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シャーロット来日 編
船上BBQ
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キッチンではすでにコックさんが下準備を始めていて、リビングのテーブルにはもうすでに前菜が用意されていた。
なんかもう、リビングは笑っちゃうほど広くて、今の人数は余裕で受け入れられる広さがある。
ビルさんのもだけど、釣り目的じゃなくて、ベッドとかもあり住居にもなるのをサロンクルーザーというらしい。
BBQコンロは不安定な状態だと危険なので、クルーザーをある程度進めて沖合でアンカーを下ろしたところで、準備を始めるらしい。
「じゃあ、お願いしまーす!」
正樹が階段の上にいる誰かに呼びかける。
思わず階段を上がると、運転席に運転手さんがいた。
「ほぉー……」
感心していると、後ろに正樹がヌッと立った。
「実は運転席にいなくても、リモコンで動かせるんだよ」
「マジ!? リモコン!?」
クルーザーはゆっくり発進し、港を抜けようとしている。
「これね」
正樹が見せてくれたのは、ラジコンのリモコンみたいなやつだ。
「こんなオモチャっぽいので、このどでかい船動かせるの?」
「うん、むしろこっちのが簡単だよ? 今みたいに桟橋につけるじゃん。そういう時って、キワの所に立ってリモコンでちょいちょい操作した方が、綺麗につけられんの」
「そうなんだ! あー、確かに運転席に座った状態で、でっかい船のはしっこ気にするより、そっちのがラクそうだね」
船なんて普段関わりがないから、知らない事が沢山だ。
「ね、探検していい?」
「いいけど、下駄だと階段危ないよ? 階段が急だから」
「そっかそっか。いや、下駄脱いで上り下りするから大丈夫」
そのあと、正樹と一緒にあちこち探検したけれど、やっぱり船底にはベッドルームやゲストルームがあり、ホテルみたいになっていた。
「すっごぉ……」
「いやー、もっと海外の富豪が持ってる二十億とかするクルーザーだと、もっと設備がエグいよ? 本当にホテルだもん。で、甲板にジャグジーとかあるの」
「すっご! 海見ながらお風呂!? で、お酒とか飲むの!? セレブ~!」
「まぁ、富豪用のサロンクルーザーは、所有者はほとんど運転しないけどね。プライベートジェットとかと同じで、運転もサービスとかもやってもらう感じ」
「凄いなぁ、もう……」
ここまで来ると、羨ましいなんて感情はなくて、ただ驚きと、ちょっとの呆れが混じる。
ぼんやりしていると、正樹が後ろからフワッと抱き締めてきた。
「浴衣、可愛いね?」
「わ、ど、どうも」
不意を突かれたので、ちょっと照れてしまう。
「…………正樹も、格好いいけど……」
上目遣いに背の高い彼を見ると、正樹はにっこり笑った。
それで自然に顔を傾けてキスをしてこようとするので、掌でグイッと彼の顎を押し上げた。
「うぐっ」
「今日はそういうのナシ!」
「ちぇー。……っていうか、掌底でやる事ないじゃん」
「あはは! とっさに出た!」
笑いながら皆がいる所に戻り、日本の印象やフェスの事、浴衣の感想やらをワイワイ話す。
そうしているうちに、クルーザーはどんどん沖へ進んでいった。
やがて邪魔の入らない場所でアンカーが下ろされ、BBQパーティーが始まった。
BBQって言ったら自分たちでお肉をひっくり返すイメージが強いので、何だか人様にやってもらうのが申し訳ない。
けれどそんな事考えるのは私ぐらいで、皆目の前の事を楽しんでいるs。
文香から浴衣がどれだけいい物か説明された上で、「汚さないでね!」と言われているので、パリピの彼らもへたな事はしないだろう。
そもそも、日本大好きで敬意を持っているから、和の象徴である着物や浴衣もきっと大切にしてくれると思っている。
次々に運ばれてくるお肉や野菜を食べ、お酒を飲んでおしゃべりに花を咲かせる。
お肉は二人が用意しただけあって、サシの多いランクの高い物から、食べやすい赤身、牛、豚、鶏、色んな肉の色んな部位が用意されてあった。
ついついお肉ばっかりになりがちだけど、プロが用意するからか、野菜も食べやすいカットで、素材もいいもんだからどんどん進む。
ソーセージに焼きそば、ワイン、シャンパン、ビール。カクテルまで作ってくれる。
たっぷり飲んで笑って、としているうちに、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。
お酒が入って眠たくなった私は、船底に向かってベッドで少し横になる事にした。
途中で誰かが隣に寝転んできたけれど、体に回ってきた腕の感触や匂いにとても馴染みがあるから、何も抵抗せずそのままグースカ眠ってしまった。
**
なんかもう、リビングは笑っちゃうほど広くて、今の人数は余裕で受け入れられる広さがある。
ビルさんのもだけど、釣り目的じゃなくて、ベッドとかもあり住居にもなるのをサロンクルーザーというらしい。
BBQコンロは不安定な状態だと危険なので、クルーザーをある程度進めて沖合でアンカーを下ろしたところで、準備を始めるらしい。
「じゃあ、お願いしまーす!」
正樹が階段の上にいる誰かに呼びかける。
思わず階段を上がると、運転席に運転手さんがいた。
「ほぉー……」
感心していると、後ろに正樹がヌッと立った。
「実は運転席にいなくても、リモコンで動かせるんだよ」
「マジ!? リモコン!?」
クルーザーはゆっくり発進し、港を抜けようとしている。
「これね」
正樹が見せてくれたのは、ラジコンのリモコンみたいなやつだ。
「こんなオモチャっぽいので、このどでかい船動かせるの?」
「うん、むしろこっちのが簡単だよ? 今みたいに桟橋につけるじゃん。そういう時って、キワの所に立ってリモコンでちょいちょい操作した方が、綺麗につけられんの」
「そうなんだ! あー、確かに運転席に座った状態で、でっかい船のはしっこ気にするより、そっちのがラクそうだね」
船なんて普段関わりがないから、知らない事が沢山だ。
「ね、探検していい?」
「いいけど、下駄だと階段危ないよ? 階段が急だから」
「そっかそっか。いや、下駄脱いで上り下りするから大丈夫」
そのあと、正樹と一緒にあちこち探検したけれど、やっぱり船底にはベッドルームやゲストルームがあり、ホテルみたいになっていた。
「すっごぉ……」
「いやー、もっと海外の富豪が持ってる二十億とかするクルーザーだと、もっと設備がエグいよ? 本当にホテルだもん。で、甲板にジャグジーとかあるの」
「すっご! 海見ながらお風呂!? で、お酒とか飲むの!? セレブ~!」
「まぁ、富豪用のサロンクルーザーは、所有者はほとんど運転しないけどね。プライベートジェットとかと同じで、運転もサービスとかもやってもらう感じ」
「凄いなぁ、もう……」
ここまで来ると、羨ましいなんて感情はなくて、ただ驚きと、ちょっとの呆れが混じる。
ぼんやりしていると、正樹が後ろからフワッと抱き締めてきた。
「浴衣、可愛いね?」
「わ、ど、どうも」
不意を突かれたので、ちょっと照れてしまう。
「…………正樹も、格好いいけど……」
上目遣いに背の高い彼を見ると、正樹はにっこり笑った。
それで自然に顔を傾けてキスをしてこようとするので、掌でグイッと彼の顎を押し上げた。
「うぐっ」
「今日はそういうのナシ!」
「ちぇー。……っていうか、掌底でやる事ないじゃん」
「あはは! とっさに出た!」
笑いながら皆がいる所に戻り、日本の印象やフェスの事、浴衣の感想やらをワイワイ話す。
そうしているうちに、クルーザーはどんどん沖へ進んでいった。
やがて邪魔の入らない場所でアンカーが下ろされ、BBQパーティーが始まった。
BBQって言ったら自分たちでお肉をひっくり返すイメージが強いので、何だか人様にやってもらうのが申し訳ない。
けれどそんな事考えるのは私ぐらいで、皆目の前の事を楽しんでいるs。
文香から浴衣がどれだけいい物か説明された上で、「汚さないでね!」と言われているので、パリピの彼らもへたな事はしないだろう。
そもそも、日本大好きで敬意を持っているから、和の象徴である着物や浴衣もきっと大切にしてくれると思っている。
次々に運ばれてくるお肉や野菜を食べ、お酒を飲んでおしゃべりに花を咲かせる。
お肉は二人が用意しただけあって、サシの多いランクの高い物から、食べやすい赤身、牛、豚、鶏、色んな肉の色んな部位が用意されてあった。
ついついお肉ばっかりになりがちだけど、プロが用意するからか、野菜も食べやすいカットで、素材もいいもんだからどんどん進む。
ソーセージに焼きそば、ワイン、シャンパン、ビール。カクテルまで作ってくれる。
たっぷり飲んで笑って、としているうちに、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。
お酒が入って眠たくなった私は、船底に向かってベッドで少し横になる事にした。
途中で誰かが隣に寝転んできたけれど、体に回ってきた腕の感触や匂いにとても馴染みがあるから、何も抵抗せずそのままグースカ眠ってしまった。
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