28 / 34
一難去って
しおりを挟む
先に彩乃を家まで送ってからうちに着き、七海は家族に「お土産」と言って札幌駅構内で売っている饅頭の袋を渡していた。
「お母さん聞いてー、今日拓也が隠れたヒーローみたいなことしたんだよ」
「えぇ?」
いきなり七海は台所に立ってる母さんにストレートな送球をし、母さんも突然の事だから面食らった顔をしている。だけど、七海がついさっきあった出来事を話すと、「ふぅん……」と言いながら俺を見てくる。
「また九十九神の女の子の力を借りたの?」
「うん、そうなんだけど……。信じてくれてるの?」
「当たり前でしょ。お婆ちゃんだってご近所さんのお手伝いしてたの知ってるし、血縁の拓也がそういう不思議を受け継いでも変じゃないってこないだ言ったばかりでしょ。まぁ、霊感みたいなものと同じだって母さんは思ってるけどね。それにハヤテの時にあんたが頑張ってくれてたのも、目の前で見て分かってるつもりだよ」
「うん……、うん」
今まで俺以外に誰も家族で彼女たちを見えている人はいないから、家族のことを信じつつもどこか不安があった。
きっと世の中の霊感があるっていう人もそうなんだろうな。話をして信じる人もいれば、信じない人もいる。自分では当たり前に見えているものが他人には見えていないもんだから、信じられなくても仕方ないなって思うだろうし。
「拓也、ただそういうのは三神の家族以外には言わねぇ方がいいのかもな」
新聞を開いていた爺ちゃんが言い、その隣では婆ちゃんがお茶を飲んでいる。
「拓也ぐらいの歳だと、不思議なことがあると周りに自慢してぇもんだが、人ってもんは自分の見えねぇもんには疑ってかかる。最近は科学とかが進んでるから尚更な。母さんみたいにお祓いみたいなのができたとしても、もしもマスコミの餌食になるようなことがあっちゃいけねぇ。秘密を守れる親友に話すぐらいならいいかもしんねぇが、そこは気をつけておけよ。あと、あまり大勢に話すことは、その九十九神のお嬢さんたちに失礼かもしんねぇ」
「うん、その通りだね。分かったよ爺ちゃん」
家族に話した時に槐たちが何も言わなかったのは、もしかしたら自分たちに俺が口外することを禁じる権利がないと思っていたからかもしれない。
でも、俺はたとえ人じゃないとしても、人格のある存在には人権があると思っている。だから、あまり彼女たちの存在を軽々しく扱ってはいけない。改めてそう思ったんだ。
「拓也、今度そのお嬢さんたちの似顔絵でも描いてちょうだい」
最近目に見えて元気のなかった婆ちゃんが笑ってそう言い、俺は何だか嬉しくなって頷いたのだった。
**
七海と一緒にひい婆ちゃんの部屋に行き、ニポポ人形と京人形とを示すと、七海が思わず「わっ」と悲鳴を上げる。
「ガチで汚れてるわぁ。こっちの人形の方は、悪いけど髪とかボサボサで呪いの人形みたい」
「まぁそう見えるよね。さっき彼女たちが力を貸してくれたから、穢れを引き受けてこうなったんだ」
そう言って俺はまたひい婆ちゃんの道具箱から道具を取り出し、乾いた布でニポポ人形を優しく拭いてゆく。
「そう言えばひいお婆ちゃん、暇さえあったらこの部屋で人形とかのメンテしてたもんね」
部屋中にある人形たちや民芸品、工芸品。それらを見回しても、薄汚れている物は何一つない。それがひい婆ちゃんと彼女たちの絆のように思えた。
「姉ちゃん、足は大丈夫なの?」
「うん、平気。外傷は擦り傷だけだから。ありがとね」
ケロッとした返事をする七海は、化粧を落として普段着に着替え、畳の上に胡坐をかいている。
「拓也も大変なことになったね」
