「先日、夕張メロンを頂いたんです。あと、桃もあるので用意しますね」
「両方大好き!」
「僕ら、野菜もフルーツも好き嫌いないよ」
「分かりました。逆に何か苦手な食べ物ってあるんですか?」
冷蔵庫で冷やしていた果物を出し、香澄は包丁を出し切ってゆく。
「んーとね。何せオーマがバチバチの日本人だから、一般的にドイツ人が苦手とする物でもほとんどいけるよ。でもアレ。梅干し。あの酸っぱさは慣れないかな」
何度かトライした事があるのか、思い出しただけでアロイスが唇をすぼませる。
「僕らもさ、ドイツで友達に『美味しいしヘルシーだよ』って日本食勧めたんだよ。でもまずあいつら、納豆ダメだね」
自分たちは食べられるからか、クラウスが勝ち誇っている。
「そうそう。あとは餅は食感が駄目みたい。うっそーって思ったね。餅あんなに美味しいのに!」
「箸は大分グローバルになってきたけど、焼き魚の骨とか、チマチマした物を取り除くのは苦手そうかな。ヌードルなら普通に食べてるけどね。焼き魚は、ほぐしてあげたら『味はいい』って言うよ。僕らのいる南部だと、海が遠いから魚に慣れてない奴は結構いそうだなぁ。フライなら食べてそうだけどね。うちの一族が街を挙げて日本食を勧めていても、皆が皆、サシミとか寿司、日本的な魚料理を食べる訳じゃないしね」
言われて、ドイツでの日本料理や魚料理の扱いが何となく分かってきた。
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