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イギリス 編
他の人が気になって仕方ない気持ち
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「確かに、こっちに来てから女性の露出が高いよね。脚を出して、Tシャツの襟ぐりも開いていて、胸の谷間見えてるのが当たり前だもんね。年齢関係なく堂々と好きな格好をしてる印象。日本のおばさま達が見たら、ちょっと驚くかも」
またはとてもフィットしたスキニーとかを穿いている。
「文香が言ってたけど、日本人は体型に自信がない人が多いのと、昔から隠すことが美徳みたいに思ってるらしい。ミニスカートが流行った時期もあったけど、ロングスカートとかパンツスタイルはずっと主流だよね。海外のビーチでワンピースタイプの水着を着ていると、子供だって思われるとか、感覚の差があるよね」
ずっと前に聞いた事を話すと、二人が頷く。
「俺たちも日本人の感覚で海外に出ると、戸惑う事があるかな。日本は日本の当たり前があって、海外は海外の当たり前がある。それぞれの常識は違うのに、いま俺は優美が無防備に脚を出しているのを見て、魅力的すぎて不安になってしまった。ごめん。逆にセクハラだな」
慎也が溜め息をついて謝ってくるので、私は慌てて否定する。
「そんな事ないよ! 心配してくれてありがとう!」
水を飲んだあと、私は何気なく脚を組んで笑う。
「暑かったら脚を出したいとか、そういうのもっとナチュラルにやれるようになれたらいいよね。私、昔は脚が太いのを気にして、ミニスカートとか憧れても穿けなかった。こっちの人って体型を気にせず、自分の好きな格好をしてるじゃない? そういうの、ストレスフリーでいいなぁって思うよ」
「だなー。俺も優美には、好きな格好をしていてほしい」
「僕も」
そういう意味で、海外に移住した人が「楽だ」と言っているのが分かった気がした。
「っていうか、これからお茶するのに脚出してたらまずい?」
「いや、いーんじゃない? さっきシャーロットだって膝上のスカートだったし」
「そう?」
確かに、シャーロットさんはタンクトップにタイト気味の膝上スカート姿だった。
エディさんやクリスさんも、Tシャツにジーンズ。
ビルさんはポロシャツにスラックスで、ご夫妻も大体似たような感じだった。
「今は夏だし、招待されて彼らの自宅……別荘だけど、に遊びに来たんだから、いちいち正式な格好をしなくていいと思う。畏まってディナーしたい時は、向こうから一言言うはずだよ」
「そっか」
慎也に言われ、私は安堵する。
「慎也たちもそのままの格好?」
慎也は青いTシャツに黒いテーパードパンツで、正樹は白Tにジーンズだ。
「そうだよ。だってさ、旅行先の友達宅に泊まるとして、お邪魔した時の普段着は失礼に当たらないのに、食事やお茶の時だけ改めて着替える?」
「なるほど。着替えないな」
正樹のたとえを聞いて、私はストンと納得した。
そのあと少し沈黙が落ち、私はボソリと呟く。
「……綺麗な人だね」
シャーロットさんの事を言うと、慎也が溜め息をついて私を抱きしめてきた。
「正樹。お前のせいだぞ。優美を不安にさせんなよ」
「ごめんって」
正樹が私の背中をポンポンと叩き、反省した様子で謝罪してくる。
「いや、正樹が彼女をなんとも思ってないのは分かってるから。私の問題」
言いながらも、金髪碧眼の美女を前に、私はコンプレックスを刺激されていた。
今の私の外見は恐らく、「強気でヘルシーな色気のある女性」と思われている……と思っている。
それでも心の奥底には〝昔〟の自分がいる。
いまだ憧れの二人の手を取れたのが夢みたいに思える。
だから私よりずっと素敵な女性が現れたら、二人がそっちに心移りしてしまってもおかしくないと弱気になってしまう。
「勿論、二人の私への気持ちは信じてる。正樹は過去にあった事実を言っただけだし。まぁ、〝今の女〟である私にわざわざ言うなよ、は思ったけど。……けど、聞いた上でシャーロットさんにお会いすると『美人だなぁ……』と女として羨んでしまう訳で」
素直に言うと、慎也は私の頭を撫でてくる。
「嫉妬しなくても、優美は十分可愛いし美人だよ」
彼は私の顔を覗き込み、チュッとキスをしてくる。
「ありがと」
私は思わず笑ったあと、溜め息をつく。
そんな私を見て、正樹は苦笑いする。
「他の人が気になって仕方ない気持ち、面倒だよね。僕も、ずっと自分の事を『出来損ない』って思ってたから、きちんとやれてる友達が羨ましくて堪らなかったよ」
