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第六部・社内旅行 編

あなたが欲しい ☆

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 その手を佑がしっかりと握ってくれ、香澄は安堵を覚える。

 いつもいつも、自分が佑の支えになりたいと思っても、こうして結局佑に救われる。
 切なさと愛しさがこみ上げ、何か言おうとするのだが、すべて嬌声と変わってしまう。

「あ……っ、あぁあっ、……っんっ、ぁ、うーっ、う、んぅっ、ぁ、あっ」

 言葉を忘れてしまったかのように香澄は甘ったるい声を漏らし、体をくねらせて佑を締め付けるしかできない。

 ――好き。

 泣きそうな表情をしている彼が、愛しくて堪らない。
 彼の涙を舐めて、抱き締めてあげたい。

 だというのに体は激しく突き上げられ、人形のようにガクガクと震え、痙攣する。

 ――キスがしたい。
 ――どこもかしこも、深く繋がり合いたい。
 ――佑さんのすべてをもらってるのに、まだまだ欲しくて堪らない。

 ――欲しい。欲しいよ。

 ――あなたが、欲しい。

 気がつけば香澄も涙を零し、感情と快楽の狭間で激しく揉まれていた。





「ん……っ、んっぅ、あ、あぁ……っ、あ、き……もちぃ……っ」

 汗みずくになった佑の体を抱き締め、律動により揺さぶられる。

 汗に混じって佑がいつもつけている香水の香りが鼻腔をかすった。
 香澄がつけているネクタリンとスイートペアーが混じった匂いもふんわりと香り、佑のそれと重なり合う。

 この世の天国を味わい、香澄はこのまま昇天してしまっても構わないとすら思っていた。

「香澄……っ、俺も気持ちいい……っ」

 耳元で佑がかすれた声を出し、香澄に覆い被さったままズグズグと深くまで突き上げる。

(中に出してほしい……。佑さんの精液ほしい……っ)

 いやらしい願望が芽を出し、香澄は貪婪に腰を動かす。
 けれど佑が避妊をつけていることを思い出し、悔しいと感じてしまう。

「ね……っ、出して、な……っ、かに、私の中に、ちょ……っ、だ、……ぃっ」

 熱の籠もった声で、香澄は精一杯のおねだりをする。
 その声を聞いた佑が欲に彩られた目で香澄を睨み、噛みつくようにキスをしてきた。

「ん……っ、く、……ん、ぷ、……ちゅ、……んぅ、……ん」

 肉厚な舌に荒々しく口内を掻き回され、溢れた唾液を佑のものごと嚥下する。

(あ……、また。……き、ちゃう……っ)

 キスをされて口の中で快楽を拾ってしまい、香澄は押し寄せる絶頂の波に身を任せた。

「ん――――っ、ん、…………っん、ふ、……く、……ぅ、……ぅ」

 佑の舌をきつく吸い、香澄は蜜壷を思い切り締めて痙攣する。
 頭の中が真っ白になり、体の奥で何かが爆発したのかと思ったほどだ。

 やがて自分の体が壊れてしまったかのようにガクガクと痙攣するのを感じながら、香澄はフゥ……ッと意識を手放した。



**



(あれ……)

 目を覚ますと、室内が薄暗い。
 寝室はいつも間接照明がメインだが、それも最小の状態になっていた。

「佑さん」と彼を呼ぼうとすると、喉から頼りない空気が漏れる。

(喘ぎすぎた……)

 溜め息をついたあと、ようやく意識が自分の体に向き、腰に佑の腕が掛かっているのに気付いた。
 香澄は半分うつ伏せになりながら横になっていて、それを佑が背後から抱いていたのだ。

(やだ……)

 そしてもう一つ、〝ある事〟に気付く。

 香澄の体内にまだ佑が入っていた。

 覚えている最後の交わりと体勢が違うので、香澄が気を失ってからまた挿入されたのだろうか。

(もぉぉ……)

 小さく息をつき、気にしないように試みる。
 けれど入っていると分かると、途端に体温が上がり羞恥心がこみ上げた。

(寝てるのかな? バレないように抜きたい……)

「佑さん?」

「んン!」と咳払いをして声の出方を確認してから、香澄は佑を呼んでみた。
 けれど返事はなく、穏やかな息づかいが聞こえるだけだ。

(寝てるんだ。出張から帰ったばっかりだし、起こしたら駄目だ)

「えっと……」

(なるべく、起こさないように……)

 もぞ……と身じろぎをしてみるが、信じられない事に佑の屹立はガチガチに強張ったままだ。
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