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手に入れた女神 編
今夜、俺はこいつを抱く
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落ち着いたあと、荒れ狂った気持ちを誤魔化すために酒を飲みに行く事にした。
タクシーに乗って向かったのは、神保町にあるバーだ。
ドアを開けるとカウンター席が並んでいる訳だが、その一番手前に朱里が突っ伏していて、俺は思わず固まった。
『…………おい』
小さく突っ込んだあと、はぁー……、と溜め息をついて彼女に近づいた。
普段は上司として接しているので、彼女がやらかしている姿を見ると、つい『面倒を見なくては』という気持ちになる。
『最悪じゃないです? 友達みんなから、どう思われてるか……』
朱里はカウンターに突っ伏しながら飲み、マスターに絡んでいる。
こいつは……。
しかもグダグダ言ってるのは、田村が相良と結婚するっていう話だろ。
――俺がいるのに、まだ田村にこだわってんのかよ。
理想と現実の落差にムッとした俺は、朱里の頭を背後からガシッと掴んだ。
『ふぇっ!?』
驚いた彼女は俺を見上げ、混乱した表情で固まっている。
『おい、いい加減にしろ。いい恥さらしだ』
俺は舌打ちして言うと、彼女が飲んだ分を清算し、水を飲ませてからタクシーに押し込んだ。
朱里はしばらくフニャフニャしていたが、酔いが覚めてきた頃にボソッと言う。
『……だって、女として見られないって言われたんです』
『誰に』
田村の事はこないだ聞いたが、初耳という体をとっておく。
〝速水部長〟ならそう答えるだろう。
そのあとしばらく、朱里は元彼とは体の相性が合わず、セックスを断っているうちに別れを切り出されてしまった事を話した。
現在、田村は相良加代と付き合っていて、来年結婚するそうだ。
まだあいつに未練のある朱里は、学生時代から付き合っていたものだから、学友に自分がどう言われるか気にしているらしい。
俺としては、その場にいないならノーダメージだと思うが、本人としては違うんだろう。
『今年はあいつ、私じゃない女とクリスマスを過ごすんですよ。九年も私と過ごしていたのに。誕生日も祝ってくれて、そのあとはすぐクリスマスで、思い出が一杯なのに……っ』
『セックスするの断ってフラれたのに、元彼が今の女とセックスするのが気にくわないのか。自分勝手すぎやしないか?』
こいつの泣き言を聞いていると、だんだん腹が立ってきた。
お前を十二年も想い続けた男が、ここにいるんだぞ?
確かに愛情はあっただろうが、お前たち二人は根本的に違うところを見て付き合っていたんだ。ハナからうまくいくはずがねぇんだよ。
――いいから俺を見ろ。
心の底にどす黒い感情が湧き起こり、渦巻いていく。
『……だって、一応私の彼氏でしたし』
悄然とした朱里を見ていると、どんどん嗜虐的な気持ちが高まっていった。
詳細を聞かなくても、田村のセックスが下手だったのは分かる。
――そんな下手くそに抱かせてたのかよ。もったいねーな。
――お前を悦ばせる事ができるのは、俺だけだ。
――もう、指一本たりとも、他の男にその体を抱かせるなよ。
彼女は可愛い。美人だ。
意志の強そうな眉に、猫のように少し釣った大きな目。透明感すら感じさせるその目に見つめられると、心の底のドロドロとした想いを見透かされそうな錯覚を抱く。
長い髪は腰近くまであり、丁寧にケアされていて潤いと艶がある。
しなやかな手脚は長く、重量感のある胸元は文句なしに魅力的だ。
魅惑的なのは胸だけじゃない。肉感的な尻はキュッと上がっていて、触りたくなる気持ちに駆られる。
ナチュラルカラーのネイルが施された指を見ると、『大人の女になったんだな』という気持ちにさせられた。
――もう、俺の女になっちまえよ。大切にするから。
