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クリスマスデート 編
思い出、作りませんか?
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そうやって、しばらくイチャイチャしていたけれど、チェックアウトの時間が近づいてきた。
服を着て帰り支度をすると、一晩お世話になったゴージャスな部屋に別れを告げる。
私たちはフロアコンシェルジュに挨拶をして、エレベーターに乗った。
「また来ような。他のホテルでもいいし、ここを贔屓にしてもいいし」
エレベーターの中、尊さんが私の手を握って言う。
「はい。今度はこんなに立派な部屋じゃなくてもいいですよ」
そう言うと、彼は繋いでいた手を放し、両手を壁について私をその中に閉じ込めてきた。
「躾その二は?」
言われて、私はゾクゾクしながら答えてしまった。
「『遠慮しない』」
「Exactly.忘れんな」
彼はそう言ったあと、チュッと私の額にキスをしてまた手を握ってきた。
ロビーまで行くと、二人きりの時間が終わり、色んな人がいる場所に戻った自覚を得る。
半分安心し、半分寂しく思っている私に、彼は「あそこで座って待ってな」とソファを示した。
ソファに向かって歩き始めると、彼はフロントへ行った。
(忘れられないクリスマスになったな……)
私はロビーのソファに座り、金色のシャンデリアに照らされた空間と、大きなクリスマスツリーを見る。
(ツリーの前で記念写真撮りたいって言ったら、嫌がるかな。言うだけ言ってみよう)
そんな事を考えていると、コンシェルジュが歩み寄ってきた。
(忘れ物でもしたかな?)
目を瞬かせると、彼は私の側にしゃがみ、手に持っていた紙袋を渡してきた。
「こちら、当ホテルのマカロンとショコラでございます。お土産にどうぞ」
「わ……、わぁ! ありがとうございます!」
サプライズに、一気にテンションが上がった。
泊まった部屋にはウェルカムスイーツが用意されてあって、摘まむ程度の量だったけれど、めちゃくちゃ美味しくて感動した。
(『また食べたいな』って未練がましく言ってたから、もしかしたら尊さんが手配してくれたのかな。……もぉぉ……。痒いところに手が届く男……)
こうなったら、特別な時にセーラーを着る事も考えなければならない。
「ありがとうございます」
もう一度コンシェルジュにお礼を言うと、彼は折り目正しくお辞儀をして立ち去っていった。
そのタイミングで、尊さんがこちらに歩み寄ってくる。
「あの、これありがとうございます!」
立ちあがって紙袋を示すと、彼は小さく笑った。
「さぁ? ホテルの厚意かも」
「かもしれませんね。誰かさんが伝えたから、気を利かせてくれたのかもしれませんね」
ご機嫌になった私は、そう言って尊さんと腕を組む。
「ねぇ、せっかくだからツリーの前で記念撮影したいです。思い出、作りませんか?」
彼にとって、クリスマスが楽しいものでないのは分かっている。
お母さんと過ごすはずだったと、数え切れないぐらい涙を流したかもしれない。
でもそれなら、私が新しく楽しい思い出を作ってあげたい。
家族になるなら、そうしていきたい。
そう思いながら見つめると、尊さんはフハッと笑って私の頭をクシャクシャ撫でた。
「そんな思い詰めた顔すんなよ。嫌なんて言ってねぇだろ」
「やった!」
快諾され、私は彼と一緒に大きなクリスマスツリーの側に寄った。
「すみません、写真お願いできますか?」
尊さんが近くにいたホテルスタッフに声を掛け、「勿論です」と返事をもらう。
「それでは写しますよ。三、二、一……」
私たちはクリスマスツリーの前で寄り添い、笑顔を作る。
彼の人生が彩りに溢れていきますように。
悲しい思いはすぐには消えないだろうけど、私が少しでも尊さんに幸せと笑顔をあげられますように。
願いながら、私は尊さんに肩を抱かれ、笑顔でピースをした。
駅に向かって歩いていると、尊さんが尋ねてきた。
「お前、年末年始の予定は?」
「え? ……一応、毎年実家に戻ってますが……」
尋ねられて、「もしかして……」と期待している自分がいた。
「うち来て一緒に過ごすか? そっちの家族の了承があったならだけど」
