194 / 1,550
第五部・ブルーメンブラットヴィル 編
変な気を起こしたら駄目だからね?
しおりを挟む
これから一緒に風呂に入るとなると、急に緊張してきてしまった。
コクコクと紫蘇ジュースを飲むが、途中から味が分からなくなってしまう。
ただいたずらに口の中が酸っぱく、香澄は唇を曲げていた。
「あ……あの。毎回佑さんに介助してもらう訳じゃないからね。変な気を起こしたら駄目だからね?」
「変な気って?」
佑は分かっていて質問を返し、ニヤニヤと笑う。
「もおお……。……さ、触ったり……とか」
「触らないと介助できないな?」
グッと肩が組まれ、耳元で佑が低く囁く。
耳から全身にぞくんっと言い知れぬ感覚が走ってゆき、香澄は身を縮込ませる。
(さ、斎藤さんがいるのにぃぃ~~)
けれど、チラッと彼女を見ても素知らぬ顔をしてキッチン仕事をしている。
「……介助の範囲内ならお願いしたいけど、必要以上にむ、胸を揉んだりとか……そういうことをしたら駄目って言ってるの」
努めて小声でポショポショと言い、釘を刺す。
「ふぅん?」
長い脚をゆったりと組み、佑はスプリッツァをクイッと飲み干す。
そのあと香澄のグラスが空になっているのを見て、にこぉ、と笑った。
「じゃあ、行こうか。介助のための道具とかは、もう発注して用意してあるから」
「えっ……」
ヒョイと抱き上げられたかと思うと、そのままバスルームに連れ込まれる。
洗面の前にある籐の椅子に座らされると、佑が香澄のワンピースを脱がせにかかった。
「あっ……、あ、もう……」
バンザイをさせられ、ストライプのワンピースが脱がされる。
そしてすぐに背中でプツンとブラジャーが外された。
「少し待ってて」
そう言って佑は香澄の目の前で服を脱ぎだし、いきなりのストリップにドキドキする。
リラックスした表情でシャツのボタンを外す姿も、手つきがやけにいやらしく見える。
その下に着ていたTシャツをグイッと脱ぐと、思わず惚れ惚れする肉体が現れた。
トレーニングを欠かさないバキバキに割れた胸板や腹筋に目を奪われていると、腰のベルトに手がかかり、黒いテーパードパンツが下ろされる。
黒いボクサーパンツのみになった佑は、靴下も脱いでポイッと脱衣籠に放った。
「さて、香澄の仕上げをしようか」
支えられて立ち上がると、香澄は洗面台に手をつく。
佑が目の前に跪き、うっとりとした顔で香澄の腹部にキスをした。
「……佑さん……」
お腹にキスをされ、恥ずかしい。
入院している間、いい食事をたくさん出してもらったものの、ほとんど運動らしい運動ができていなかった。
リハビリはしていたものの、いつものようにジョギングなどは勿論していない。
なので数キロ増えていてもおかしくない。お腹もそれに伴って肉が増えていても仕方がなく、恥ずかしくて堪らない。
「ん。香澄のお腹、ふわふわしてて気持ちいい。あまり鍛えすぎるなよ? 鍛えるのは体型をキープする程度でいいから」
「もう……。お腹のお肉が好きなんてやめて。恥ずかしいの」
じわ、と赤面しつつ香澄は佑の髪の毛を梳る。
「下着、脱がせるよ」
「……うん」
総レースのパンティが脱がせられ、この上なく恥ずかしい。
「さて、これがギプスカバーだけど、つけてみようか」
佑が差し出したのは、円いシリコンの中心に放射状に切れ目が入り、その下に厚いビニールが続いている物だ。
「水漏れの心配はないと思う」
「ありがとう。こういう専門の道具もあるんだね。私てっきりビニール袋に足を入れて輪ゴムで止めるのかなー……って、ぼんやり思ってた」
佑が差し出したギプスカバーをしばし眺め、それから香澄は左脚を入れてみる。
ビニールの中にギプスの脚が収まり、膝の上辺りに青いシリコンがぴったりと嵌まった。
「髪洗う前に、ブラシかけておこうか」
「うん」
こういう時、佑はとても丁寧でマメだと思う。
女性である香澄ですら、疲れた時や知識のなかった頃は髪を洗う前にブラッシングをするなど失念してしまう。
なのに佑は香澄に関わることなら、何でも知って自分で行動する。
コクコクと紫蘇ジュースを飲むが、途中から味が分からなくなってしまう。
ただいたずらに口の中が酸っぱく、香澄は唇を曲げていた。
「あ……あの。毎回佑さんに介助してもらう訳じゃないからね。変な気を起こしたら駄目だからね?」
「変な気って?」
佑は分かっていて質問を返し、ニヤニヤと笑う。
「もおお……。……さ、触ったり……とか」
「触らないと介助できないな?」
グッと肩が組まれ、耳元で佑が低く囁く。
耳から全身にぞくんっと言い知れぬ感覚が走ってゆき、香澄は身を縮込ませる。
(さ、斎藤さんがいるのにぃぃ~~)
けれど、チラッと彼女を見ても素知らぬ顔をしてキッチン仕事をしている。
「……介助の範囲内ならお願いしたいけど、必要以上にむ、胸を揉んだりとか……そういうことをしたら駄目って言ってるの」
努めて小声でポショポショと言い、釘を刺す。
「ふぅん?」
長い脚をゆったりと組み、佑はスプリッツァをクイッと飲み干す。
そのあと香澄のグラスが空になっているのを見て、にこぉ、と笑った。
「じゃあ、行こうか。介助のための道具とかは、もう発注して用意してあるから」
「えっ……」
ヒョイと抱き上げられたかと思うと、そのままバスルームに連れ込まれる。
洗面の前にある籐の椅子に座らされると、佑が香澄のワンピースを脱がせにかかった。
「あっ……、あ、もう……」
バンザイをさせられ、ストライプのワンピースが脱がされる。
そしてすぐに背中でプツンとブラジャーが外された。
「少し待ってて」
そう言って佑は香澄の目の前で服を脱ぎだし、いきなりのストリップにドキドキする。
リラックスした表情でシャツのボタンを外す姿も、手つきがやけにいやらしく見える。
その下に着ていたTシャツをグイッと脱ぐと、思わず惚れ惚れする肉体が現れた。
トレーニングを欠かさないバキバキに割れた胸板や腹筋に目を奪われていると、腰のベルトに手がかかり、黒いテーパードパンツが下ろされる。
黒いボクサーパンツのみになった佑は、靴下も脱いでポイッと脱衣籠に放った。
「さて、香澄の仕上げをしようか」
支えられて立ち上がると、香澄は洗面台に手をつく。
佑が目の前に跪き、うっとりとした顔で香澄の腹部にキスをした。
「……佑さん……」
お腹にキスをされ、恥ずかしい。
入院している間、いい食事をたくさん出してもらったものの、ほとんど運動らしい運動ができていなかった。
リハビリはしていたものの、いつものようにジョギングなどは勿論していない。
なので数キロ増えていてもおかしくない。お腹もそれに伴って肉が増えていても仕方がなく、恥ずかしくて堪らない。
「ん。香澄のお腹、ふわふわしてて気持ちいい。あまり鍛えすぎるなよ? 鍛えるのは体型をキープする程度でいいから」
「もう……。お腹のお肉が好きなんてやめて。恥ずかしいの」
じわ、と赤面しつつ香澄は佑の髪の毛を梳る。
「下着、脱がせるよ」
「……うん」
総レースのパンティが脱がせられ、この上なく恥ずかしい。
「さて、これがギプスカバーだけど、つけてみようか」
佑が差し出したのは、円いシリコンの中心に放射状に切れ目が入り、その下に厚いビニールが続いている物だ。
「水漏れの心配はないと思う」
「ありがとう。こういう専門の道具もあるんだね。私てっきりビニール袋に足を入れて輪ゴムで止めるのかなー……って、ぼんやり思ってた」
佑が差し出したギプスカバーをしばし眺め、それから香澄は左脚を入れてみる。
ビニールの中にギプスの脚が収まり、膝の上辺りに青いシリコンがぴったりと嵌まった。
「髪洗う前に、ブラシかけておこうか」
「うん」
こういう時、佑はとても丁寧でマメだと思う。
女性である香澄ですら、疲れた時や知識のなかった頃は髪を洗う前にブラッシングをするなど失念してしまう。
なのに佑は香澄に関わることなら、何でも知って自分で行動する。
44
お気に入りに追加
2,552
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~
けもこ
恋愛
高辻綾香はホテルグループの秘書課で働いている。先輩の退職に伴って、その後の仕事を引き継ぎ、専務秘書となったが、その専務は自分の幼馴染だった。
秘めた思いを抱えながら、オフィスで毎日ドキドキしながら過ごしていると、彼がアメリカ時代に一緒に暮らしていたという女性が現れ、心中は穏やかではない。
グイグイと距離を縮めようとする幼馴染に自分の思いをどうしていいかわからない日々。
初恋こじらせオフィスラブ
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる