294 / 1,544
第七部・双子襲来 編
絶望的な勘違い
しおりを挟む
夢の中でも香澄は佑とセックスをし、いちゃついていた。
自然と微笑んだ顔を、誰かが撫でてくれる。
隣に滑り込んだ気配はきっと佑だろう。
香澄は逞しい体をぎゅうっと抱き締め、頬ずりをした。
額にキスをされ、やわやわと髪を撫でられるのが気持ちいい。
香澄は〝彼〟の胸板に顔を押しつけ、その下腹部に手を伸ばす。
(佑さん……。もっかいシよ。佑さんと気持ちいい事するの、大好き……)
布越しに屹立に触れ、香澄はゆっくりとそれを愛撫してゆく。
すぐに芯を持ち始めたそれにクスクスと笑った時、ごろんと仰向けに押し倒された。
「……た、……すく、さん」
もにゃもにゃと寝言を口にし、香澄は〝彼〟に抱きついた。
(……あれ、服着てる? もう起きてたのかな……)
うっすら目を開けると、金髪碧眼の見るも麗しい顔が、キスをしようとしているところだ。
「!!」
ビシッと香澄の心に亀裂が走り、相手が誰かと理解する前に喉から絶叫が漏れていた。
「っいあやあああぁああぁっ!!」
全力で相手をドンッと突き飛ばし、ついでに右足でドカドカと蹴る。
「ちょっと!」
相手は文句を言いながら、ドスンとベッドから転がり落ちた。
「なぁ……っ、な、……なぁっ!?」
肌掛けで胸元を隠し起き上がると、床の上にはTシャツジーパン姿の……どちらだろう。
アロイスかクラウスのどちらかがいる。
いや、雰囲気から言ってこれはクラウスだ。
「クラウスさんっ!?」
「おー! ご名答! よく寝起きで区別ついたね? さっすが僕のカスミ」
「えぇっ!? ど、どうしているんですか!? か、鍵……っ、佑さん!? 佑さん!」
「タスクは留守だよ。マルヤマから聞いた」
離れで御劔邸の警備を担っている円山の名前が出て、香澄は半泣きになる。
「円山さぁん! どうして通したんですか!」
「そりゃあ、アロが引きつけてるあいだに、僕が入り込んだよね? こういうの日本のTVショーであるんでしょ? 寝起きドッキリって。シュヴァンツ(ちん○)しごかれて僕もドッキリしたけど」
床に胡座を掻いたまま、クラウスがペロリと唇を舐めて笑う。
「お願いしますっ! 後生ですから、一生のお願いですからっ、忘れてくださいっ」
「へぇえー? 〝お願い〟かぁ。どうしよっかなぁー」
真っ青と真っ赤を繰り返す香澄の傍らで、クラウスがニヤニヤ笑っている。
そのとき階下で、アロイスらしき声と久住の声が聞こえてきた。
「カースーミー! あーそーぼー!」
「お、アロが来たか。もうちょっと時間稼いでくれれば良かったのに」
「……詰んだ」
呆然とした香澄が呟き時計を確認すると、八時前だ。
香澄が起きるのが遅かった……のもあるが、人の家に上がり込むには早すぎる。
ハッと気付くと、昨晩のまま下着が散乱していた。
慌てて手を伸ばし肌掛けの下に隠そうとするが、ヒョイッと先に取られてしまう。
「へぇー。カスミ、セクシーなのつけてるね?」
「お願いですから返してくださいぃぃ……っ」
半べそ状態になった香澄は、佑が不在なのもありどうしたらいいのか分からない。
「と、とにかく下におりてください! 着替えてからちゃんとおもてなししますから!」
「ふぅん? じゃあ、僕ら朝食まだだから、日本食作ってくれる? ミソスープ飲みたいな。あ、でも面倒なら一緒にコンビニオニギリ買いにいかない?」
「ん、んぅ、は、はいっ! はい! 分かりましたから! ですから今は出て行ってください!」
「りょーかい」
クラウスは立ち上がって手の中のパンティをヒラリと手放すと、素直に寝室を出て行ってくれた。
「…………なんなの…………」
やっと一人になれば香澄は真顔になって呟き、両手で頭を抱えた。
(やばい。非常にやばい。寝ぼけていたとは言え、クラウスさんに……)
手の中の感触を思い出し、佑以外の男性のモノに触れてしまったと恥ずかしさと後悔が押し寄せる。
はぁー……と重たく長い溜め息をつく。
だが階下から双子がキャッキャと騒いでいるのを聞き、佑のお気に入りのコレクションでも壊されたら大変だと、気合いを入れて起きる事にした。
自然と微笑んだ顔を、誰かが撫でてくれる。
隣に滑り込んだ気配はきっと佑だろう。
香澄は逞しい体をぎゅうっと抱き締め、頬ずりをした。
額にキスをされ、やわやわと髪を撫でられるのが気持ちいい。
香澄は〝彼〟の胸板に顔を押しつけ、その下腹部に手を伸ばす。
(佑さん……。もっかいシよ。佑さんと気持ちいい事するの、大好き……)