「行きます! 親に聞く年齢じゃないので大丈夫です! 三田ですよね?」
「え?」
尊さんのマンションがある場所を言うと、彼は目を丸くした。
服を着て帰り支度をすると、一晩お世話になったゴージャスな部屋に別れを告げる。
私たちはフロアコンシェルジュに挨拶をして、エレベーターに乗った。
「また来ような。他のホテルでもいいし、ここを贔屓にしてもいいし」
エレベーターの中、尊さんが私の手を握って言う。
「はい。今度はこんなに立派な部屋じゃなくてもいいですよ」
そう言うと、彼は繋いでいた手を放し、両手を壁について私をその中に閉じ込めてきた。
「躾その二は?」
言われて、私はゾクゾクしながら答えてしまった。
「『遠慮しない』」
「Exactly.忘れんな」
彼はそう言ったあと、チュッと私の額にキスをしてまた手を握ってきた。
ロビーまで行くと、二人きりの時間が終わり、色んな人がいる場所に戻った自覚を得る。
半分安心し、半分寂しく思っている私に、彼は「あそこで座って待ってな」とソファを示した。
ソファに向かって歩き始めると、彼はフロントへ行った。
(忘れられないクリスマスになったな……)
私はロビーのソファに座り、金色のシャンデリアに照らされた空間と、大きなクリスマスツリーを見る。
(ツリーの前で記念写真撮りたいって言ったら、嫌がるかな。言うだけ言ってみよう)
そんな事を考えていると、コンシェルジュが歩み寄ってきた。
(忘れ物でもしたかな?)
目を瞬かせると、彼は私の側にしゃがみ、手に持っていた紙袋を渡してきた。
「こちら、当ホテルのマカロンとショコラでございます。お土産にどうぞ」
「わ……、わぁ! ありがとうございます!」
サプライズに、一気にテンションが上がった。
泊まった部屋にはウェルカムスイーツが用意されてあって、摘まむ程度の量だったけれど、めちゃくちゃ美味しくて感動した。
(『また食べたいな』って未練がましく言ってたから、もしかしたら尊さんが手配してくれたのかな。……もぉぉ……。痒いところに手が届く男……)
こうなったら、特別な時にセーラーを着る事も考えなければならない。
「ありがとうございます」
もう一度コンシェルジュにお礼を言うと、彼は折り目正しくお辞儀をして立ち去っていった。
そのタイミングで、尊さんがこちらに歩み寄ってくる。
「あの、これありがとうございます!」
立ちあがって紙袋を示すと、彼は小さく笑った。
「さぁ? ホテルの厚意かも」
「かもしれませんね。誰かさんが伝えたから、気を利かせてくれたのかもしれませんね」
ご機嫌になった私は、そう言って尊さんと腕を組む。
「ねぇ、せっかくだからツリーの前で記念撮影したいです。思い出、作りませんか?」
彼にとって、クリスマスが楽しいものでないのは分かっている。
お母さんと過ごすはずだったと、数え切れないぐらい涙を流したかもしれない。
でもそれなら、私が新しく楽しい思い出を作ってあげたい。
家族になるなら、そうしていきたい。
そう思いながら見つめると、尊さんはフハッと笑って私の頭をクシャクシャ撫でた。
「そんな思い詰めた顔すんなよ。嫌なんて言ってねぇだろ」
「やった!」
快諾され、私は彼と一緒に大きなクリスマスツリーの側に寄った。
「すみません、写真お願いできますか?」
尊さんが近くにいたホテルスタッフに声を掛け、「勿論です」と返事をもらう。
「それでは写しますよ。三、二、一……」
私たちはクリスマスツリーの前で寄り添い、笑顔を作る。
彼の人生が彩りに溢れていきますように。
悲しい思いはすぐには消えないだろうけど、私が少しでも尊さんに幸せと笑顔をあげられますように。
願いながら、私は尊さんに肩を抱かれ、笑顔でピースをした。
駅に向かって歩いていると、尊さんが尋ねてきた。
「お前、年末年始の予定は?」
「え? ……一応、毎年実家に戻ってますが……」
尋ねられて、「もしかして……」と期待している自分がいた。
「うち来て一緒に過ごすか? そっちの家族の了承があったならだけど」
「行きます! 親に聞く年齢じゃないので大丈夫です! 三田ですよね?」
「え?」
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