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第七部・双子襲来 編
コンビニの戦利品
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「タスクと社長と秘書の関係でいるのつらい?」
「そ、そんな事ありませんよ。ほら、お店にあまり長居するのも悪いですし、頂いたら出ましょう」
「カスミの足の調子はどうなの?」
クラウスがスマホで運転手に連絡を取っている間、アロイスが尋ねてくる。
「大丈夫ですよ。つらくなりそうだったら、ご迷惑をお掛けしないうちに自己申告します」
「うん」
その後、代官山へ向かいブラブラと歩いて、またSNS映えしそうなスイーツを食べたあと、双子が気遣ってくれたのか御劔邸へ戻る事となった。
**
「これ、面白いねー」
御劔邸に戻った双子は、リビングでコンビニおにぎりを剥いてキャッキャと騒いでいる。
念願の自動販売機でもコーヒーを買い、コンビニでも様々な物を買っていた。
「私は特に要らないので、お二人でちゃんと食べてくださいね」
「日本のコンビニは味がいいから、もちろん全部食べるよ。さっき車の中で食べたニクマンまた食べたいなぁ」
「あれ美味しかった! 明日もう一回行って、全種類買おう! 僕、半分にするよりまるまる一個食べたい」
双子は格闘技をやっている事もあり、よく食べよく動いているようだ。
二人の体を見た事はないが、きっとプロの格闘選手のように引き締まった体をしているのだろう。
「お茶、どうぞ」
「やったー! グリーンティー!」
「ちょっとクセがあるけど、オーマがしょっちゅう淹れてくれるから僕たちも慣れたよね。この独特の味が美味しい」
夏になり、冷蔵庫には斎藤が作ってくれた水出し緑茶が常備されてある。
「カスミもお茶点てできるの?」
茶道を身につけているのかと言われ、香澄は苦笑いする。
「いえ。私はそんな、人様に振る舞うほどまだ身についていないんです。さわり程度習い始めたぐらいで、本当にまだまだ……」
「オーパがさ、グリーンティー好きだから、今度ブルーメンブラットヴィルに来たら淹れてあげてよ。オーマの所にお茶の道具は全部そろってるからさ」
「は、はい」
返事をしつつ、「これは次に行くまで猛勉強をしないと」と内心焦る。
向こうでミスをしたとしても、節子なら特に注意せずニコニコと見守ってくれるだろう。
逆に口を出してもらえないからこそ、失敗できない。
そんな会話をしつつ、双子は一つのスマホを覗き込み、何やら話し合っている。
ときどき近場の地名や「何キロ」という単語が出るので、香澄はつい尋ねた。
「どうかされましたか? 何か分からない事があったら微力ながらお手伝いしますよ?」
「あ、や。明日の朝、二人でちょっと五キロくらい走ろうと思って、コース決めてんの」
「はぁ……。旅行先まで凄いですね?」
「これぐらいはしないとね。僕らの家ならリングもあるから、トレーナー呼んでスパーリングとかできるんだけど」
自宅にリングがあるのは流石だ。
御劔邸にもジムがあるけれど、香澄は家主ではないので「使っていいですよ」とは言いづらい。
「余計な口出しでなければ、皇居ランなら丁度五キロだと以前佑さんから聞きました」
「皇居ね!」
「他は駒沢オリンピック公園や、お台場とかもいいかもしれません」
「うんうん、いいね、いいね」
「滞在してる間、色んなところ楽しめるね」
正直、「いつまでいるんだろう?」という気持ちはあるが、それを聞いてしまえば失礼極まりない。
出て行ってほしいという意味での「いつまでいるんだろう?」ではない。
佑のスケジュールや、もてなす気持ちをいつまで持てばいいのかという面もある。
洗濯物も出るだろうし、食事の量が変わるなら斎藤にも伝えないとならない。
人任せになってしまうが、そこは佑が帰ってきたら判断してもらおうと思った。
それから夕方までのんびりし、ディナーに向けて出掛ける準備をする。
また双子は香澄のウォークインクローゼットに入り込み、ああでもないこうでもないと話し合う。
結局、双子が選んだのはアメリカンスリーブの黒いドレスだ。