「そうかな。まぁ、大変っちゃ大変だけど、個性のある彼女たちと話すのは楽しいし、せめて家族内でもこうやって理解があると変人扱いされなくて済むから楽だよ」
「うん、それもなんだけどさ。あんたこれから受験とかもあるんでしょ? それでなくてもテストとかあるのにさ。同時にこういうことをプライベートで抱えると、大変なんじゃない? って」
「あぁ、それはなぁ……。自分でも思ってたけど、ギン……日本刀の九十九神に言われたんだよ。まずは本業に集中しろって。ひい婆ちゃんも若い時から彼女たちと付き合ってたみたいだけど、バタバタしてた若い時代はやっぱり実生活を優先してたんだって。最近みたいに人助けみたいなのをじっくり腰を据えてやりだしたのは、子供の事とかが全部落ち着いた年齢になってからだって聞いたよ」
「ふぅん……、ひいお婆ちゃんの娘時代って想像できないなぁ」
七海がそう言ってゴロリと寝転がり、俺も何となくセーラー服に三つ編みの少女をイメージしてみたが、ひい婆ちゃんの娘時代の顔なんて知らない。
「ひい婆ちゃん、随分な美人だったらしいし、東京の家は資産家だったから凄いお嬢様だったんだろうね」
「そーだね。まぁ、うちは北海道の農家だけどね」
そう言って七海はアハハと笑い、俺は綺麗になったニポポ人形を棚に戻し、今度は藤紫の手入れに取りかかる。
「拓也、ありがとな」
ふと槐の声がして振り向くと、そこにはいつも通りの綺麗な姿の槐が正座していた。
「槐もお疲れ様。ありがとう」
「えっ? そこにいるの? エンジュ?」
俺の声に七海がガバッと起き上がり、キョロキョロと部屋の中を見回す。
「槐って、俺がさっき手入れをしてたニポポの九十九神だよ。そこに正座してる」
さすがに指差したら失礼だと思って、バスガイドさんみたいな手付きで槐の方を示す。
七海は身を乗り出してしばらくその空間を見つめていたが、やがて「駄目だわ~」と言いながら体を戻す。
「ホントに拓也のは特別な力なんだね。私なんも見えないわぁ。私もひいお婆ちゃんのひ孫なら、見えたらいいのになー」
「素質はあるぞ」
細い筆で藤紫の顔や着物を丁寧に払ってゆくと、槐が七海を見てそう言う。
「姉ちゃん、槐が見えるようになる素質はあるって」
「へぇぇ~」
興味を示したように七海は槐のいる方を見て、見えないながらも「槐ちゃーん」と手を振ってみせる。
「拓也は絹への想いが人一倍強かったから、一番に槐のことが見えるようになったのかもな」
手を振っている七海の目の前に槐は正座し直し、じっと七海を見る。
「七海は絹への気持ちがねぇって訳じゃねぇんだが、拓也はこの家の一番末っ子だから、皆から可愛がられたろ。だからその分、いなくなっちまった絹の代わりに『なんかできねぇかなぁ』って思ってた気持ちが強かったんだろ」
「ふぅん……」
確かに、ひい婆ちゃんがこの世に遺した何かで、俺は何か成し遂げたいと思っていたのかもしれない。けど、その気持ちの正体はどうにもならないほどの、ひい婆ちゃんへの甘えた気持ちだ。それは恥ずかしくて誰にも言えない。
「拓也……、あんたそう言えば、子供の頃からひいお婆ちゃんとこの部屋で、こけしとか日本人形とか、怖がらないで一緒に遊んでたもんね」
また畳の上に寝転がって七海が言い、俺は昔を思い出す。
ひい婆ちゃんが「これは○○ちゃんて言うんだよ」と教えてくれて、小さい俺はいつの間にかその名前を憶えていた。まさかその名前が九十九神としての名前だとは、小さな俺は思いもしなかっただろう。
「私、小さい頃から何となくこの部屋避けてたんだよね。こけしとか人形とか、可愛いなとは素直に思えなくて。ホラ、どっちかっていうとミカちゃん人形とかああいう方が好きだったから」
「あぁ……、ミカな」
ボソッと槐が言い、俺はミカちゃん人形の九十九神がいるだろうことを察した。
「よし、藤紫終わったよ」
「おおきに」
目の細かい櫛で髪を整え終えると、フワッとほのかないい香りと共に彼女の声がした。
「拓也はん、堪忍なぁ。もうちょっと早よ姿現したかったんやけど、乱れたまま拓也はんの前に現れたないのや」
「いいよ、藤紫は女の人だから、身だしなみとか人一倍気を遣ってるのは分かってるつもりだし」
優しい声で姿の見えない女性と会話をする俺を、七海は間抜けな顔で見てから、「ふぅーん」とやけに間延びした声を出す。
「あんた女の子相手にそういう優しい態度も取れるんだね。なんか感心した」
「なんだよ、やめろよ」
七海に言われるとなんだか照れ臭く、俺は逃げるようにギンの手入れをするために立ち上がる。
「ちょっとひい爺ちゃんに声かけてくるよ。さすがに刀の手入れ勝手にやったら怒られそうだし」
「じゃあ、私さきに和室行ってるわ」
部屋を出た所で七海は奥へ行き、俺は居間に向かう。
「ひい爺ちゃん、ギンがまた汚れてると思うから、刀の手入れしたいんだ」
「あぁ、じゃあ付き合うか」
「拓也あんた刀の手入れなんて大丈夫なの?」
聞こえていたのか母さんが眉を寄せ、それにひい爺ちゃんが答える。
「なんもなんも、拓也は上手いもんだぞ」
「そうなの? お爺ちゃん。……じゃあ母さんも見学してみようかな」
「おっ、じゃあ俺も行くかな」
「俺も」
「それじゃ、私も行こうかね。全員分のお茶用意しようか」
「ちょっと~」
何の流れなのか家族全員が俺がギンを手入れするシーンを見にくると言い出し、困った俺は額をかく。
そのまま母さんと婆ちゃんがお盆にお茶やらお茶菓子を乗せて、全員でゾロゾロ和室に向かうのだった。
「お母さん聞いてー、今日拓也が隠れたヒーローみたいなことしたんだよ」
「えぇ?」
いきなり七海は台所に立ってる母さんにストレートな送球をし、母さんも突然の事だから面食らった顔をしている。だけど、七海がついさっきあった出来事を話すと、「ふぅん……」と言いながら俺を見てくる。
「また九十九神の女の子の力を借りたの?」
「うん、そうなんだけど……。信じてくれてるの?」
「当たり前でしょ。お婆ちゃんだってご近所さんのお手伝いしてたの知ってるし、血縁の拓也がそういう不思議を受け継いでも変じゃないってこないだ言ったばかりでしょ。まぁ、霊感みたいなものと同じだって母さんは思ってるけどね。それにハヤテの時にあんたが頑張ってくれてたのも、目の前で見て分かってるつもりだよ」
「うん……、うん」
今まで俺以外に誰も家族で彼女たちを見えている人はいないから、家族のことを信じつつもどこか不安があった。
きっと世の中の霊感があるっていう人もそうなんだろうな。話をして信じる人もいれば、信じない人もいる。自分では当たり前に見えているものが他人には見えていないもんだから、信じられなくても仕方ないなって思うだろうし。
「拓也、ただそういうのは三神の家族以外には言わねぇ方がいいのかもな」
新聞を開いていた爺ちゃんが言い、その隣では婆ちゃんがお茶を飲んでいる。
「拓也ぐらいの歳だと、不思議なことがあると周りに自慢してぇもんだが、人ってもんは自分の見えねぇもんには疑ってかかる。最近は科学とかが進んでるから尚更な。母さんみたいにお祓いみたいなのができたとしても、もしもマスコミの餌食になるようなことがあっちゃいけねぇ。秘密を守れる親友に話すぐらいならいいかもしんねぇが、そこは気をつけておけよ。あと、あまり大勢に話すことは、その九十九神のお嬢さんたちに失礼かもしんねぇ」
「うん、その通りだね。分かったよ爺ちゃん」
家族に話した時に槐たちが何も言わなかったのは、もしかしたら自分たちに俺が口外することを禁じる権利がないと思っていたからかもしれない。
でも、俺はたとえ人じゃないとしても、人格のある存在には人権があると思っている。だから、あまり彼女たちの存在を軽々しく扱ってはいけない。改めてそう思ったんだ。
「拓也、今度そのお嬢さんたちの似顔絵でも描いてちょうだい」
最近目に見えて元気のなかった婆ちゃんが笑ってそう言い、俺は何だか嬉しくなって頷いたのだった。
**
七海と一緒にひい婆ちゃんの部屋に行き、ニポポ人形と京人形とを示すと、七海が思わず「わっ」と悲鳴を上げる。
「ガチで汚れてるわぁ。こっちの人形の方は、悪いけど髪とかボサボサで呪いの人形みたい」
「まぁそう見えるよね。さっき彼女たちが力を貸してくれたから、穢れを引き受けてこうなったんだ」
そう言って俺はまたひい婆ちゃんの道具箱から道具を取り出し、乾いた布でニポポ人形を優しく拭いてゆく。
「そう言えばひいお婆ちゃん、暇さえあったらこの部屋で人形とかのメンテしてたもんね」
部屋中にある人形たちや民芸品、工芸品。それらを見回しても、薄汚れている物は何一つない。それがひい婆ちゃんと彼女たちの絆のように思えた。
「姉ちゃん、足は大丈夫なの?」
「うん、平気。外傷は擦り傷だけだから。ありがとね」
ケロッとした返事をする七海は、化粧を落として普段着に着替え、畳の上に胡坐をかいている。
「拓也も大変なことになったね」
「そうかな。まぁ、大変っちゃ大変だけど、個性のある彼女たちと話すのは楽しいし、せめて家族内でもこうやって理解があると変人扱いされなくて済むから楽だよ」
「うん、それもなんだけどさ。あんたこれから受験とかもあるんでしょ? それでなくてもテストとかあるのにさ。同時にこういうことをプライベートで抱えると、大変なんじゃない? って」
「あぁ、それはなぁ……。自分でも思ってたけど、ギン……日本刀の九十九神に言われたんだよ。まずは本業に集中しろって。ひい婆ちゃんも若い時から彼女たちと付き合ってたみたいだけど、バタバタしてた若い時代はやっぱり実生活を優先してたんだって。最近みたいに人助けみたいなのをじっくり腰を据えてやりだしたのは、子供の事とかが全部落ち着いた年齢になってからだって聞いたよ」
「ふぅん……、ひいお婆ちゃんの娘時代って想像できないなぁ」
七海がそう言ってゴロリと寝転がり、俺も何となくセーラー服に三つ編みの少女をイメージしてみたが、ひい婆ちゃんの娘時代の顔なんて知らない。
「ひい婆ちゃん、随分な美人だったらしいし、東京の家は資産家だったから凄いお嬢様だったんだろうね」
「そーだね。まぁ、うちは北海道の農家だけどね」
そう言って七海はアハハと笑い、俺は綺麗になったニポポ人形を棚に戻し、今度は藤紫の手入れに取りかかる。
「拓也、ありがとな」
ふと槐の声がして振り向くと、そこにはいつも通りの綺麗な姿の槐が正座していた。
「槐もお疲れ様。ありがとう」
「えっ? そこにいるの? エンジュ?」
俺の声に七海がガバッと起き上がり、キョロキョロと部屋の中を見回す。
「槐って、俺がさっき手入れをしてたニポポの九十九神だよ。そこに正座してる」
さすがに指差したら失礼だと思って、バスガイドさんみたいな手付きで槐の方を示す。
七海は身を乗り出してしばらくその空間を見つめていたが、やがて「駄目だわ~」と言いながら体を戻す。
「ホントに拓也のは特別な力なんだね。私なんも見えないわぁ。私もひいお婆ちゃんのひ孫なら、見えたらいいのになー」
「素質はあるぞ」
細い筆で藤紫の顔や着物を丁寧に払ってゆくと、槐が七海を見てそう言う。
「姉ちゃん、槐が見えるようになる素質はあるって」
「へぇぇ~」
興味を示したように七海は槐のいる方を見て、見えないながらも「槐ちゃーん」と手を振ってみせる。
「拓也は絹への想いが人一倍強かったから、一番に槐のことが見えるようになったのかもな」
手を振っている七海の目の前に槐は正座し直し、じっと七海を見る。
「七海は絹への気持ちがねぇって訳じゃねぇんだが、拓也はこの家の一番末っ子だから、皆から可愛がられたろ。だからその分、いなくなっちまった絹の代わりに『なんかできねぇかなぁ』って思ってた気持ちが強かったんだろ」
「ふぅん……」
確かに、ひい婆ちゃんがこの世に遺した何かで、俺は何か成し遂げたいと思っていたのかもしれない。けど、その気持ちの正体はどうにもならないほどの、ひい婆ちゃんへの甘えた気持ちだ。それは恥ずかしくて誰にも言えない。
「拓也……、あんたそう言えば、子供の頃からひいお婆ちゃんとこの部屋で、こけしとか日本人形とか、怖がらないで一緒に遊んでたもんね」
また畳の上に寝転がって七海が言い、俺は昔を思い出す。
ひい婆ちゃんが「これは○○ちゃんて言うんだよ」と教えてくれて、小さい俺はいつの間にかその名前を憶えていた。まさかその名前が九十九神としての名前だとは、小さな俺は思いもしなかっただろう。
「私、小さい頃から何となくこの部屋避けてたんだよね。こけしとか人形とか、可愛いなとは素直に思えなくて。ホラ、どっちかっていうとミカちゃん人形とかああいう方が好きだったから」
「あぁ……、ミカな」
ボソッと槐が言い、俺はミカちゃん人形の九十九神がいるだろうことを察した。
「よし、藤紫終わったよ」
「おおきに」
目の細かい櫛で髪を整え終えると、フワッとほのかないい香りと共に彼女の声がした。
「拓也はん、堪忍なぁ。もうちょっと早よ姿現したかったんやけど、乱れたまま拓也はんの前に現れたないのや」
「いいよ、藤紫は女の人だから、身だしなみとか人一倍気を遣ってるのは分かってるつもりだし」
優しい声で姿の見えない女性と会話をする俺を、七海は間抜けな顔で見てから、「ふぅーん」とやけに間延びした声を出す。
「あんた女の子相手にそういう優しい態度も取れるんだね。なんか感心した」
「なんだよ、やめろよ」
七海に言われるとなんだか照れ臭く、俺は逃げるようにギンの手入れをするために立ち上がる。
「ちょっとひい爺ちゃんに声かけてくるよ。さすがに刀の手入れ勝手にやったら怒られそうだし」
「じゃあ、私さきに和室行ってるわ」
部屋を出た所で七海は奥へ行き、俺は居間に向かう。
「ひい爺ちゃん、ギンがまた汚れてると思うから、刀の手入れしたいんだ」
「あぁ、じゃあ付き合うか」
「拓也あんた刀の手入れなんて大丈夫なの?」
聞こえていたのか母さんが眉を寄せ、それにひい爺ちゃんが答える。
「なんもなんも、拓也は上手いもんだぞ」
「そうなの? お爺ちゃん。……じゃあ母さんも見学してみようかな」
「おっ、じゃあ俺も行くかな」
「俺も」
「それじゃ、私も行こうかね。全員分のお茶用意しようか」
「ちょっと~」
何の流れなのか家族全員が俺がギンを手入れするシーンを見にくると言い出し、困った俺は額をかく。
そのまま母さんと婆ちゃんがお盆にお茶やらお茶菓子を乗せて、全員でゾロゾロ和室に向かうのだった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
あやかし第三治療院はじめました。
にのまえ
キャラ文芸
狼環(オオカミ タマキ)はあやかしの病魔を絵でみつける、病魔絵師を目指す高校生。
故郷を出て隣県で、相方の見習い、あやかし治療師で、同じ歳の大神シンヤと共に
あやかし第三治療院はじめました!!
少しクセのある、あやかしを治療します。
喫茶店オルクスには鬼が潜む
奏多
キャラ文芸
美月が通うようになった喫茶店は、本一冊読み切るまで長居しても怒られない場所。
そこに通うようになったのは、片思いの末にどうしても避けたい人がいるからで……。
そんな折、不可思議なことが起こり始めた美月は、店員の青年に助けられたことで、その秘密を知って行って……。
なろうでも連載、カクヨムでも先行連載。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
普通の女子高生だと思っていたら、魔王の孫娘でした
桜井吏南
ファンタジー
え、冴えないお父さんが異世界の英雄だったの?
私、村瀬 星歌。娘思いで優しいお父さんと二人暮らし。
お父さんのことがが大好きだけどファザコンだと思われたくないから、ほどよい距離を保っている元気いっぱいのどこにでもいるごく普通の高校一年生。
仲良しの双子の幼馴染みに育ての親でもある担任教師。平凡でも楽しい毎日が当たり前のように続くとばかり思っていたのに、ある日蛙男に襲われてしまい危機一髪の所で頼りないお父さんに助けられる。
そして明かされたお父さんの秘密。
え、お父さんが異世界を救った英雄で、今は亡きお母さんが魔王の娘なの?
だから魔王の孫娘である私を魔王復活の器にするため、異世界から魔族が私の命を狙いにやって来た。
私のヒーローは傷だらけのお父さんともう一人の英雄でチートの担任。
心の支えになってくれたのは幼馴染みの双子だった。
そして私の秘められし力とは?
始まりの章は、現代ファンタジー
聖女となって冤罪をはらしますは、異世界ファンタジー
完結まで毎日更新中。
表紙はきりりん様にスキマで取引させてもらいました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
笛智荘の仲間たち
ジャン・幸田
キャラ文芸
田舎から都会に出てきた美優が不動産屋に紹介されてやってきたのは、通称「日本の九竜城」と呼ばれる怪しい雰囲気が漂うアパート笛智荘(ふえちそう)だった。そんな変なアパートに住む住民もまた不思議な人たちばかりだった。おかしな住民による非日常的な日常が今始まる!
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
母になる、その途中で
ゆう
恋愛
『母になる、その途中で』
大学卒業を控えた21歳の如月あゆみは、かつての恩師・星宮すばると再会する。すばるがシングルファーザーで、二人の子ども(れん・りお)を育てていることを知ったあゆみは、家族としての役割に戸惑いながらも、次第に彼らとの絆を深めていく。しかし、子どもを愛せるのか、母親としての自分を受け入れられるのか、悩む日々が続く。
完璧な母親像に縛られることなく、ありのままの自分で家族と向き合うあゆみの成長と葛藤を描いた物語。家庭の温かさや絆、自己成長の大切さを通じて、家族の意味を見つけていく彼女の姿に共感すること間違いなしです。
不安と迷いを抱えながらも、自分を信じて前に進むあゆみの姿が描かれた、感動的で温かいストーリー。あなたもきっと、あゆみの成長に胸を打たれることでしょう。
【この物語の魅力】
成長する主人公が描く心温まる家族の物語
母親としての葛藤と自己矛盾を描いたリアルな感情
家族としての絆を深めながら進んでいく愛と挑戦
心温まるストーリーをぜひお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる