35 / 525
初デート 編
これからの予定
しおりを挟む
ある時期、同僚の美人な女の子が尊さんにアプローチしていた。
私はそれを『ふーん』と思って見守っていただけだけど、彼女の事を気に掛けていた後輩くんが、いつだったか『部長なんておっさんじゃないですか』と言っていたのだ。
……まさか、あれを聞いていたなんて言わないよね?
プルプルと震える私を見て、尊さんはニヤリと笑う。
「……まー、壁に耳あり障子に目ありだな。ちょっとやそっとじゃ怒らねぇけど」
そう言って、彼は羽布団をたぐり寄せて体に掛けた。
「……なんかすみません。途中だったのに……」
「いいよ。今日しかチャンスがない訳じゃないから」
彼はそう言ってくれるものの、一度おっきしてしまったモノ……、大丈夫なんだろうか?
「……あ、あの……。手か口で……しましょうか?」
「いいって」
彼が遠慮するほど、罪悪感がこみ上げる。
「あの、エッチはあまり慣れてないけど、手とか口でするのはそれなりに慣れ……ふがっ」
途中まで言った時、また尊さんが私の鼻をつまんできた。
「……おい。まさか田村クンを喜ばせたテクで、俺を達かせようと思ってるか?」
「えっ……」
テクなんて、そんな立派なもん持ってない。
……いや、じゃなくて。
「フェラしてくれるならしてほしい。でもその時は、俺がじっくり教え込む。……だから朱里からはするな」
一言一言、しっかり言い含めるように言われ、私はジワッと頬を染めて頷いた。
「……もしかして、妬いてます?」
小さな声で尋ねると、尊さんは私を睨んでから噛み付くようなキスをしてきた。
「んっ……、ん、ぅ、ぅ……」
口内を肉厚な舌でねっとりと掻き回され、私は無意識に彼の背中に手を回す。
――この人のキス、好きだな。
私は全身で尊さんのぬくもりを感じ、うっとりと目を閉じる。
「はぁ……」
唇の間で銀糸が引き、私たちは吐息を漏らす。
「……体、冷えてないか?」
尊さんが私の肩に触れ、尋ねてくる。
確かにお風呂に入って盛り上がったあと、ろくに髪も乾かさずにベッドにきてしまった。
「……ドライヤーは掛けたいかも」
「じゃあ、風呂に入り直すか」
尊さんは立ちあがって全裸のままバスルームに向かい、私はバスローブを羽織って彼を追った。
「これからどうするつもりですか?」
再びジェットバスに浸かった私は、後ろから尊さんに抱き締められ、温まる。
お酒を飲んだのと、深夜になってきたのもあって、かなり眠たくなってきた。
「ん? あー……。まぁ、十二月内には怜香さんにお前の事を紹介する」
「……私はもう覚悟を決めましたけど、……大丈夫ですか? 社長夫人、怒り狂いそう」
彼の継母が、かなり面倒な人なのは今までの話を聞いて分かった。
尊さんを信じて愛してみようと決めたのは私だけれど、社長夫人の不興を買って、会社を辞めさせられたり、悪い噂を流されるのは避けたい。
「んー、まぁ、怒るだろうけど、俺もあの人の弱みを握ってるから」
「…………さすが……」
この男がただ反抗する訳じゃないと思っていたけど、まさか社長夫人の弱点をすでに掴んでいたとは……。
「どんな……?」
「んー、またあとでな。先に手駒を全部披露したらつまんないだろ。敵を騙すには味方から」
そう言って、尊さんは私の頬にキスをした。
私はお湯の中で膝を抱え、あぶくで形を歪めた自分の脚を見る。
腹部には尊さんの腕が回っていて、私の脚の外側には彼の脚がある。
見た目はスラッとしているのに、こうやって隣り合うと男の人の筋肉質な脚だと思って意識してしまう。
……彼とこういう関係になる前に、私は一度尊さんの脚を見た事があった。
――あの時は……。
「……ねぇ、尊さん」
「ん?」
彼は私の顎をクイと上げ、喉を撫でる。
(……あの時の事、覚えていますか?)
私は心の中で尋ねる。
私はそれを『ふーん』と思って見守っていただけだけど、彼女の事を気に掛けていた後輩くんが、いつだったか『部長なんておっさんじゃないですか』と言っていたのだ。
……まさか、あれを聞いていたなんて言わないよね?
プルプルと震える私を見て、尊さんはニヤリと笑う。
「……まー、壁に耳あり障子に目ありだな。ちょっとやそっとじゃ怒らねぇけど」
そう言って、彼は羽布団をたぐり寄せて体に掛けた。
「……なんかすみません。途中だったのに……」
「いいよ。今日しかチャンスがない訳じゃないから」
彼はそう言ってくれるものの、一度おっきしてしまったモノ……、大丈夫なんだろうか?
「……あ、あの……。手か口で……しましょうか?」
「いいって」
彼が遠慮するほど、罪悪感がこみ上げる。
「あの、エッチはあまり慣れてないけど、手とか口でするのはそれなりに慣れ……ふがっ」
途中まで言った時、また尊さんが私の鼻をつまんできた。
「……おい。まさか田村クンを喜ばせたテクで、俺を達かせようと思ってるか?」
「えっ……」
テクなんて、そんな立派なもん持ってない。
……いや、じゃなくて。
「フェラしてくれるならしてほしい。でもその時は、俺がじっくり教え込む。……だから朱里からはするな」
一言一言、しっかり言い含めるように言われ、私はジワッと頬を染めて頷いた。
「……もしかして、妬いてます?」
小さな声で尋ねると、尊さんは私を睨んでから噛み付くようなキスをしてきた。
「んっ……、ん、ぅ、ぅ……」
口内を肉厚な舌でねっとりと掻き回され、私は無意識に彼の背中に手を回す。
――この人のキス、好きだな。
私は全身で尊さんのぬくもりを感じ、うっとりと目を閉じる。
「はぁ……」
唇の間で銀糸が引き、私たちは吐息を漏らす。
「……体、冷えてないか?」
尊さんが私の肩に触れ、尋ねてくる。
確かにお風呂に入って盛り上がったあと、ろくに髪も乾かさずにベッドにきてしまった。
「……ドライヤーは掛けたいかも」
「じゃあ、風呂に入り直すか」
尊さんは立ちあがって全裸のままバスルームに向かい、私はバスローブを羽織って彼を追った。
「これからどうするつもりですか?」
再びジェットバスに浸かった私は、後ろから尊さんに抱き締められ、温まる。
お酒を飲んだのと、深夜になってきたのもあって、かなり眠たくなってきた。
「ん? あー……。まぁ、十二月内には怜香さんにお前の事を紹介する」
「……私はもう覚悟を決めましたけど、……大丈夫ですか? 社長夫人、怒り狂いそう」
彼の継母が、かなり面倒な人なのは今までの話を聞いて分かった。
尊さんを信じて愛してみようと決めたのは私だけれど、社長夫人の不興を買って、会社を辞めさせられたり、悪い噂を流されるのは避けたい。
「んー、まぁ、怒るだろうけど、俺もあの人の弱みを握ってるから」
「…………さすが……」
この男がただ反抗する訳じゃないと思っていたけど、まさか社長夫人の弱点をすでに掴んでいたとは……。
「どんな……?」
「んー、またあとでな。先に手駒を全部披露したらつまんないだろ。敵を騙すには味方から」
そう言って、尊さんは私の頬にキスをした。
私はお湯の中で膝を抱え、あぶくで形を歪めた自分の脚を見る。
腹部には尊さんの腕が回っていて、私の脚の外側には彼の脚がある。
見た目はスラッとしているのに、こうやって隣り合うと男の人の筋肉質な脚だと思って意識してしまう。
……彼とこういう関係になる前に、私は一度尊さんの脚を見た事があった。
――あの時は……。
「……ねぇ、尊さん」
「ん?」
彼は私の顎をクイと上げ、喉を撫でる。
(……あの時の事、覚えていますか?)
私は心の中で尋ねる。
103
お気に入りに追加
1,346
あなたにおすすめの小説
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

次期社長と訳アリ偽装恋愛
松本ユミ
恋愛
過去の恋愛から恋をすることに憶病になっていた河野梨音は、会社の次期社長である立花翔真が女性の告白を断っている場面に遭遇。
なりゆきで彼を助けることになり、お礼として食事に誘われた。
その時、お互いの恋愛について話しているうちに、梨音はトラウマになっている過去の出来事を翔真に打ち明けた。
話を聞いた翔真から恋のリハビリとして偽装恋愛を提案してきて、悩んだ末に受け入れた梨音。
偽恋人として一緒に過ごすうちに翔真の優しさに触れ、梨音の心にある想いが芽吹く。
だけど二人の関係は偽装恋愛でーーー。
*他サイト様でも公開中ですが、こちらは加筆修正版です。
性描写も予告なしに入りますので、苦手な人はご注意してください。

ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる