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第六部・社内旅行 編

ここ、好きでしょう? ☆

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「再会した時は『久しぶり』とか社交辞令での『綺麗になった』ぐらいしか言っていないよ。十年以上会っていなかったから、そもそも話題もないし。俺が言う以上の褒め言葉は、アロクラが自動的に言ってくれる」

「そっかぁ……。やっぱりお二人はすべての女性にああいう感じなんだね。ちょっと安心した」

 もし自分が佑の婚約者という立場で、特別に接されていたのならどうしよう……と、つい深く考えるところだった。

 コネクターナウの通知も異常な数字がつくし、必要以上に気に入られていたのなら、どうやって今後かわしていったらいいのか少し悩んでいた。

 が、彼らが「女の子」の話をしていたのは聞いていたし、女性には等しく優しくしている中の一人……とは思っていたのだが。

「香澄。あんまりアロクラの言葉は真に受けるなよ? 香澄が可愛いのは事実だけど、あいつらは色んな言葉が多すぎるから」

「うん、分かってる」

 騒がしい双子を思い出し、香澄は思わず笑う。
 側にいた時はとんでもない存在感があり、あちこち引っ張られて疲れてしまうが、安全圏まで避難したあとでは「面白い人たちだな」という感想がある。

 常に一緒にいるのは御免被りたいが、嫌いな訳ではないし、彼らのストレートさは美徳だと思っている。
 なので本当にたまになら、一緒に過ごすのもアリだと思っている。

「あ、そうだ。温泉」

 お風呂の水面を見ていたからか、香澄は会社の懇親会を思い出した。

「ん? 温泉? どこか行きたい?」
「や、そうじゃなくて。会社の……」

 デートかと思って目を輝かせた佑だったが、スンッとテンションを下げる。

「そうか、もう少しだな。……行きたい?」
「ん、うーん……」

 行きたいのは山々なのだが、休養中の自分が懇親会だけ顔を出すのは気が引ける。
 モゴモゴと言葉を選んでいると、「そうか」と佑が頷いた。

「じゃあ、香澄とはまったくの私用で行こう。草津には俺の馴染みの宿があるから、そこに二人で泊まればいい。俺は一応他の社員と同じホテルに部屋を取るけど、早々に切り上げて香澄の方に向かうから」
「うーん。それならいいのかもしれないけど……。勿体ないよ?」

「社員との懇親会は社用だし、香澄との宿は婚約者用だし、無駄な出費ではないと思うけど?」
「譲らないね?」

 佑もこうと決めたら譲らない部分がある。
 思わず微笑むと、佑は口端をもたげ不敵に笑った。

「好きな女の望みなら、何だって叶えたいと思うのは男の甲斐性じゃないか」
「ふふ……。じゃあ、お言葉に甘えようかな? でも皆と過ごす時間は、ちゃんと会社の人たちと一緒にいてね?」

「社長としての務めはちゃんと果たすよ。けど、移動は社員たちは貸し切りバスだけど、俺は車で別行動なのは変わらない。レクレーション的な事は社員同士で任せるよ。幹事もいるし。俺はホテルで合流して、少し挨拶をして一緒に食事をする程度でいいと思っている。というか、毎年そうだ」

「毎年そうなの?」

 目を瞬かせまじまじと見ると、彼は少しばつが悪そうに視線を逸らす。

「社員の事は大事だけど、余暇はのんびり過ごししたい。もうそんなに若くないと思ってるし、はしゃぐのは若い社員同士でいいかな……と」

「……もおおおお……。精神年齢おじいちゃんだなぁ!」

 バシャ! と水音をたてて佑の腰をまたぐと、香澄は向かい合わせに座る。

「駄目だよ? そういうの。色々億劫になる気持ちは分かるけど、そういう時こそ若者からエキスを搾り取らないと!」

「エキス……しぼり……ふ、くっ……」

 香澄の言い方がツボだったのか、佑は口元を押さえて肩を震わせる。

「じゃあ、一番側にいる若者からエキスを搾り取ろうかな?」
「ん!?」

 顎をすくわれたかと思うと唇が重なり、手を握られて導かれたのは佑の屹立だ。
 半分勃ったモノを握らされたからか、香澄は無意識に手を動かしてしまった。

「ん……、ん」

 ヌル……と口内で佑の舌が蠢いただけで、ゾクゾクと名状しがたい快楽が沸き起こる。
 腰が反り、揺れたお尻を佑が撫で回す。

「んぅ……ん、ふぅ……う」

 深いキスに意識を絡め取られながら、香澄は愛しさを込めて彼の肉棒をしごいた。
 ムクムクと大きくなるそれを愛する手つきも、随分慣れてきたものだと思う。

(ここ、好きでしょう?)

 心の中で問いかけ、香澄は掌を上に向けると雁首を人差し指と中指で挟む。
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