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同窓会 編
同窓会のため、埼玉へ
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青春の一ページみたいな綺麗な告白だったし、彼の事は二人に知らせずいい思い出にしたい。
変な迫られ方をされたなら、二人に妬く権利はあるけど、あんな純粋な子の告白に変な対抗意識を持たれたくない。
というか私にとって、とても嬉しい告白だった。
今まで「遊んでそうな派手な女」と思われても、人として尊敬されて告白されるなんてなかった。
だから後輩くんの告白は、私の胸にほっこりとした温かな光を宿していた。
なので奴らがへたな嫉妬をするなら、尻にタイキックも辞さない。
そう思いながら、私は最寄り駅に向かって歩いていった。
**
そしてシルバーウィークになり、私は意気揚々として埼玉に戻った。
勿論、慎也と正樹には同窓会がある事や、ちょっと実家でのんびりする予定だと伝えてある。
結婚式前だし、二人は快く送りだしてくれた。
交通機関を使って地元まで戻ったあと、実家でお祖母ちゃんがふかした芋を囓りながらゴロゴロする。
九月下旬にもなると暑さも和らいできていたので、ジョガーパンツやシューズを持ってきてのトレーニングも欠かしていない。
そんな私を見て、お祖母ちゃんは「すっかり変わったねぇ」と笑っていた。
私が太ってしまってあれこれ悩んでいた時は、自分が食べさせすぎてしまったからだと、お祖母ちゃんはかなり自分を責めていたようだ。
けれど食べたのは私の意思だ。
好意で美味しいご飯を作ってくれたお祖母ちゃんを、責める気持ちなんてさらっさらない。
だから今は気兼ねなくご飯を作り、食べられる環境になれてとても嬉しい。
両親や弟ともいつものようにポンポンと言い合い、笑い合って過ごす。
相変わらず家族は私が久賀城家の御曹司と結婚する事について、まだ不安が残っているようだった。
それも、家族だから心配してくれているのだと思い、私は「大丈夫だって」と笑って彼らを安心させた。
**
同窓会当日、私は黒いノースリーブのレーストップスに、アイボリーのタイトスカート、ジージャンにパンプスという格好で出かけた。
昼間は友達と会って、カフェで思いっきりおしゃべりした。
彼女たちは私の姿を見て、ダイエットが大成功したあと、きちんとキープしているのを褒めてくれた。
それでいて、来月の結婚式も楽しみにしていると言ってくれるので、本当に嬉しいし友達のありがたみを感じた。
私も彼女たちの恋バナや、家庭の話を聞き、相槌を打ったり感想を言ったりする。
本当に楽だと思うのは、私と彼女たちは「こんな事を言ったら傷つけるかな?」とか不安にならなくても大丈夫な関係だという事だ。
ちょっと何か引っ掛かる発言をしてしまったのなら、遠慮せず「それって~じゃない?」と言ってくれる。
それに対して感情的にならず、全員で思った事を言い合い、きちんとした形でディスカッションしていけるのが、とても健康的でありがたいと思った。
夜になると、大宮駅北改札を抜けて少し歩いた場所にある、イタリアンバルに入った。
店内はウッド調のテーブルと床に、ブラウンの椅子やソファ。そして天井は配管剥き出しになっている、ナチュラルな内装だ。
高校三年生の時のクラスメイトほぼそのままが来店したので、店はほぼ貸し切り状態だった。
私たちは仲良し同士で固まって座ろうとする。
その時に「折原、久しぶり」と声を掛けられた。
「あーっと、……あー!」
目の前に立っていたのは、細身のスーツを着た元クラスメイトの石田裕吾だ。
身長は百八十センチメートルぐらいで、属性でいえば塩顔だけどイケメンの部類。
高校生時代はサッカー部で、それほどキャーキャーは言われなかったけど、知る人ぞ知る良さがある、みたいな感じだった。
――それでもって、私の初体験の相手だ。
「相変わらず綺麗だな」
「あはは、ありがと。裕吾も男っぷり上がったんじゃない?」
お互い軽く褒め合い、ポンポンと肩を叩く。
変な迫られ方をされたなら、二人に妬く権利はあるけど、あんな純粋な子の告白に変な対抗意識を持たれたくない。
というか私にとって、とても嬉しい告白だった。
今まで「遊んでそうな派手な女」と思われても、人として尊敬されて告白されるなんてなかった。
だから後輩くんの告白は、私の胸にほっこりとした温かな光を宿していた。
なので奴らがへたな嫉妬をするなら、尻にタイキックも辞さない。
そう思いながら、私は最寄り駅に向かって歩いていった。
**
そしてシルバーウィークになり、私は意気揚々として埼玉に戻った。
勿論、慎也と正樹には同窓会がある事や、ちょっと実家でのんびりする予定だと伝えてある。
結婚式前だし、二人は快く送りだしてくれた。
交通機関を使って地元まで戻ったあと、実家でお祖母ちゃんがふかした芋を囓りながらゴロゴロする。
九月下旬にもなると暑さも和らいできていたので、ジョガーパンツやシューズを持ってきてのトレーニングも欠かしていない。
そんな私を見て、お祖母ちゃんは「すっかり変わったねぇ」と笑っていた。
私が太ってしまってあれこれ悩んでいた時は、自分が食べさせすぎてしまったからだと、お祖母ちゃんはかなり自分を責めていたようだ。
けれど食べたのは私の意思だ。
好意で美味しいご飯を作ってくれたお祖母ちゃんを、責める気持ちなんてさらっさらない。
だから今は気兼ねなくご飯を作り、食べられる環境になれてとても嬉しい。
両親や弟ともいつものようにポンポンと言い合い、笑い合って過ごす。
相変わらず家族は私が久賀城家の御曹司と結婚する事について、まだ不安が残っているようだった。
それも、家族だから心配してくれているのだと思い、私は「大丈夫だって」と笑って彼らを安心させた。
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同窓会当日、私は黒いノースリーブのレーストップスに、アイボリーのタイトスカート、ジージャンにパンプスという格好で出かけた。
昼間は友達と会って、カフェで思いっきりおしゃべりした。
彼女たちは私の姿を見て、ダイエットが大成功したあと、きちんとキープしているのを褒めてくれた。
それでいて、来月の結婚式も楽しみにしていると言ってくれるので、本当に嬉しいし友達のありがたみを感じた。
私も彼女たちの恋バナや、家庭の話を聞き、相槌を打ったり感想を言ったりする。
本当に楽だと思うのは、私と彼女たちは「こんな事を言ったら傷つけるかな?」とか不安にならなくても大丈夫な関係だという事だ。
ちょっと何か引っ掛かる発言をしてしまったのなら、遠慮せず「それって~じゃない?」と言ってくれる。
それに対して感情的にならず、全員で思った事を言い合い、きちんとした形でディスカッションしていけるのが、とても健康的でありがたいと思った。
夜になると、大宮駅北改札を抜けて少し歩いた場所にある、イタリアンバルに入った。
店内はウッド調のテーブルと床に、ブラウンの椅子やソファ。そして天井は配管剥き出しになっている、ナチュラルな内装だ。
高校三年生の時のクラスメイトほぼそのままが来店したので、店はほぼ貸し切り状態だった。
私たちは仲良し同士で固まって座ろうとする。
その時に「折原、久しぶり」と声を掛けられた。
「あーっと、……あー!」
目の前に立っていたのは、細身のスーツを着た元クラスメイトの石田裕吾だ。
身長は百八十センチメートルぐらいで、属性でいえば塩顔だけどイケメンの部類。
高校生時代はサッカー部で、それほどキャーキャーは言われなかったけど、知る人ぞ知る良さがある、みたいな感じだった。
――それでもって、私の初体験の相手だ。
「相変わらず綺麗だな」
「あはは、ありがと。裕吾も男っぷり上がったんじゃない?」
お互い軽く褒め合い、ポンポンと肩を叩く。
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