それにピンクソールで有名なジョルダンのパンプス、アクセサリーも佑にプレゼントされてそれほど嵌めていないダイヤの指輪、揃いのイヤリングとネックレスをセレクトされた。
「そ、そんな事ありませんよ。ほら、お店にあまり長居するのも悪いですし、頂いたら出ましょう」
「カスミの足の調子はどうなの?」
クラウスがスマホで運転手に連絡を取っている間、アロイスが尋ねてくる。
「大丈夫ですよ。つらくなりそうだったら、ご迷惑をお掛けしないうちに自己申告します」
「うん」
その後、代官山へ向かいブラブラと歩いて、またSNS映えしそうなスイーツを食べたあと、双子が気遣ってくれたのか御劔邸へ戻る事となった。
**
「これ、面白いねー」
御劔邸に戻った双子は、リビングでコンビニおにぎりを剥いてキャッキャと騒いでいる。
念願の自動販売機でもコーヒーを買い、コンビニでも様々な物を買っていた。
「私は特に要らないので、お二人でちゃんと食べてくださいね」
「日本のコンビニは味がいいから、もちろん全部食べるよ。さっき車の中で食べたニクマンまた食べたいなぁ」
「あれ美味しかった! 明日もう一回行って、全種類買おう! 僕、半分にするよりまるまる一個食べたい」
双子は格闘技をやっている事もあり、よく食べよく動いているようだ。
二人の体を見た事はないが、きっとプロの格闘選手のように引き締まった体をしているのだろう。
「お茶、どうぞ」
「やったー! グリーンティー!」
「ちょっとクセがあるけど、オーマがしょっちゅう淹れてくれるから僕たちも慣れたよね。この独特の味が美味しい」
夏になり、冷蔵庫には斎藤が作ってくれた水出し緑茶が常備されてある。
「カスミもお茶点てできるの?」
茶道を身につけているのかと言われ、香澄は苦笑いする。
「いえ。私はそんな、人様に振る舞うほどまだ身についていないんです。さわり程度習い始めたぐらいで、本当にまだまだ……」
「オーパがさ、グリーンティー好きだから、今度ブルーメンブラットヴィルに来たら淹れてあげてよ。オーマの所にお茶の道具は全部そろってるからさ」
「は、はい」
返事をしつつ、「これは次に行くまで猛勉強をしないと」と内心焦る。
向こうでミスをしたとしても、節子なら特に注意せずニコニコと見守ってくれるだろう。
逆に口を出してもらえないからこそ、失敗できない。
そんな会話をしつつ、双子は一つのスマホを覗き込み、何やら話し合っている。
ときどき近場の地名や「何キロ」という単語が出るので、香澄はつい尋ねた。
「どうかされましたか? 何か分からない事があったら微力ながらお手伝いしますよ?」
「あ、や。明日の朝、二人でちょっと五キロくらい走ろうと思って、コース決めてんの」
「はぁ……。旅行先まで凄いですね?」
「これぐらいはしないとね。僕らの家ならリングもあるから、トレーナー呼んでスパーリングとかできるんだけど」
自宅にリングがあるのは流石だ。
御劔邸にもジムがあるけれど、香澄は家主ではないので「使っていいですよ」とは言いづらい。
「余計な口出しでなければ、皇居ランなら丁度五キロだと以前佑さんから聞きました」
「皇居ね!」
「他は駒沢オリンピック公園や、お台場とかもいいかもしれません」
「うんうん、いいね、いいね」
「滞在してる間、色んなところ楽しめるね」
正直、「いつまでいるんだろう?」という気持ちはあるが、それを聞いてしまえば失礼極まりない。
出て行ってほしいという意味での「いつまでいるんだろう?」ではない。
佑のスケジュールや、もてなす気持ちをいつまで持てばいいのかという面もある。
洗濯物も出るだろうし、食事の量が変わるなら斎藤にも伝えないとならない。
人任せになってしまうが、そこは佑が帰ってきたら判断してもらおうと思った。
それから夕方までのんびりし、ディナーに向けて出掛ける準備をする。
また双子は香澄のウォークインクローゼットに入り込み、ああでもないこうでもないと話し合う。
結局、双子が選んだのはアメリカンスリーブの黒いドレスだ。
それにピンクソールで有名なジョルダンのパンプス、アクセサリーも佑にプレゼントされてそれほど嵌めていないダイヤの指輪、揃いのイヤリングとネックレスをセレクトされた。
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