朱里と会話をしながら、俺は心の中でゆっくりと理性を引き剥がしていった。
――もう駄目だ。
――今夜、俺はこいつを抱く。
タクシーに乗って向かったのは、神保町にあるバーだ。
ドアを開けるとカウンター席が並んでいる訳だが、その一番手前に朱里が突っ伏していて、俺は思わず固まった。
『…………おい』
小さく突っ込んだあと、はぁー……、と溜め息をついて彼女に近づいた。
普段は上司として接しているので、彼女がやらかしている姿を見ると、つい『面倒を見なくては』という気持ちになる。
『最悪じゃないです? 友達みんなから、どう思われてるか……』
朱里はカウンターに突っ伏しながら飲み、マスターに絡んでいる。
こいつは……。
しかもグダグダ言ってるのは、田村が相良と結婚するっていう話だろ。
――俺がいるのに、まだ田村にこだわってんのかよ。
理想と現実の落差にムッとした俺は、朱里の頭を背後からガシッと掴んだ。
『ふぇっ!?』
驚いた彼女は俺を見上げ、混乱した表情で固まっている。
『おい、いい加減にしろ。いい恥さらしだ』
俺は舌打ちして言うと、彼女が飲んだ分を清算し、水を飲ませてからタクシーに押し込んだ。
朱里はしばらくフニャフニャしていたが、酔いが覚めてきた頃にボソッと言う。
『……だって、女として見られないって言われたんです』
『誰に』
田村の事はこないだ聞いたが、初耳という体をとっておく。
〝速水部長〟ならそう答えるだろう。
そのあとしばらく、朱里は元彼とは体の相性が合わず、セックスを断っているうちに別れを切り出されてしまった事を話した。
現在、田村は相良加代と付き合っていて、来年結婚するそうだ。
まだあいつに未練のある朱里は、学生時代から付き合っていたものだから、学友に自分がどう言われるか気にしているらしい。
俺としては、その場にいないならノーダメージだと思うが、本人としては違うんだろう。
『今年はあいつ、私じゃない女とクリスマスを過ごすんですよ。九年も私と過ごしていたのに。誕生日も祝ってくれて、そのあとはすぐクリスマスで、思い出が一杯なのに……っ』
『セックスするの断ってフラれたのに、元彼が今の女とセックスするのが気にくわないのか。自分勝手すぎやしないか?』
こいつの泣き言を聞いていると、だんだん腹が立ってきた。
お前を十二年も想い続けた男が、ここにいるんだぞ?
確かに愛情はあっただろうが、お前たち二人は根本的に違うところを見て付き合っていたんだ。ハナからうまくいくはずがねぇんだよ。
――いいから俺を見ろ。
心の底にどす黒い感情が湧き起こり、渦巻いていく。
『……だって、一応私の彼氏でしたし』
悄然とした朱里を見ていると、どんどん嗜虐的な気持ちが高まっていった。
詳細を聞かなくても、田村のセックスが下手だったのは分かる。
――そんな下手くそに抱かせてたのかよ。もったいねーな。
――お前を悦ばせる事ができるのは、俺だけだ。
――もう、指一本たりとも、他の男にその体を抱かせるなよ。
彼女は可愛い。美人だ。
意志の強そうな眉に、猫のように少し釣った大きな目。透明感すら感じさせるその目に見つめられると、心の底のドロドロとした想いを見透かされそうな錯覚を抱く。
長い髪は腰近くまであり、丁寧にケアされていて潤いと艶がある。
しなやかな手脚は長く、重量感のある胸元は文句なしに魅力的だ。
魅惑的なのは胸だけじゃない。肉感的な尻はキュッと上がっていて、触りたくなる気持ちに駆られる。
ナチュラルカラーのネイルが施された指を見ると、『大人の女になったんだな』という気持ちにさせられた。
――もう、俺の女になっちまえよ。大切にするから。
朱里と会話をしながら、俺は心の中でゆっくりと理性を引き剥がしていった。
――もう駄目だ。
――今夜、俺はこいつを抱く。
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