布越しに屹立に触れ、香澄はゆっくりとそれを愛撫してゆく。
すぐに芯を持ち始めたそれにクスクスと笑った時、ごろんと仰向けに押し倒された。
「……た、……すく、さん」
もにゃもにゃと寝言を口にし、香澄は〝彼〟に抱きついた。
(……あれ、服着てる? もう起きてたのかな……)
うっすら目を開けると、金髪碧眼の見るも麗しい顔が、キスをしようとしているところだ。
「!!」
ビシッと香澄の心に亀裂が走り、相手が誰かと理解する前に喉から絶叫が漏れていた。
「っいあやあああぁああぁっ!!」
全力で相手をドンッと突き飛ばし、ついでに右足でドカドカと蹴る。
「ちょっと!」
相手は文句を言いながら、ドスンとベッドから転がり落ちた。
「なぁ……っ、な、……なぁっ!?」
肌掛けで胸元を隠し起き上がると、床の上にはTシャツジーパン姿の……どちらだろう。
アロイスかクラウスのどちらかがいる。
いや、雰囲気から言ってこれはクラウスだ。
「クラウスさんっ!?」
「おー! ご名答! よく寝起きで区別ついたね? さっすが僕のカスミ」
「えぇっ!? ど、どうしているんですか!? か、鍵……っ、佑さん!? 佑さん!」
「タスクは留守だよ。マルヤマから聞いた」
離れで御劔邸の警備を担っている円山の名前が出て、香澄は半泣きになる。
「円山さぁん! どうして通したんですか!」
「そりゃあ、アロが引きつけてるあいだに、僕が入り込んだよね? こういうの日本のTVショーであるんでしょ? 寝起きドッキリって。シュヴァンツ(ちん○)しごかれて僕もドッキリしたけど」
床に胡座を掻いたまま、クラウスがペロリと唇を舐めて笑う。
「お願いしますっ! 後生ですから、一生のお願いですからっ、忘れてくださいっ」
「へぇえー? 〝お願い〟かぁ。どうしよっかなぁー」
真っ青と真っ赤を繰り返す香澄の傍らで、クラウスがニヤニヤ笑っている。
そのとき階下で、アロイスらしき声と久住の声が聞こえてきた。
「カースーミー! あーそーぼー!」
「お、アロが来たか。もうちょっと時間稼いでくれれば良かったのに」
「……詰んだ」
呆然とした香澄が呟き時計を確認すると、八時前だ。
香澄が起きるのが遅かった……のもあるが、人の家に上がり込むには早すぎる。
ハッと気付くと、昨晩のまま下着が散乱していた。
慌てて手を伸ばし肌掛けの下に隠そうとするが、ヒョイッと先に取られてしまう。
「へぇー。カスミ、セクシーなのつけてるね?」
「お願いですから返してくださいぃぃ……っ」
半べそ状態になった香澄は、佑が不在なのもありどうしたらいいのか分からない。
「と、とにかく下におりてください! 着替えてからちゃんとおもてなししますから!」
「ふぅん? じゃあ、僕ら朝食まだだから、日本食作ってくれる? ミソスープ飲みたいな。あ、でも面倒なら一緒にコンビニオニギリ買いにいかない?」
「ん、んぅ、は、はいっ! はい! 分かりましたから! ですから今は出て行ってください!」
「りょーかい」
クラウスは立ち上がって手の中のパンティをヒラリと手放すと、素直に寝室を出て行ってくれた。
「…………なんなの…………」
やっと一人になれば香澄は真顔になって呟き、両手で頭を抱えた。
(やばい。非常にやばい。寝ぼけていたとは言え、クラウスさんに……)
手の中の感触を思い出し、佑以外の男性のモノに触れてしまったと恥ずかしさと後悔が押し寄せる。
はぁー……と重たく長い溜め息をつく。
だが階下から双子がキャッキャと騒いでいるのを聞き、佑のお気に入りのコレクションでも壊されたら大変だと、気合いを入れて起きる事にした。
43
お気に入りに追加
2,509
あなたにおすすめの小説
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
【R18】鬼上司は今日も私に甘くない
白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。
逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー
法人営業部メンバー
鈴木梨沙:28歳
高濱暁人:35歳、法人営業部部長
相良くん:25歳、唯一の年下くん
久野さん:29歳、一個上の優しい先輩
藍沢さん:31歳、チーフ
武田さん:36歳、課長
加藤さん:30歳、法人営業部事務
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる