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第四部・婚約 編
六本木AC
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「タスクの側にいたいだけならさ、働かないで家でゴロゴロしてたり、好きに遊んでたら? 僕らの知ってる世界規模の富豪の娘って、大体優雅に買い物したり旅行を楽しんでるよ? カスミはそういうのしたくないの?」
カスミは困り果て、溜め息をつく。
(何か……、話が通じない……)
元から独特な雰囲気の人達だなと思っていたが、ここまで価値観が違うとは思っていなかった。
今までの流れでは、あまりの自分の無能さに打ちひしがれ、何て酷い事を言う人なんだろうと、悲しみ、憤慨するシーンだっただろう。
だが「遊び暮らしたくないの?」と言われて、「え?」となったのだ。
「私は……、働きたいです。仕事が大好きっていう訳でもないですが、生きて生活している以上は、働くのが大人、社会人の常識かなと思っています」
「でもさ、FIREって知ってる?」
アロイスに尋ねられ、香澄はチラッとだけネットニュースで見た事のある単語を思い出す。
FIREとは、Financial Independence, Retire Early――経済的自立、アーリーリタイアの頭文字を取った言葉だ。
文字通り、人生の残りの時間を過ごすのに十分な貯えをし、定年を待たずに早期退職をして、残る人生を自由に過ごす事を指す。
アメリカ発祥の言葉らしく、最近では日本でも投資家の中で達成した者が話題となり、ネットニュースの人気コラムなどを書いている。
「それは……、できたら素敵ですし凄いなと思いますが、私には関係ありませんし。FIREを達成した人達は、その人なりの人生があるので、私がどうこう言うものでもありません」
アロイスは肩をすくめ、さらに尋ねてくる。
「『できたら素敵』って思う? じゃあ、もしできたらカスミはどうしたい?」
途方もない事を尋ねられ、香澄は「うーん……」と考える。
「ゆっくり旅行はしてみたいなと思いますが……。あまり遊んでいてもお金が減ってしまいそうなので、無駄遣いせず普通に暮らして、普通の幸せの中で生きていくと思います」
双子はまた、顔を見合わせて溜め息をつく。
「んまー、FIRE達成するぐらい資産築いたなら、年に十分な利益出し続けると思うけど」
ボソッとアロイスが言った言葉を、香澄はよく理解できないでいる。
反対側でクラウスが溜め息をつき、長い脚を組む。
「タスクならさ、あいつガンガン稼いでるし、個人で株もやっててFIREなんてとっくのとうに達成してる。僕たちもだけど、多分宇宙旅行とか気軽に行けるぐらいはあるよ」
「そんなに!?」
多すぎる金勘定については疎いため、香澄はよく分かっていないまま眉を寄せる。
「そういうのにラッキーにも選ばれたんだから、あくせく働かなくてもいーんじゃないの? って話をしてるワケ。カスミがテンプレートな日本人で勤勉、まじめなのは分かるけどさ、タスクはカスミにベタ惚れだし、『もう必死に働かなくてもいーや。将来安泰!』ってならないの?」
香澄は困って頭をポリポリと掻く。
「思うんですけど、これから佑さんと結婚したいと思っていますが、一人だけ働いて一人だけ楽をしてるなんて、不平等じゃないですか?」
「タスクが『全然いいよ』って言っても?」
確かに佑ならそう言いそうだが、香澄の中にあるプライド、矜持が許さない。
「うちの家訓は、『自分の事は自分で』なんです。加えて、社会人になってからは、『働かざる者食うべからず』とも思っています」
「わーお、ストイック」
揶揄するような声音で言われたが、事実なのでどうしようもない。
「佑さんに捨てられるとかは……、ちょっとしか心配していません。多分、ずっと好きでいてくれる……と思いますし」
そこは自分に対して絶対的な自信を持てないので、少し声が小さくなる。
「でも! いつ何時、何が起こるか分かりません。備えあれば憂いなし。自分で働いていたら、佑さんに何があってもやっていけると思うんです。だから、働くのは辞めません」
言い切った香澄は、どうだと言わんばかりにアロイスを見る。
だが双子はやはり顔を見合わせ、どこか白けている雰囲気だ。
「カスミ、投資とかしてる?」
「えっ? ……し、してません。ギャンブルはあまり……」
クラウスは目だけで天井を見る。
確か、外国人がそういうジェスチャーをする時は、あまりよくない反応だった気がする。
「自分の価値観大事にしたいのはいいけどさ、将来に備えたいと思うなら投資の知識も身につけたら? タスクと同じ視点で経済について話せないのは、結婚する上でちょっと、って思うけど」
「えっ……」
ギクリとして香澄は唇を噛む。
「投資するしないは経済的状況にもよるけどさ、日本から見た海外? では投資率高いよ? っていうか、僕たちからすれば、日本人の『コツコツ貯める』とか『会社の給料以外で儲けた金は正しい金じゃない』とか、そういう感覚の方が理解しがたいけど。なんか、多すぎる金に対してネガティブなイメージあるよね。清貧が美しいとか」
「う……」
世界レベルの話をされると、さすがにつらい。
香澄は自分がごく一般的な日本の庶民だという自覚があり、急に佑のようなワールドレベルの男性に、あらゆる感覚を合わせろと言われても、やや抵抗がある。
洗面所で歯磨き粉を歯ブラシから落とした時、思わず〝セーフ〟な部分だけをすくい取り、使ってしまう感覚は健在だ。
スーパーで買った麺だけを料理で使った時は、残ったスープは何かにリメイクできないか取っておくし、札幌で一人暮らしをしていた時は、輪ゴム入れやスーパーのビニールを三角に折り畳んだコーナーもあった。
恐らくアロイスとクラウスは、そういう感覚には無縁の人だと思う。
逆に彼らに対して、「付き合うならこちらの感覚に合わせて」と言っても恐らく「無理、難しい」と言われるだろう。
(でも今は、たらればの話をしているんじゃなくて、実際私は佑さんと結婚しようとしている訳で……)
「……佑さんが望むなら、勉強します」
譲歩すると、双子の小馬鹿にしたような表情が少し和らぐ。
「まー、カスミにあれしろこれしろって強制はしないけどさ、その頑なな庶民感覚をちょっと改革した方が、今後タスクと価値観の違いでこじれなくていいんじゃない?」
窓の外には東京タワーが見え、あと数分で六本木の中心部に着こうとしていた。
(今までの生活では絶対に接点のできなかったお二人と、こうして話しているのも私の〝変化〟の一つなんだ。それを否定しちゃいけない)
確かに自分には頑固な面があると思っている。
「ありのままの自分を愛して」という言葉は、一見いい言葉に思えるかもしれない。
けれど自分に当てはめると、佑の好意にぶら下がって自分は何の努力もしませんと、宣言しているも同義だ。
佑が「香澄はそのままでいいよ」と言ってくれても、彼に一方的な苦労をさせるだけだ。
「すぐには変われません。……ですが、変わる努力はしたいです。手の届くところから少しずつ」
そう言うと、双子は顔を見合わせてから「OK」と了承してくれた。
六本木に降り立つと、すぐに双子は香澄を伴って商業ビルに入った。
一階にあるハイブランドの店構えの中に、AとCのロゴが組み合わさったアロクラの店舗がある。
前もって連絡していたのか、店の前には責任者らしき男性が立って双子を待っていた。
「ようこそいらっしゃいました」
著名人への対応にも慣れているはずの彼の表情に、隠しきれない緊張が宿っているのが分かる。
「あー、堅苦しいのいいから」
頭を下げた彼に向かってアロイスは軽く言って、店内に入っていく。
揃いの黒いスーツを身に纏ったセールスアソシエイトたちも、緊張した顔をしながらも品のいい笑みを浮かべている。
が、彼らの事はお構いなしに、アロイスは店内を見回す。
「僕、ちょっと店内チェックしてくるね」
一方でクラウスはトップに立つ者らしく、笑顔で恐ろしい事を言っている。
クラウスはすでに店内にいる顧客に対し、にこやかに応対しながらゆっくりと歩き始めた。
「な、何の用なんですか? お仕事……?」
CEPは自社ブランドとして慣れてきたとはいえ、他のハイブランドにはいまだ及び腰の香澄だ。
「え? 何の用って、その味気ない格好のまんまデートするつもり?」
アロイスにキョトン顔をされ、香澄は閉口する。
「……す、すみません……」
確かに会社で働いていた格好のままなので、勿論デート向きではない。
だが無理矢理仕事中に連れ去っておきながら、この言い草はない。
「可愛くしてあげるから、大人しくしといて」
「はぁ……」
そのあと、アロイスはとても自由に店内を歩き周り、香澄に似合いそうな服を見繕っていった。
今まで佑と一緒に何度も高級店に入った香澄は、こういう店では店側の案内を待ち、こちらから能動的に動くのはマナー違反に当たると知った。
しかし双子はどこまでも自由だ。
いわばCEPに対する佑の立場なので、好きにしても許されるだろうが、佑はまだ遠慮があるしスタッフたちに敬意があり大切にする雰囲気がある。
双子たちは雑に扱っているという訳ではないが、あまりに態度がカジュアル過ぎるので、一緒にいるこちらがヒヤッとしてしまう。
そうこうしている間に、アロイスは香澄の足のサイズなどを確認したあと、「これ着よっか」にっかり笑う。
――――――――――――――
血痰が出てヒヤヒヤしています。ただの風邪であってくれ……。
カスミは困り果て、溜め息をつく。
(何か……、話が通じない……)
元から独特な雰囲気の人達だなと思っていたが、ここまで価値観が違うとは思っていなかった。
今までの流れでは、あまりの自分の無能さに打ちひしがれ、何て酷い事を言う人なんだろうと、悲しみ、憤慨するシーンだっただろう。
だが「遊び暮らしたくないの?」と言われて、「え?」となったのだ。
「私は……、働きたいです。仕事が大好きっていう訳でもないですが、生きて生活している以上は、働くのが大人、社会人の常識かなと思っています」
「でもさ、FIREって知ってる?」
アロイスに尋ねられ、香澄はチラッとだけネットニュースで見た事のある単語を思い出す。
FIREとは、Financial Independence, Retire Early――経済的自立、アーリーリタイアの頭文字を取った言葉だ。
文字通り、人生の残りの時間を過ごすのに十分な貯えをし、定年を待たずに早期退職をして、残る人生を自由に過ごす事を指す。
アメリカ発祥の言葉らしく、最近では日本でも投資家の中で達成した者が話題となり、ネットニュースの人気コラムなどを書いている。
「それは……、できたら素敵ですし凄いなと思いますが、私には関係ありませんし。FIREを達成した人達は、その人なりの人生があるので、私がどうこう言うものでもありません」
アロイスは肩をすくめ、さらに尋ねてくる。
「『できたら素敵』って思う? じゃあ、もしできたらカスミはどうしたい?」
途方もない事を尋ねられ、香澄は「うーん……」と考える。
「ゆっくり旅行はしてみたいなと思いますが……。あまり遊んでいてもお金が減ってしまいそうなので、無駄遣いせず普通に暮らして、普通の幸せの中で生きていくと思います」
双子はまた、顔を見合わせて溜め息をつく。
「んまー、FIRE達成するぐらい資産築いたなら、年に十分な利益出し続けると思うけど」
ボソッとアロイスが言った言葉を、香澄はよく理解できないでいる。
反対側でクラウスが溜め息をつき、長い脚を組む。
「タスクならさ、あいつガンガン稼いでるし、個人で株もやっててFIREなんてとっくのとうに達成してる。僕たちもだけど、多分宇宙旅行とか気軽に行けるぐらいはあるよ」
「そんなに!?」
多すぎる金勘定については疎いため、香澄はよく分かっていないまま眉を寄せる。
「そういうのにラッキーにも選ばれたんだから、あくせく働かなくてもいーんじゃないの? って話をしてるワケ。カスミがテンプレートな日本人で勤勉、まじめなのは分かるけどさ、タスクはカスミにベタ惚れだし、『もう必死に働かなくてもいーや。将来安泰!』ってならないの?」
香澄は困って頭をポリポリと掻く。
「思うんですけど、これから佑さんと結婚したいと思っていますが、一人だけ働いて一人だけ楽をしてるなんて、不平等じゃないですか?」
「タスクが『全然いいよ』って言っても?」
確かに佑ならそう言いそうだが、香澄の中にあるプライド、矜持が許さない。
「うちの家訓は、『自分の事は自分で』なんです。加えて、社会人になってからは、『働かざる者食うべからず』とも思っています」
「わーお、ストイック」
揶揄するような声音で言われたが、事実なのでどうしようもない。
「佑さんに捨てられるとかは……、ちょっとしか心配していません。多分、ずっと好きでいてくれる……と思いますし」
そこは自分に対して絶対的な自信を持てないので、少し声が小さくなる。
「でも! いつ何時、何が起こるか分かりません。備えあれば憂いなし。自分で働いていたら、佑さんに何があってもやっていけると思うんです。だから、働くのは辞めません」
言い切った香澄は、どうだと言わんばかりにアロイスを見る。
だが双子はやはり顔を見合わせ、どこか白けている雰囲気だ。
「カスミ、投資とかしてる?」
「えっ? ……し、してません。ギャンブルはあまり……」
クラウスは目だけで天井を見る。
確か、外国人がそういうジェスチャーをする時は、あまりよくない反応だった気がする。
「自分の価値観大事にしたいのはいいけどさ、将来に備えたいと思うなら投資の知識も身につけたら? タスクと同じ視点で経済について話せないのは、結婚する上でちょっと、って思うけど」
「えっ……」
ギクリとして香澄は唇を噛む。
「投資するしないは経済的状況にもよるけどさ、日本から見た海外? では投資率高いよ? っていうか、僕たちからすれば、日本人の『コツコツ貯める』とか『会社の給料以外で儲けた金は正しい金じゃない』とか、そういう感覚の方が理解しがたいけど。なんか、多すぎる金に対してネガティブなイメージあるよね。清貧が美しいとか」
「う……」
世界レベルの話をされると、さすがにつらい。
香澄は自分がごく一般的な日本の庶民だという自覚があり、急に佑のようなワールドレベルの男性に、あらゆる感覚を合わせろと言われても、やや抵抗がある。
洗面所で歯磨き粉を歯ブラシから落とした時、思わず〝セーフ〟な部分だけをすくい取り、使ってしまう感覚は健在だ。
スーパーで買った麺だけを料理で使った時は、残ったスープは何かにリメイクできないか取っておくし、札幌で一人暮らしをしていた時は、輪ゴム入れやスーパーのビニールを三角に折り畳んだコーナーもあった。
恐らくアロイスとクラウスは、そういう感覚には無縁の人だと思う。
逆に彼らに対して、「付き合うならこちらの感覚に合わせて」と言っても恐らく「無理、難しい」と言われるだろう。
(でも今は、たらればの話をしているんじゃなくて、実際私は佑さんと結婚しようとしている訳で……)
「……佑さんが望むなら、勉強します」
譲歩すると、双子の小馬鹿にしたような表情が少し和らぐ。
「まー、カスミにあれしろこれしろって強制はしないけどさ、その頑なな庶民感覚をちょっと改革した方が、今後タスクと価値観の違いでこじれなくていいんじゃない?」
窓の外には東京タワーが見え、あと数分で六本木の中心部に着こうとしていた。
(今までの生活では絶対に接点のできなかったお二人と、こうして話しているのも私の〝変化〟の一つなんだ。それを否定しちゃいけない)
確かに自分には頑固な面があると思っている。
「ありのままの自分を愛して」という言葉は、一見いい言葉に思えるかもしれない。
けれど自分に当てはめると、佑の好意にぶら下がって自分は何の努力もしませんと、宣言しているも同義だ。
佑が「香澄はそのままでいいよ」と言ってくれても、彼に一方的な苦労をさせるだけだ。
「すぐには変われません。……ですが、変わる努力はしたいです。手の届くところから少しずつ」
そう言うと、双子は顔を見合わせてから「OK」と了承してくれた。
六本木に降り立つと、すぐに双子は香澄を伴って商業ビルに入った。
一階にあるハイブランドの店構えの中に、AとCのロゴが組み合わさったアロクラの店舗がある。
前もって連絡していたのか、店の前には責任者らしき男性が立って双子を待っていた。
「ようこそいらっしゃいました」
著名人への対応にも慣れているはずの彼の表情に、隠しきれない緊張が宿っているのが分かる。
「あー、堅苦しいのいいから」
頭を下げた彼に向かってアロイスは軽く言って、店内に入っていく。
揃いの黒いスーツを身に纏ったセールスアソシエイトたちも、緊張した顔をしながらも品のいい笑みを浮かべている。
が、彼らの事はお構いなしに、アロイスは店内を見回す。
「僕、ちょっと店内チェックしてくるね」
一方でクラウスはトップに立つ者らしく、笑顔で恐ろしい事を言っている。
クラウスはすでに店内にいる顧客に対し、にこやかに応対しながらゆっくりと歩き始めた。
「な、何の用なんですか? お仕事……?」
CEPは自社ブランドとして慣れてきたとはいえ、他のハイブランドにはいまだ及び腰の香澄だ。
「え? 何の用って、その味気ない格好のまんまデートするつもり?」
アロイスにキョトン顔をされ、香澄は閉口する。
「……す、すみません……」
確かに会社で働いていた格好のままなので、勿論デート向きではない。
だが無理矢理仕事中に連れ去っておきながら、この言い草はない。
「可愛くしてあげるから、大人しくしといて」
「はぁ……」
そのあと、アロイスはとても自由に店内を歩き周り、香澄に似合いそうな服を見繕っていった。
今まで佑と一緒に何度も高級店に入った香澄は、こういう店では店側の案内を待ち、こちらから能動的に動くのはマナー違反に当たると知った。
しかし双子はどこまでも自由だ。
いわばCEPに対する佑の立場なので、好きにしても許されるだろうが、佑はまだ遠慮があるしスタッフたちに敬意があり大切にする雰囲気がある。
双子たちは雑に扱っているという訳ではないが、あまりに態度がカジュアル過ぎるので、一緒にいるこちらがヒヤッとしてしまう。
そうこうしている間に、アロイスは香澄の足のサイズなどを確認したあと、「これ着よっか」にっかり笑う。
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血痰が出てヒヤヒヤしています。ただの風邪であってくれ……。
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