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番外編 2 タワマン事件簿

いつの間にスイッチ入っちゃったの? ☆

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「あーあ、食べてすぐ寝たら牛になるんだー」

 正樹がまた小学生みたいないじりをしてくる。コノヤロウ。

「待てよ? 牛柄ビキニ着てると思ったらよくね?」

 慎也がさも名案を思いついたような顔で言う。

「それだ!」

「何が『それだ』だ!」

「閃いた!」という顔をする正樹に、私は思いっきり突っ込んだ。

「だって優美ちゃんって牛っぽくない? おっぱいがでか……、うぐっ」

 横になったまま、私は正樹の太腿をゲシッと蹴る。

「次はキンタマ蹴ってやろうか?」

 私は鼻の頭に皺を寄せて、犬がうなっているような顔をする。

「ん?」

 けど、蹴った足を両手で持たれ、私は目を瞬かせる。

 正樹は私を見て目を細めると、フットカバーを取って素足を撫でてきた。
 そしてツツ……と、足首から脛、膝へと指先で辿ってくる。

「ちょ……っ」

 目を丸くして彼を制そうとしたけれど、正樹は私を見て微笑み、「しぃ」と静かにするよう窘めただけだった。

 ――始まっちゃうの? 今?

 ドキドキしていると、頭側に座っていた慎也が、パフンと手で私の胸を包んできた。

 慌ててダイニングのほうを気にしたけれど、片付けをしたホテルスタッフさんは、すでに退室したようだった。

「慎也……」

 心許なげに彼に声を掛けると、慎也は微笑んで私の髪を撫でてきた。
 正樹の手はスカートの中に入っていて、私の太腿を這い上がっている。

「ん……っ」

 ゾクッとした私は、思わず膝を擦り合わせて身じろぎする。

 待って、これって、どっちにも逃げ場がない。

 今になって慌てて起き上がろうとすると、後ろから慎也に抱き締められてしまった。

 私は今日、チャコールグレーのタイトワンピースを着ていた。

 オフショルダーで、胸元の襟と肘までの袖は白くなっている、バイカラーデザインだ。
 スカート丈は長めで、後ろにスリットが入っている。

 生地は柔らかめだから、正樹の手はスルリと入り込み、そのままスカートをたくし上げていた。

「ちょ……っ、ちょっと、待って……。ご、ご飯食べたあとだし」

「特に構わないよ。いつもそうだっただろ」

 耳元で慎也の声がし、私はビクッと肩を跳ねさせる。

「そうだよ。汗掻いたまま、ドロドロのセックスした事だってあるし」

 正樹の声が思っていたより近くから聞こえて、慌てて前を向くと、彼は私の脚を開いてその間に座り、妖艶に笑っていた。

 スカートは脚の付け根ぐらいまでたくし上げられて、太腿が丸見えだ。

「優美ちゃん、今日黒い下着なの? やらし~」

 正樹の揶揄するような声を聞き、お腹の奥がジィン……と疼く。

 ――待って。いつの間にスイッチ入っちゃったの? 私、まだそんなつもりじゃなかったのに……。

 焦っている間に、慎也は背中のファスナーを下げて、私の胸元を曝けだしていた。
 ストラップレスブラも外され、服の上にたゆっと乳房がはみでる。

 でも袖から腕を抜いていないので、私は身動きが取れない状態にあった。

 まるでソフトSMのように拘束された気持ちになり、羞恥がどんどん高まっていく。

「優美ちゃん、なにその困った顔。襲われてるみたいで怖い? 大丈夫。いつもの君の夫だよ」

 正樹に笑われて、私はカーッと赤面した。

 どんな顔してたんだろ……。

「ちょっとずつ、感覚を思いだしていこうな」

 慎也は私の耳元で言い、指先でくるくると乳輪をなぞってきた。

「…………っ、ひ、…………うっ」

 私は大きく息を吸い、ぶるっと体を震わせる。

 その指が時々乳首にかすって、至急に甘ったるい心地よさを伝えてきた。

 私はとっさに、慎也の両手首を掴む。

 彼に意識を持っていかれた時、正樹が私の片脚を掴んでソファの背もたれにかけた。

「えっ……」

 驚いてそちらを見た時、悠然と笑った正樹が私を見つめたまま、クロッチに指を押し当ててきた。

「んっ、…………う」

 触れられただけで濡らしているのが分かり、加えて正樹の指が肉芽にかすって、私は体を震わせた。
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