一見嫉妬しなさそうな彼の本音を知って、少し驚く。
すると慎也が挙手して言った。
「俺も正直、E&Eフーズにいた時、好きな女に営業で全勝できなくて、ちょっと情けなかった」
私は思わず「あはは!」と笑った。
またはとてもフィットしたスキニーとかを穿いている。
「文香が言ってたけど、日本人は体型に自信がない人が多いのと、昔から隠すことが美徳みたいに思ってるらしい。ミニスカートが流行った時期もあったけど、ロングスカートとかパンツスタイルはずっと主流だよね。海外のビーチでワンピースタイプの水着を着ていると、子供だって思われるとか、感覚の差があるよね」
ずっと前に聞いた事を話すと、二人が頷く。
「俺たちも日本人の感覚で海外に出ると、戸惑う事があるかな。日本は日本の当たり前があって、海外は海外の当たり前がある。それぞれの常識は違うのに、いま俺は優美が無防備に脚を出しているのを見て、魅力的すぎて不安になってしまった。ごめん。逆にセクハラだな」
慎也が溜め息をついて謝ってくるので、私は慌てて否定する。
「そんな事ないよ! 心配してくれてありがとう!」
水を飲んだあと、私は何気なく脚を組んで笑う。
「暑かったら脚を出したいとか、そういうのもっとナチュラルにやれるようになれたらいいよね。私、昔は脚が太いのを気にして、ミニスカートとか憧れても穿けなかった。こっちの人って体型を気にせず、自分の好きな格好をしてるじゃない? そういうの、ストレスフリーでいいなぁって思うよ」
「だなー。俺も優美には、好きな格好をしていてほしい」
「僕も」
そういう意味で、海外に移住した人が「楽だ」と言っているのが分かった気がした。
「っていうか、これからお茶するのに脚出してたらまずい?」
「いや、いーんじゃない? さっきシャーロットだって膝上のスカートだったし」
「そう?」
確かに、シャーロットさんはタンクトップにタイト気味の膝上スカート姿だった。
エディさんやクリスさんも、Tシャツにジーンズ。
ビルさんはポロシャツにスラックスで、ご夫妻も大体似たような感じだった。
「今は夏だし、招待されて彼らの自宅……別荘だけど、に遊びに来たんだから、いちいち正式な格好をしなくていいと思う。畏まってディナーしたい時は、向こうから一言言うはずだよ」
「そっか」
慎也に言われ、私は安堵する。
「慎也たちもそのままの格好?」
慎也は青いTシャツに黒いテーパードパンツで、正樹は白Tにジーンズだ。
「そうだよ。だってさ、旅行先の友達宅に泊まるとして、お邪魔した時の普段着は失礼に当たらないのに、食事やお茶の時だけ改めて着替える?」
「なるほど。着替えないな」
正樹のたとえを聞いて、私はストンと納得した。
そのあと少し沈黙が落ち、私はボソリと呟く。
「……綺麗な人だね」
シャーロットさんの事を言うと、慎也が溜め息をついて私を抱きしめてきた。
「正樹。お前のせいだぞ。優美を不安にさせんなよ」
「ごめんって」
正樹が私の背中をポンポンと叩き、反省した様子で謝罪してくる。
「いや、正樹が彼女をなんとも思ってないのは分かってるから。私の問題」
言いながらも、金髪碧眼の美女を前に、私はコンプレックスを刺激されていた。
今の私の外見は恐らく、「強気でヘルシーな色気のある女性」と思われている……と思っている。
それでも心の奥底には〝昔〟の自分がいる。
いまだ憧れの二人の手を取れたのが夢みたいに思える。
だから私よりずっと素敵な女性が現れたら、二人がそっちに心移りしてしまってもおかしくないと弱気になってしまう。
「勿論、二人の私への気持ちは信じてる。正樹は過去にあった事実を言っただけだし。まぁ、〝今の女〟である私にわざわざ言うなよ、は思ったけど。……けど、聞いた上でシャーロットさんにお会いすると『美人だなぁ……』と女として羨んでしまう訳で」
素直に言うと、慎也は私の頭を撫でてくる。
「嫉妬しなくても、優美は十分可愛いし美人だよ」
彼は私の顔を覗き込み、チュッとキスをしてくる。
「ありがと」
私は思わず笑ったあと、溜め息をつく。
そんな私を見て、正樹は苦笑いする。
「他の人が気になって仕方ない気持ち、面倒だよね。僕も、ずっと自分の事を『出来損ない』って思ってたから、きちんとやれてる友達が羨ましくて堪らなかったよ」
一見嫉妬しなさそうな彼の本音を知って、少し驚く。
すると慎也が挙手して言った。
「俺も正直、E&Eフーズにいた時、好きな女に営業で全勝できなくて、ちょっと情けなかった」
私は思わず「あはは!」と笑った。
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